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夏の空とトライアスロンとDNF
夏の少し湿った空気の空を眺めていると、トライアスロンのレースの最中にトラブルに見舞われて身体を動かすことを止め、その場に座って空を眺めていた瞬間を思い出す。
トータルで10時間という長丁場である為、レース中にトラブルに見舞われるケースは意外と沢山ある。例えば、バイクのパートだけ見ても、自転車は海外のレースだと大型のキャリングケースに分解して入れて運び、自分で現地で組み立てることになるのだが、事前のチェックをしっかりしないと、レース中に部品が外れて(路面の状態が良くない海外のレースでは良くある)、例えばギアがチェンジしなくなったり、ブレーキが効かなくなったりすることが起きてしまう。
また、タイヤのパンクを想定してスペアタイヤと空気入れを自転車に付けて、レース中にタイヤがパンクしてもその場で自分で修理したりするのだが、これも路面の悪い海外のレースの場合、スペアタイヤを3つ持っていっていたにも関わらず、そのすべてがパンクして、しかも空気入れまで故障してしまうといった万事休すのケースもあったりする。
このような時、もしかしたらこのままDNFかなぁと思いながら(DNFとはDo Not Finishの略で、レースにゴール出来なかった選手の記録に記載されるコード)、レースの緊張状態が切れ、路肩に自転車を寄せ、その側で座りながら持っていたボトルの水を飲んで、空を眺めてたりする。そんな瞬間が、夏の空を眺めていると思い出されてくる。
心の中は、苦行(レース)の世界から離れて、どこか知らない町を旅しているモードになるのだが、神様はそんなに楽をさせてくれるわけではなく、しばらく待っていると、テクニカルサポートカーが通りかがって修理してくれたり、他の参加選手が止まって自分のスペアタイヤやポンプを譲ってくれたりして、元の苦行の世界に戻してくれる。
スイムのパートではこのようなトラブルのシチュエーションはなかなか無い。せいぜいスタートの混雑の中でゴーグルが吹っ飛ばされたり、隣に泳いでいる選手を道標にに泳いでいたら、気づくと二人ともコースから外れていてあわてて帰ったり、くらいだろうか。スイムのパートはレースの序盤でもあり体力的にもまだまだ余裕がある。
DNFを大きく感じるのは、やはり最後のランのパートになるだろう。前回述べた富士登山レースや一般的なマラソンレースではそれなりのハイペースで走る必要があり、アスリート的なパフォーマンスが要求されるのに対して、トライアスロンでの最後のランのパートは、正真正銘の「持久力」が要求され、それが限界に近づくとDNFの文字が浮かんでくる。
例えばそれは、栄養分の欠落であったり、水分の欠落、あるいはモチベーションの低下により起こる。モチベーションの欠落に関して言うと前日から当日のレースの直前までが低下のmaxとなるものであり、一旦身体を動き始めればそれほど致命的なモードには陥いるものではない。栄養の欠落に関しても、トライアスロンでは通常のマラソンレース等に比べると数倍の密度でエイドステーションが設けられており、そこでは通常のバナナやドリンク類だけではなく、パンとか餅とか様々なものを食べさせてもらえるので、運動中の食事に体を慣らせていればなんとか乗り切れるものとなる。
やはり一番やっかいなものは水分の補給だ。たとえ頻繁にドリンクを飲んでいたとしても、炎天下のレースでは体が十分に水分を吸収してくれず、簡単に脱水の状態に近づいてしまう。そのような状態になると、レース中に黄色いものが見えてきたり、気持ち悪くなったり、痛いとか、苦しいとか、嫌になるようなものとは別の状態に陥いる。
そのような状態を放置してしまうと、身体を動かすことができなくなり、その結果DNFとなって、最後には点滴のお世話になる羽目に陥る。
コメント
[…] の北陸方面の乗り換え駅でもあるが、前述のバス旅でもローカルバスが通っておらず、しばしばDNFさせられるという鄙びた所で、トライアスロンを行うには最適なロケーションであった。 […]
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