問題解決手法と思考法及び実験計画について
問題解決基本的な考え方と、様々な課題分析の手法と課題解決の為の仮説の立案と推定、更に具体的な問題解決のステップについて述べる。
まず問題解決の基本的なステップに関して古典(孫子)から学び、次に問題を分析するための手法である課題分析に関して「ビリヤード法」と呼ばれる問いの手法や、システム思考アプローチ、更に企業の改善活動でもよく用いられるKPI、KGI、OKR等の手法について述べる。
次に課題を定量化し目標値とするためのフェルミ推定について述べ、さらに課題解決の為の仮説立案の為の推論手法として演繹法、帰納法、投射法、類比法、アブダクション法等について述べた後、それらの仮説を「確証バイパス」に陥らずに検証する手法について述べる。
最後に、具体的な問題解決のアプローチであるPDCAや、PDCAの中での実験の考え方を因果推論の手法をベースに述べている。
トピック
アルゴリズム思考(Algorithmic Thinking)は、問題解決やタスクの実行において、論理的な手順やアプローチを考える能力やプロセスを指す。アルゴリズム思考を持つことは、さまざまな複雑な課題に対処する際に役立つ重要なスキルとなっている。アルゴリズム思考における「問題の分割」は、大きな問題を複数の小さな部分問題に分けるプロセスであり、このアプローチにより、複雑な問題を扱いやすい単位に分割して、大きな課題がより理解しやすく、それぞれの部分問題を個別に効率的に解決できるようになるものとなる。「問題の分割」は、一般的な問題解決のステップにおける”最初の一歩”とも言える。
ドメイン駆動設計 (Domain-Driven Design, DDD) とは、ソフトウェア開発において、ビジネスドメインの理解に基づくソフトウェアの設計手法となる。ここではについて述べる。
- 要約での抽象化型アプローチとAIによるコミュニケーション支援
“自動要約技術の概要とアルゴリズムおよび実装例について“では、AIを用いた要約技術について述べている。自動要約技術は、大きなテキスト文書や文章を短く、要点を押さえた形にまとめるための技術となり、情報の圧縮や要約された情報の理解を容易にするため、情報検索、情報処理、 自然言語処理、 機械学習などの分野で広く利用されているものであり、大きく分けると、抽出型要約と抽象化型要約の2つに分けられる。ここでは”ひとことでまとめる技術“をベースに、抽象化型要約に対する定性的なアプローチについて考えたいと思う。
“禅の思想と歴史、大乗仏教、道の思想、キリスト教“で述べているように禅は、悟りを開く事が目的とされた宗教であり、そこで重要とされているものは、これまでの宗教で中心だった仏の世界に対する知識ではなく、日々の修行を通じた悟りとなる。 禅宗における悟りとは「生きるもの全てが本来持っている本性である仏性に気付く」ことで、仏性というのは「言葉による理解を超えた範囲のことを認知する能力」のこととなる。ここではこの禅の中で重要な位置を占める瞑想と悟りについて述べてみたいと思う。
“瞑想と悟り(気づき)と問題解決“でも述べているようにマインドフルネス瞑想や禅のヴィパッサナー瞑想は「気づき」や「ありのままの注意」を重視する「洞察瞑想」であり、集中力を育て、物事をあるがままに観察することに注力したアプローチとなる。また、同様のアプローチは”認知科学への招待. 読書メモ“でも述べている認知科学では、「メタ認知」と呼ばれ、個々の思考や知識に対する認識の仕方を指し、自分が何を知っていて、何を理解しているかに対する理解と考えられている。
AI技術は、このようなメタ認知の様々な側面に対して、AI技術は実現可能なアプローチを提供している。
本ブログでは”問題解決手法と思考法および実験計画“において、様々な問題解決手法についてのべている。その中で、”KPI KGI OKRについて“で問題解決を行うための定量化の手法について述べていたり、”具象と抽象 – 自然言語のセマティクスと説明“で述べているような抽象化のステップを用いることでその課題の本質的な問題は何かを抽出している。
そのような問題解決のアプローチは実は今から約二千五百年前に、孫子と呼ばれる人物によってまとめられていた。今回は”NHK100分de名著老子x孫子”をベースに孫子とは何かについて述べる。兵法「孫子」が生まれたのは、今から約二千五百年前、春秋時代の中国となる。
孫子の考え方は、現代の問題解決の様々なアプローチの根源であると考えられる。題材を戦争においてはいるが、それを問題解決というものに置き換えると、「手段(戦争)ではなく、目的が大事である」や「問題解決(戦争)を行う前に、様々な観点軸で定量化して検討を行うこと」や「問題解決(戦争)のゴールを明確にしていつ止めるかをはっきりさせる」、「とりあえずやるのではなく、事前計画の段階で八割がたはいけるというくらいの状態にしなければならない、無計画だったり、勝算のない戦いはやってはならない」など、現在のコンサルタントが述べる考え方が随所にちりばめられているものとなる。以下にそれらの孫子の内容について具体的に述べる。
ここでは「ビリヤード法」と呼ばれる問いの手法と、それらを整理する際に「カテゴリミステイク」を起こさないことの重要性について述べている。これらの手法を用いることで課題を網羅的システマチックに分析することができる。
システム思考は、複雑な現象や問題を、関連する要素や相互作用を理解することで全体を把握し、システム全体の振る舞いや問題の原因を分析し、改善策を導き出す方法論となる。システム思考は、物事を単一の要素や部分ではなく、複数の要素や部分が相互作用して機能している「システム」としてとらえ、その全体像を把握することで、現象や問題をより深く理解することができる。
問題解決にはKPI(Key Performance Indicators)やKGI(Key Goal Indicator)が用いられる。KPIは人によりいろいろな解釈や使い方がある。単に「成果を管理する為の指標」として使うケースや、「目標となる数値自体」を表す場合もある。定義としては「(事業)目標の達成に向けて、ムダなく行動する為に集中する点を明確にし、その進捗を測るもの」とされている。KPIの目的には必ず「戦略」の意味合いが含まれており、戦略の本質とは「何をやらずにおくべきか」ということを示しているものとなる。
今回はOKRについて述べる。OKRは(Objective and Key Result)の略で、シリコンバレーを初め欧米の先進企業で使われているフレームワークとなる。
OKRは一つの「目的(object)」と2〜5個の「重要な結果指標(KR:Key Result)」でできている。KPIと異なりゴールである目的は定性的に表され、重要な結果指標が定量的に設定される。ここで「目的」は「何を達成したいのか?」「どこに向かおうとしているのか?」を示すものであり、「重要な結果指標」は「どのように「目的」を達成するのか?」「目的に近づいていることをどう把握するのか?」に応えるためのものになる。
「目的」に対するマイルストーンが「重要な結果指標」であるので、どの程度できたかを知ることでペースの見直しを行うことができる。
KPI設定のポイントは、(1)業績を確保し、会社を存続させ、雇用を守ること(会社及び従業員からの視点)、(2)顧客満足、成果配分を通じて社会の公器として貢献すること(投資家や社会からの要請)となる。
これを達成するために、以下の7つのステップを実行する。(1)ステップ1:経営資源である、ヒト、モノ、カネを、地盤にしっかり打ちつける、(2)従業員が8S(整理、整頓、清掃、清潔、躾、整備、安全、節電・節約)を徹底する、(3)スキルの方程式-「目標xスキルxプロセスxやる気」を実践する。全従業員が目標(KPI)を持ち、スキルアップを実践し、プロセスを改善する、(4)顧客満足の3要素(Q:品質、C:原価、D:納期)という柱を立てる、(5)知識を行動に帰することで、良質な商品・サービスを提供して顧客満足を獲得し続ける、(6)顧客満足は企業利益をもたらし、その利益は納税・配当・内部保留・決算賞与・再投資などの原資になる、(7)継続的改善を繰り返す。
「会社四季報:業界地図」は、日本経済新聞社が発行している企業情報誌「会社四季報」の特集号の一つで、毎年3月と9月に発行され、一冊あたり数千円程度で書店やオンライン書店で購入することができる業界別の市場動向や企業の業績評価をまとめた地図状の情報誌となる。これらの中では、それぞれの業界・企業の課題も分析されており、DXを検討する際に、同じような業態の企業の課題の抽出や、特定のドメインの業種に対する課題の汎化などを行うことで、さまざまな具体的な課題を抽出することができる。
フェルミ推定(Fermi estimation)とは、目的の問題を論理的に分解し、仮定を用いて部分的な答えを求め、それらを総合して、問題の解決策を導き出す手法となる。この手法を用いることで、不確実な情報や資料の不足、あるいは情報が不正確である場合でも、合理的な答えを導き出すことができ、科学的な知識を持たない人でも、身の回りの事象から合理的な推測をする方法となる。この手法は、物理学者のエンリコ・フェルミがよく用いたことから「フェルミ推定」と呼ばれるものとなった。
フェルミ推定(Fermi estimation)は、精密な計算や詳細なデータが得られない場合に、大まかな見積もりをするための方法で、物理学者エンリコ・フェルミにちなんで名付けられたものとなる。フェルミ推定は、論理的思考と適切な仮定を用いて、複雑な問題に対して素早く近似的な答えを見つけるための手段として広く用いられている。今回は、このフェルミ推定を人工知能技術を用いて検討する方法について述べる。
まずファーストステップとして、「科学が語る言葉」と「科学を語る言葉」の2つの違いを明確にする。「科学が語る言葉」はDNAやエントロピーなどの「科学的概念」でありそれらは科学的理論の中で定義される。これに対して、「科学を語る言葉」は理論、仮説、法則、方程式などの様々な理論に現れる「メタ科学的概念」であり、科学的に考えるためにはこの意味を正確に理解しなければならないものとなる。
それらの「メタ科学的概念」の中でまず取り上げられるのが「理論」と「事実」となる。科学の理論や仮説は、世界は不確定で曖昧であるという前提のもとに(100%の真実は存在しないか、あるいは一生かかってわからない)、1か0の絶対的なものではなく、より良い理論/仮説かどうかという相対的な視点で作られている。
ここで科学に期待される機能をあげると「予測する」「応用する」「説明する」等が挙げられる。これらの中で前述でも頻繁に現れる「説明する」について述べる。
様々な事実の関係性をたどる手法(推論パターン)には、ある文や命題の集まりから別の命題を導く演繹法と、演繹方以外の推論手法として、帰納法、投射法、類比法、アブダクション法の4つの非演繹法がある。
ここで演繹法は、「全ての魚類はエラを持つ」「ウナギは魚類である」という前提から「ゆえにウナギはエラを持つ」という結論(前提の持っていた真偽が結論まで持ち越され全体の情報量は増えない)になり、
4つの非演繹的な推論の共通点は、「蓋然的(probable)」であり、これは「必然的(necessary)」の反対語で、非演繹的な推論は前提になっている事柄が正しくとも、結論が必ずしも正しいとは限らないというものとなる。(演繹的推論は必然的であり、前提が正しければ必ず正しくなる) これは、非演繹的推論では結論において情報量が増えるということを意味する。
仮説推論を行った後、その仮説が正しいかどうかを検証する必要がある。「検証」という言葉は、詳しく調べるという意味で使われることもあるが、ある仮説が正しいかどうかを確かめる行為がそもそもの意味だ。
検証について考えるために、例として、3つの自然数の列を言い、その列が自分の心の中の規則に当てはまっている場合にイエス、違っていたらノーと答えるケースを考え、答えを推論するために何らかのヒントを出すケースを考える。(4枚カード問題(ウェイソン選択))
このような場合、正解例の数字だけ与えられるだけではダメで、より良い仮説を見つけるためには、仮説に合わないもの(反事例)を提示しないと、絶対に正解には到達しない。ところが多くの人は、この事例はこうじゃないかと思って確かめるときに、そこに当てはまる例だけを探してしまう(予測している仮説だけを考える)ことに陥る。これは「確証バイパス」と呼ばれる。
PLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(検証)、ACTION(調整)の4つのサイクルを回すPDCAは古くからあるフレームワークである。このフレームワークは多くの企業において製造工程の改善活動やチームやプロジェクトを管理するマネジメントの手法として用いられている。
このフレームワークでは具体的に、現状の分析とそれによる仮説の構築、構築された仮説を検証する為に目標値を考えて、それを検証する為の実行プランを考えて実行し、結果がその目標値に対してどうなったかを検証/分析し、その分析結果から次の仮説を考えるサイクルを回すことになる。
哲学では「何が善いのか・なぜ善いのか」を他者との対話の中で明確にし、共有することについて考える。共通理解をくるためには、問い方が大切になる。具体的なステップとしては、実例を出し、意味を確かめ、共通する要素を考え、価値があるとされる理由を考える。
世界は変化しており、その世界に適用される型や秩序も、何も考えずに運用するものではなく、世界の変化に合わせて変えていく必要がある。そのためには、秩序や型のそもそもの意味を考える必要があり、さらに意味を考える上では”情報としての生命 – 目的と意味“でも述べているように目的を考えることが重要となる。混沌とした世界を整理する為の秩序とそれを変えていく自由共に重要な要素となるものと思われる。
因果関係に対しては、データサイエンスにおける因果推論(統計的因果推論)としてさまざまな方法論が検討されている。まず相関関係と因果関係の定義ついて述べる。
相関関係は、2つの変数の間に、一方の変数の値が大きい時に他方の変数の値も大きい(または小さい)といった直線的な関係がある場合に、この2変数は相関関係がある、もしくは相関しているという。
因果関係は、要因Xを変化させたときに要因Yも変化する場合にXとYの間に因果関係があるという。そして要因Xを原因、要因Yをその結果と呼ぶ。ここからは、原因を示す変数を原因変数、結果を示す変数を結果変数(アウトカム)と呼ぶ。また、要因を操作して変化させることを、介入(intervention)、処置(treatment)などという。介入というのは、治療をおこなうことだったり、広告を見せることだったりを想像すれば良い。
交絡因子の影響を調整して因果関係を検討する方法は様々あるが、その中でも因果関係を検証するための最適な方法は実験研究となる。因果推論の分野でいう実験研究とは、介入を実施するか、しないかを無作為に割り付けるもので、ランダム化比較試験(randomized controlled trial ,RCT)と呼ばれる。これに対して割り付けを無作為としない研究は観察研究と呼ばれる。
現実の問題では、何が交絡因子であるかが予め全てわかっていることはまずあり得ない。常に未知の交絡因子があると考えた方が良い。さらに、交絡因子であることがわかっていても、常にそれが測定されているとは限らないし、技術的、費用的などの様々な理由により測定が可能とも鍵来な。つまり測定されなかった交絡因子もあると考えた方が良い。
実験研究(RCT)では無作為割り付けを行うことで、上記に述べたような測定されなかった交絡因子や未知の交絡因子を含めたあらゆる交絡因子に悩まされることなく因果推論ができる。これは、観察研究による因果推論にはないRCTの大きなアドバンテージとなる。一方、観察研究による因果推論では一般に交絡因子が測定されていることが要求される。後述する手法の中には条件を満たせば、測定されていないもしくは未知の交絡因子への対応ができる可能性のある方法もあるが、層別解析と回帰モデルによる分析という2つの最も基本的な手法では交絡因子が測定されていることを前提とする。
具体と抽象の観点は、自然言語処理の意味的アプローチや構造的な機械学習を行う場合や、説明できる機械学習を行う際に非常に重要な視点となる。我々のまわりの世界はつきつめると「具体」と「抽象」という2つの対立概念から成り立っている。「具体」という言葉がもっとも用いられるのは、何かをわかりやすく説明するときに「具体的に言うと…」とか、相手の話がわからないときに「もう少し具体的に話してもらえませんか?」のような場合となる。逆に「抽象」という言葉は「あの人の話は抽象的でわからない」といった文脈となる。
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