ブレインマシンインターフェースの活用とOpenBCI

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ブレインマシンインターフェースの活用とOpenBCI

ブレインマシンインターフェース(Brain Machine Interface;BMI)とは「脳の感覚・中枢・運動機能を電気的人工回路で 補綴・再建・増進」するもので、脳波等の検出・あるいは逆にへの刺激などといった手法により、脳とコンピュータなどとのインタフェースをとる機器等の総称となる。

Wikiによると「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は脳波などの脳活動を利用して機械を操作したり、カメラ映像などを脳への直接刺激によって感覚器を介さずに入力することを可能にする。 信号源および操作対象である”脳”と”機械”を繋ぐ存在、脳波を読み取る脳波センサーや脳波を解析するプログラムなどを総称してBMIと呼ぶ。

情報の流れが一方通行の片方向インターフェースと、相互疎通が可能な双方向インターフェースが想定されているが、現在実現しつつあるのは一方通行の片方向インターフェース技術のみである。片方向インターフェースでは一方通行の情報伝達を行い、脳から命令をコンピュータが受ける電気信号に変換するか、コンピュータからの電気信号を脳波に変換する。」とある。

歴史的に研究が始まったのが1970年代頃で、1990年代以降にMRIなどの生きたまま脳の活動を観測する脳機能イメージング技術ができてから、急速に現実味を帯びてきたものととなる。

BMIが対象とする応用領域は大きく分けると2つあり、一つは脳外科、リハビリテーション、眼科、精神科、神経内科等の医療領域で現実に何らかの疾患や損傷を持つ患者の治療や補助に用いるもの、もう一つが認知科学等の人間の脳機能の理解と応用の領域で、こちらは新たなユーザーインターフェースや気付きや創造性といった機能を実現するための研究となる。

実際のインターフェースの形態としては「侵襲型」と呼ばれる脳内に直接電極を刺入するものと、脳磁場を測定するfMRI、近赤外光計測(NIRD)や脳波(EEG)を測定する「非侵襲型」と呼ばれるものの2つがある。

「侵襲型」では以下に示すような米Cyberkinetics社(現在はBlackrock Microsystems, LLCに買収されている)による大脳皮質に電極を埋め込むものが実用化されている。またtwitterを買収、スペースX、テスラで有名なイーロンマスクの設立したNeuralinkでも2023年には最初のチップを人の脳に埋め込むとしている。

脳科学研究戦略推進プログラム 「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」のこれまでの成果についてより

「非侵襲型」では以前”夢と脳と機械学習 夢理論から夢のデータサイエンスへ“でも述べたfMRIのパターンを深層学習を用いて解析するものがある。

脳科学研究戦略推進プログラム 「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI) の開発」のこれまでの成果についてより

欧米ではこれらの技術を使って不完全な身体機能を補完する機能代償型の研究が主となり、先述のBlackrock Microsystems, LLC等を含め実用を目指したスタートアップが多く生まれている。それに対して日本では研究の主体が医療系の機関となり、機能回復型(リハビリテーション)の研究が主つなっている。

脳科学研究戦略推進プログラム 「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」 のこれまでの成果について

脳科学研究戦略推進プログラム 「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」 のこれまでの成果について

「非侵襲型」のシステムとしては、以下に示すようなものが島津製作所により開発されているが、非常に高価で装置自体も大かがりとなる。

脳科学研究戦略推進プログラム 「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」のこれまでの成果について

これらを非常にシンプルなものとして市販されているものにでMuseがある。

これは、リラックス状態にあるかどうかの2値分類をするもので、瞑想をするためのツールとして販売されている。また韓国のメーカーPanatronixから出されているものもある。

いずもれ、電極の数も限定的で、それほど複雑な脳波パターンを測定することはできない。これらのガジェットは”IOTについて(1)BLE概要“等に述べているのような無線通信(BLE)を使ってデータをPCに取得し、各種機械学習を適用することができる。

これに対してOPEN BCIは、上記の非常にシンプルなものと商用モデルの中間にあたるものとなる。OPEN BCIは名前の通りオープンソースの脳波測定インターフェースで、信号処理基板が880ドル、電極セットで1500ドル、電極の設計図は公開されており、3Dプリンターを持っていれば、自作することも可能なものとなる。

このOPEN BCIの適用範囲は「Research」「Education」「Science」「Arts&Design」「Prototyping」等多岐に渡っており様々な領域に用いられている。

また以下に示すような信号処理&UIのソフトウェアも提供されている。

単純な応用として、UXに用いるケースが考えられる。たとえば”Control of a two-dimensional movement signal by a noninvasive brain-computer interface in humans“には2次元上のカーソルの動きをOPenBCIで制御することが報告されている。

この論文のコードはgitでも公開されており、openBCIが手元にあれば実装して確かめることができる。

また最近のトピックとして、VRゲームは脳波で操作するーーValveとOpenBCIがパートナシップを公表がある。Valve社SteamというPCゲームのプラットフォームを運営している会社で、近年はsteam deckと呼ばれるゲーム機を開発し、ハードウェア方面にも手を伸ばしている会社となる。

ここがOPENBCIと組み、「Galea」と呼ばれるVR / ARヘッドセット専用のBCIの製作し、GeleaにはEEGだけでなく、EOG、EMG、EDAおよびPPGが可能なセンサーも含まれており、幸福、不安、うつ病、注意力、関心などの「人間の感情や表情」を測定する方法を提供できるため関わっているものと考えられている。

プレーヤーが興奮している、驚いている、退屈している、面白がっている、恐れているなどの感情を非侵襲的に読み取れれば、よりパーソナルな体験がVRで味わえるものとなる。

実際にOPEN BCIのHPに飛ぶと、トップページにこのGaleaが現れる。

 

コメント

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