認知科学への招待. 読書メモ

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認知科学への招待. 読書メモ

認知科学は、人間の知覚、思考、言語、学習、記憶、決定などの認知プロセスを研究する学問分野となる。認知科学は多岐にわたる学問領域の交差点に位置しており、心理学、神経科学、計算機科学、哲学、言語学、人工知能学などの知識が統合される。

認知科学は、人間の認知プロセスを解明することで、知覚や思考の仕組みを理解し、人間の行動や意思決定、言語の習得や処理などに関する理論を構築することを目的としている。また、認知科学の研究成果は、人間と機械の知能の違いや類似点についても考察する上で重要な役割を果たしている。

認知科学の主要な研究分野には、以下のようなものがある。

  • 記憶の研究 人間が情報を記憶する仕組みや、記憶の保持や再生に関する研究。
  • 言語の研究 人間の言語の習得や処理に関する研究。これには、文法や意味の理解、発話や聴取の仕組みなどが含まれる。
  • 意思決定の研究 人間が意思決定をする仕組みや、決定に影響を与える要因についての研究。
  • 感覚の研究 人間の五感の仕組みや、知覚に関する研究。
  • 注意の研究 人間の注意の仕組みや、注意の向け方や切り替え方についての研究。

認知科学は、現在進行中の多くの研究を通じて、人間の認知機能の多様性や複雑さを明らかにし、人間の知的能力を理解するための有益な知見を提供するものとなる。

今回はこの認知科学の参考図書である認知科学への招待より、読書メモを示す。

人工知能とともに発展してきた「認知科学」を学ぶことで、思考のしくみや脳の使い方がわかるようになる。機械はどのようにして論理や推論を理解しているのか。人間の脳は機械とどう違うのか。アメリカの大学院で最先端の認知科学を学んだ著者が、やさしく解説。さらに、著者の新理論「超情報場仮説」にまで迫る!」

第1章 私と認知科学

認知科学とは構造主義に取って代わったパラダイム
構造主義
外部刺激を与えて反応を観察し、そこから心の内部構造を探る
ブラックボックスに対する入力と出力の関係から内部を推測するのは困難
認知科学
心とか脳の「機能」に着目
心とか脳がどうなっているかよりも、どのように働くかを中心に考える
「機能」functionalism
そのものが本来備えている働き
「関数」で表現する
認知科学との出会い
「The Cognitive Computer」考えるコンピュータ
ロジャシャンク
「認知」cognictive
人間の心は抽象的な記述に置換することができる
ノーム・チョムスキーの言語学
宇宙にはユニバーサル・グラマーというものがある(数学の定理のようなもの)
変数の値を変えると英語になったり、日本語になったりする
言語の壁も数学によって解明できる
ロジャー・シャンクとマービン・ミンスキー
シャンク
CD理論(Conceptual Dependency)
意味表現は概念に依存する
同じ意味を持つ言語表現があるなら、コンピューター上では同じように表現する
スクリプト理論
MOP理論
ケースベース理論
XP理論
マービン・ミンスキー
フレーム理論
人は物事を認識する際に「フレーム」というパターンのようなもので認識する
カール・ポラードに学ぶ
ロビン・クラーク
カール・ポラード
Head-Driven Phrase Structure Grammar(HPSG)
コネクショニストの活躍
コネクショニスト
ニューラルネットワークは学習により文法を習得できる
統語論
文法がわかれば文の意味がわかる
チョムスキー
意味論
意味がわからなければ文の構造は定まらない
シャンク

第2章 認知科学とストロングAI

行動主義と機能主義
人工知能はコンピューターサイエンスはもちろん、 心理学、言語学、哲学。あるいは脳医学や数学など、 様々な学問が絡み合って発展
S-Rモデル
S:Stimulus、R:Responce(刺激反応モデル)
PSモデル
Production Systemモデル
プロダクションルールと呼ばれる規則を集めて、 適用することで人工知能に推論をさせる
フレーム理論等のパターンの蓄積で推論を行う
ミンスキーの「フレーム理論」
フレーム:ある知識を表現するための知識の単位とその結合方法のこと
何らかの俊樹を人工知能に理解させるために、 その知識と関連する知識(要素)をいくつか結合させて「フレーム」を形成
その「フレーム」に適合するか否かで知識を理解する
例:レストラン
人はフレームを呼び起こすことで下界の事象を認識する
フレーム推論をコンピューターに行わせる
いくつかのフレームの要素が合致すればそのものであると判断
シャンクの「スクリプト理論」
人間が行う手続き的な一連の行動を認識するための方法論
スクリプト:台本、ある一連の行動がシナリオに基づいて一かたまりとして関連づけられたもの
例:レストラン
シャンクの「CD理論」
CD:Conceptual Dependency: 概念依存理論
意味表現を人工知能にどのように理解させるか
意味表現システムの中心は常に事象の表現
事象をの核を表現するための構造
EVENT(事象)
1つのACTOR(行為者)
その行為によって遂行される1つのACTION(行為)
具体的な基本行為
重要な基本行為
ATRANS(所有の移動)
MTRANS(情報の移動)
INGEST(体内への取り込み)
PTRANS(物理的な物の移動)
MBUILD(情報の形成)
PROPEL(力の付与)
手段的行為
SPEAK(話す)
GRASP(物体を掴む)
EXPEL(体から外に出す)
ATTEND(注意を向ける)
MOVE(体を動かす)
その行為が遂行する1つのOBJECT(対象物)
その行為が向けられる1つのDIRECTION(方向)
個々の要素を「スロット」と呼び、 「スロット」に値を代入することを「スロットを埋める」と呼ぶ

Hohn amazed Mary
「ACTOR」John
amazeが「ACTION」ではなく、何らかの行為をしたからamazeする
例2
John saw Mary
「 ACTOR」John
「ACTION」MTRANS
「OBJECT」Mary
CD理論を補うスクリプト
「スクリプト」理論では文脈を考慮
文に因果関係が入っていると、文脈を読む必要がある質問に答えるのが難しくなる

ジョンはお腹が空いていた。 彼はゴールドスタインの店に入ってサンドイッチを注文した。 注文はすぐ来た。 彼はウェイトレスに多くのチップを払った

ゴールドスタインの店とは何か
ジョンは何を食べたのか
誰がサンドイッチを作ったのか
ジョンの注文を聞いたのか
誰がサンドイッチを持ってきたのか
ジョンはなぜ多くのチップをあげたのか
背後にスクリプトを持っていると解釈できる
スクリプトの知識をあらかじめ組み込んだプログラム
SAM:Script Applier Mechanism
質疑応答や推論ができるもの
PAM:Plan Applier Mechanism
文脈を組み込んだもの
MOP理論と XP理論
人間の知能を構成する情報を、人間が解明できるか
それが解明できたとして、その内容を人間が記述することができるか
原子単位がCD理論で、分子単位がスクリプト理論のアナロジー
Dynamic Memory: ダイナミックメモリ
シャンクの著書
人間の知識の記述の話を人間の脳の中に持ち込んだもの
人間は孤児によって体験が異なり、個人的な体験知識を学習として処理する
体験知識の塊
Memory Organization Packet MOP
人間は何か失敗した時、仮説を立てて説明しようとし、 それがインデックスとなって記憶になる
Explanation Patterns:XP
「ケースベース理論」とシャンクのその後
「スクリプト」や「MOP」は「ケース」という考え方に変わる
「スクリプト」や「MOP」はあらかじめ教えておくものだが、 「ケース」は自分で学習する
Case-Based reasoning: CBRケースベース理論
ケースのエクスプラネーション・パターンがどうやって生まれるのかなど最低限の概念は必要
抽象化化が必要
パターンマッチする為
過去の「ケース」「エクスプラネーションパターン」の再利用
Tweekung:トゥイーキング(直す)
E-ラーニングや軍事への応用

第3章 人工知能と神経ネットワーク

人工知能のニューラルネット
学習可能な人工知能
人工知能の学習の幅を広げた「バックプロパゲーション」
局所解をいかに避けるか
PDPモデルというニューラルネット
心の社会
心を構成するエージェントの組み合わせ
サブサンプション?

第4章 文法が先か、意味が先か

統語論と意味論
ニューラルネットを解析したら文法ができていた
カール・ポラードのHPSG
HPSG
文を句や単語を単位として木構造に分解
分解した句や単語を下から 「Head(主辞)」と呼ばれる主要部分を上の方へと戻していく
単語は意味を表すだけの記号ではなく、その中に多くの情報を詰める
それらの情報は他の単語や句と絡み合い同じ要素は「単一化(unification)」できる
単語や句に文脈のような情報を含ませる
関数と引数
引数
仮引数(parameter)
関数の中の変数
f(x,y)=x+yならばxとyが仮引数(parameter)
実引数(argument)
x=1,y=2を入れたら実引数(argument)
自然言語も関数とみなす
自然言語は高階述語論理の世界
HPSGと高階述語論理
HPSGは単語の持つ属性を使って「単一化」する
HPSGは高階述語論理を実現
HPSGは「部分情報構造(partial information structures)」と呼ばれる構造に則って分析が行われる
「部分情報構造」
ある言葉が持つ、いくつかの属性に関数情報を書き記きした構造

PHON:PHONOLOGY(音韻論)の略
SEM:SEMANTICS(意味論)の略
苫米地アルゴリズムで単一化が高速でできるようになった
非単調論理の確率モデルを使った「ソフトユニフィケーション」
たまごが先かにわとりが先か

第5章 認知科学を超えて

認知科学が解決できない「フレーム問題」
人間はなぜ「ここはレストランだ」とわかるのか
抽象度の階段を上るためにはどうすれば良いのか
認知科学のパラダイムを乗り越えるための「超情報場仮説」
「超情報場仮説」で「レストラン・フレーム」を考える
宗教的な人たちと超情報場
現実とは何か
リアリティとは超情報場の共有方法の1つである
「ファンクショナリズム」に変わるパラダイムは「ホメオスタシス」

コメント

  1. […] 認知科学への招待. 読書メモ […]

  2. […] 認知科学への招待 読書メモ […]

  3. […] “瞑想と悟り(気づき)と問題解決“でも述べているようにマインドフルネス瞑想や禅のヴィパッサナー瞑想は「気づき」や「ありのままの注意」を重視する「洞察瞑想」であり、集中力を育て、物事をあるがままに観察することに注力したアプローチとなる。また、同様のアプローチは”認知科学への招待. 読書メモ“でも述べている認知科学では、「メタ認知」と呼ばれ、個々の思考や知識に対する認識の仕方を指し、自分が何を知っていて、何を理解しているかに対する理解と考えられている。 […]

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  6. […] 方法が必要だという見方が広がり始める。これが、その後に大きく普及する情報処理的観点を重視する”認知科学への招待. 読書メモ“でも述べている認知主義の台頭につながる。 […]

  7. […] “瞑想と悟り(気づき)と問題解決“でも述べているようにマインドフルネス瞑想や禅のヴィパッサナー瞑想は「気づき」や「ありのままの注意」を重視する「洞察瞑想」であり、集中力を育て、物事をあるがままに観察することに注力したアプローチとなる。また、同様のアプローチは”認知科学への招待. 読書メモ“でも述べている認知科学では、「メタ認知」と呼ばれ、個々の思考や知識に対する認識の仕方を指し、自分が何を知っていて、何を理解しているかに対する理解と考えられている。 […]

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