強化学習技術の概要
強化学習(Reinforcement Learning)は、機械学習の一分野であり、エージェント(Agent)と呼ばれる学習システムが、環境との相互作用を通じて最適な行動を学習する手法となる。強化学習では、具体的な入力データと出力結果のペアが与えられる教師あり学習とは異なり、報酬信号(Reward signal)と呼ばれる評価信号が与えられることが特徴となる。強化学習の基本的な構成要素は以下のようになる。
- エージェント(Agent): 学習する主体であり、環境と相互作用する。エージェントは環境からの観測を受け取り、行動を選択する。
- 環境(Environment): エージェントが相互作用する対象であり、環境はエージェントの行動に対して応答し、次の状態と報酬を提供する。
- 行動(Action): エージェントが選択する可能な行動の一つであり、エージェントは環境に対して行動を指示する。
- 状態(State): 環境の状態を表します。エージェントは状態を観測して、次の行動を選択する。
- 報酬(Reward): 環境から与えられる評価信号であり、エージェントは報酬を最大化するような行動を学習する。
強化学習の目的は、環境との相互作用を通じてエージェントが最適な行動方策を学習することとなる。行動方策は、状態に基づいてエージェントが選択する行動のルールや戦略を表し、強化学習では、報酬を最大化するような行動方策を見つけることが重要な目的となる。
強化学習には、大きく分類するとオンポリシー(On-Policy)とオフポリシー(Off-Policy)の2つのアプローチがある。これらは、エージェントが学習とデータ収集において異なるポリシー(振る舞い方針)を使用するかどうかを指す。
オンポリシー(On-Policy)は、エージェントが学習とデータ収集に同じポリシーを使用する方法であり、エージェントは自身の行動方針に基づいて環境との相互作用を行い、その結果得られたデータを使用して学習を進めるものとなる。オンポリシーでは、エージェントの行動と学習が密接に結びついているため、収束性が高く、学習が効率的に進行するという利点がある。
一方、オフポリシー(Off-Policy)は、エージェントが学習とデータ収集に異なるポリシーを使用する方法であり、エージェントは、別のポリシーに基づいて行動し、その結果得られたデータを使用して学習を行うものとなる。オフポリシーでは、過去の経験や他のポリシーから収集されたデータを再利用することができるため、データの再利用性が高く、効率的な学習が可能であるという特徴がある。
このオンポリシーとオフポリシーの選択は、具体的な問題の性質や目標に応じて行われる。オンポリシーは、エージェントが実際のタスクにおいて最適な行動を選択するために必要な場合に使用され、オフポリシーは、過去の経験や他のポリシーから得られるデータを使用して、エージェントの学習と一般化を向上させるために使用される。代表的なオンポリシーのアルゴリズムには、SARSAや”Actor-Criticの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているActor-Criticがあり、代表的なオフポリシーのアルゴリズムには、Q学習やDeep Q-Network(DQN)がある。
強化学習に用いられるアルゴリズムについて
強化学習にはさまざまなアルゴリズムが存在している。以下に代表的な強化学習アルゴリズムについて述べる。
- Q学習(Q-Learning): Q学習は、価値関数(Q値)を学習することによって最適な行動方策を見つける手法となる。Q値は状態と行動の組み合わせに対してその価値を表し、学習の過程で更新される。Q学習はオフポリシー(off-policy)手法であり、エージェントが学習中に選択した行動とは異なる行動を基にして価値関数を更新する。詳細は”Q-学習の概要とアルゴリズム及び実装例について“を参照のこと。
- SARSA: SARSAもQ学習と同様に価値関数を学習する手法だが、オンポリシー(on-policy)手法として知られている。SARSAは状態、行動、次の状態、次の行動、そしてそれに対する報酬の組み合わせを利用して価値関数を更新している。つまり、エージェントが学習中に選択した行動に基づいて価値関数を更新する。詳細は”SARSAの概要とアルゴリズム及び実装系について“を参照のこと。
- Deep Q-Network (DQN): DQNは、深層強化学習の一手法であり、深層ニューラルネットワークを用いてQ学習を行うものとなる。DQNは画像などの高次元の状態空間を扱うことができ、Atariゲームなどの複雑なタスクにも適用されている。DQNは経験再生(Experience Replay)と呼ばれるメモリからランダムに過去の経験をサンプリングして学習する手法も特徴的となる。詳細は”Deep Q-Network (DQN)の概要とアルゴリズムおよび実装例について“を参照のこと。
- Policy Gradient: ポリシーグラディエント法は、方策(行動選択のルール)を直接学習する手法であり、エージェントは報酬を最大化するような方策を学習する。ポリシーグラディエント法では、方策のパラメータを更新するために”勾配法の概要とアルゴリズムおよび実装例について“でも述べている勾配法を用いることが一般的となる。具体的な手法には、REINFORCE、Actor-Criticなどがある。
- Trust Region Policy Optimization (TRPO): 強化学習におけるポリシー最適化アルゴリズムの一つであり、ポリシーの更新を制約付き最適化問題として定式化し、ポリシーの安定性と収束性を向上させることを目指すものとなる。TRPOは、ポリシーの変更幅が事前に定められた制約範囲(Trust Region)内に収まるようにポリシーを更新し、制約範囲は、ポリシーの前回の更新時の性能と比較して決定される。このポリシーの更新においてはKL(Kullback-Leibler)ダイバージェンスが制約として使用される。詳細は”Trust Region Policy Optimization (TRPO)の概要とアルゴリズム及び実装例について“を参照のこと。
- Proximal Policy Optimization (PPO): PPOは、強化学習におけるポリシー最適化アルゴリズムの一つであり、TRPOの改良版となる。PPOでは、ポリシーの更新時にクリッピングという制約を導入することで、ポリシー勾配の変動を制限し、大幅なポリシー変更を防ぎ、学習の安定性を向上させている。PPOはシンプルな実装が可能であり、並列化や大規模な環境での効率的な学習に適用されている。詳細は”Proximal Policy Optimization (PPO)の概要とアルゴリズム及び実装例について“を参照のこと。
- Asynchronous Advantage Actor-Critic (A3C): A3Cは、強化学習におけるポリシー最適化アルゴリズムの一つであり、複数のエージェントが非同期に独立して環境と相互作用し、共有するニューラルネットワークを使用してポリシーを学習するものとなる。A3Cは、並列化により高速かつ効率的な学習を実現することが特徴となる。A3Cは、Actor-Criticアーキテクチャを基にしている。Actorはポリシーを表し、Criticは状態価値関数(Value Function)を推定する。A3Cでは、複数のエージェントが同時に環境と相互作用し、それぞれのエージェントは自身の経験を使用してポリシーと価値関数を更新し、これにより、学習が並列化され、スケーラビリティと学習効率が向上するものとなる。詳細は”A3C (Asynchronous Advantage Actor-Critic)の概要とアルゴリズム及び実装例について“を参照のこと。
- Soft Actor-Critic (SAC): SACは、強化学習におけるポリシー最適化アルゴリズムの一つであり、連続的な行動空間を持つタスクに対して効果的な学習を行うことを目指すものとなる。SACは、ポリシーの最適化と価値関数の学習を同時に行い、エンタルピー正則化を導入することで、探索と利用のバランスを調整する。SACは、連続行動空間や高次元の状態空間を持つ問題に対して強力な手法とされており、また、SACはトリックやヒューリスティックなパラメータ調整が比較的少なく、実装が比較的容易であることも特徴となる。詳細は”Soft Actor-Critic (SAC) の概要とアルゴリズム及び実装例“を参照のこと。
- Rainbow: Rainbow は、深層強化学習の手法の一つであり、Q学習を基にしたDQNの性能向上を図るために、複数の改良手法を組み合わせたものとなる。Rainbowはこれらの手法を組み合わせることで、DQNの性能を向上させ、学習の安定性と収束性を改善している。詳細は”Rainbowの概要とアルゴリズム及び実装例について“を参照のこと。
これら以外にも強化学習には、さまざまなアルゴリズムが存在する。それらはタスクの性質や問題の複雑さに応じて選択される必要がある。
強化学習技術に用いられるライブラリやプラットフォームについて
強化学習の研究や開発を支援するために、さまざまなライブラリやプラットフォームが提供されている。以下に代表的な強化学習のライブラリとプラットフォームについて述べる。
- OpenAI Gym: OpenAI Gymは、強化学習の研究と開発を支援するためのオープンソースのプラットフォームとなる。様々な強化学習の環境(タスク)が提供されており、環境ごとに異なる報酬や観測を取得することができる。また、強化学習アルゴリズムの実装も容易に行えるようになっている。
- TensorFlow: TensorFlowは、Googleが開発したオープンソースの機械学習フレームワークとなる。TensorFlowには、強化学習のモデルを構築するためのライブラリやツールが提供されており、強化学習のためのフレームワークとしても広く利用されている。
- PyTorch: PyTorchも、強化学習のための人気のある機械学習フレームワークとなる。PyTorchは柔軟性があり、動的な計算グラフを扱うことができ、これにより、強化学習のモデルを構築し、学習を行う際により自由度の高い操作が可能となる。
- Stable Baselines: Stable Baselinesは、OpenAI Gymをベースにした強化学習のライブラリとなる。ここにはさまざまな強化学習アルゴリズム(DQN、PPO、A2Cなど)が実装されており、簡単に使用することができる。また、多くの学習のベンチマークやチュートリアルも提供されている。
- Ray RLlib: Ray RLlibは、Rapid Acceleration of AI(Ray)プロジェクトの一部として開発された強化学習ライブラリとなる。分散強化学習やスケーラビリティに焦点を当てており、さまざまなアルゴリズムやトレーニングのパラメータ設定をサポートしている。
- ChainerRL: ChainerRLは、深層強化学習のためのフレームワークであり、Chainerという深層学習フレームワークを基にしたライブラリとなる。深層強化学習は、エージェントが環境と相互作用しながら学習する手法であり、ChainerRLはこのような学習をサポートするためのツールセットを提供している。
- TRFL:TRFLは、TensorFlow用の強化学習ライブラリとなる。TRFLは、DeepMindが開発したDeep Q-Network(DQN)やその他の強化学習アルゴリズムの実装に使用される、便利な関数やユーティリティの集合であり、TensorFlowの高レベルなAPIであるtf.kerasと統合されており、TensorFlowでの強化学習の実装をサポートしている。
- Dopamine: Dopamineは、Googleが開発したオープンソースの強化学習フレームワークとなる。このフレームワークは、深層強化学習の研究や実装を容易にするために設計されており、PythonとTensorFlowをベースにして、強化学習のアルゴリズムを効率的に実装するためのツールや機能を提供している。
- Coach: Coachは、Intelが開発した強化学習のフレームワークとなる。Coachは、強化学習のアルゴリズムの実装やトレーニングの簡素化、性能評価などをサポートするために設計されている。
次にこれらの強化学習の適用事例について述べる。
強化学習の適用事例について
強化学習はさまざまな領域での実際の問題に適用されており、以下にいくつかの適用事例について述べる。
- ゲームAI: 強化学習は、さまざまなゲームにおけるAIの訓練に使用されている。AlphaGoやAlphaZeroなど、強化学習を用いて囲碁や将棋、チェスなどのボードゲームで人間のトッププレーヤーに対して勝利した例がある。また、Atariゲームのようなビデオゲームにおいても、強化学習を使用して高いスコアを達成するエージェントが開発されている。
- ロボット制御: 強化学習は、ロボット制御の領域でも活用されている。例えば、ロボットアームの制御や自律移動ロボットのナビゲーション、ドローンの制御などにおいて、強化学習を使用して最適な動作や行動方策を学習することができる。
- リコメンデーションシステム: 強化学習は、オンラインショッピングや映画ストリーミングサービスなどのリコメンデーションシステムにも応用されている。強化学習を用いることで、エージェントはユーザーのフィードバックや行動履歴から学習し、ユーザーにとって最適なアイテムやコンテンツを提案することが可能となる。
- 交通システム: 強化学習は、交通システムの最適化や交通制御にも応用されている。これは例えば、交差点の信号制御や自動運転車の制御において、強化学習を使用して交通の流れを最適化することなどがある。
- ファイナンス: 強化学習は、株式取引やポートフォリオ管理などの金融分野でも利用されている。強化学習を用いることで、エージェントは市場の変動や投資のパターンを学習し、最適な取引戦略や投資ポートフォリオを決定することができる。
これらは一部の例であり、実際には他にもさまざまな領域で強化学習が適用されている。強化学習は、学習によって最適な行動を見つけることが求められる問題に対して非常に有用であり、それらについては別途述べることにする。
次に実際に強化学習を実装する際の手順について述べる。
強化学習の実装手順
強化学習の実装手順は一般的に以下のステップに分けられる。
- 問題の定義と環境の設定: 強化学習の対象となる問題を定義し、エージェントが対話する環境を設定する。環境は、エージェントの行動と状態の変化を反映するように設計される。
- 行動空間と状態空間の定義: エージェントが選択できる行動の集合と、環境から得られる観測(状態)の集合を定義する。行動空間と状態空間は、問題に応じて適切に定義する必要がある。
- エージェントのモデルの構築: エージェントの方策(行動選択のルール)や価値関数(行動や状態の価値を評価する関数)など、エージェントのモデルを構築する。このモデルは、学習の基盤となるものとなる。
- 学習ループの実行: 学習ループを実行して、エージェントのパラメータを更新する。学習ループでは、エージェントが環境との相互作用を通じて行動を選択し、報酬を受け取り、モデルの更新を行う。この過程を反復することで、エージェントは最適な行動方策を学習する。
- テストと評価: 学習が終了したら、学習済みのエージェントをテストして性能を評価する。このテストでは、学習された方策を使用して新しい状況においてエージェントの行動を観察し、結果を評価するものとなる。
次にこれらの手順をベースとしたpythonを使った具体的な実装例について述べる。
強化学習のpythonによる実装例
以下に、Pythonを使用した強化学習の実装例を示す。この例では、OpenAI GymのCartPole環境を対象として、Q学習アルゴリズムを使用してエージェントを訓練している。
import gym
import numpy as np
# Q学習の実装例
# 環境の作成
env = gym.make('CartPole-v1')
# Qテーブルの初期化
state_space = env.observation_space.shape[0]
action_space = env.action_space.n
q_table = np.zeros((state_space, action_space))
# パラメータの設定
total_episodes = 10000 # 試行回数
max_steps = 500 # 1試行の最大ステップ数
learning_rate = 0.8 # 学習率
gamma = 0.95 # 割引率
# Q学習の実行
for episode in range(total_episodes):
state = env.reset()
for step in range(max_steps):
# 行動の選択
action = np.argmax(q_table[state, :])
# 環境との相互作用
new_state, reward, done, _ = env.step(action)
# Q値の更新
q_table[state, action] = q_table[state, action] + learning_rate * (
reward + gamma * np.max(q_table[new_state, :]) - q_table[state, action])
state = new_state
if done:
break
# 学習済みのエージェントのテスト
total_rewards = 0
state = env.reset()
for _ in range(max_steps):
action = np.argmax(q_table[state, :])
state, reward, done, _ = env.step(action)
total_rewards += reward
env.render()
if done:
break
print("Total rewards:", total_rewards)
# 環境のクローズ
env.close()
上記の例では、Q学習アルゴリズムを使用してエージェントを訓練し、学習済みのエージェントをテストしている。ここでは、Qテーブルを使用して行動価値を更新し、状態に応じて最適な行動を選択し、最後に、テスト時の累積報酬を出力している。
強化学習を用いたロボット制御のpythonによる実装について
強化学習を使用したロボット制御の実装には、ROS(Robot Operating System)というロボット開発のためのフレームワークや、OpenAI Gymのロボット制御用環境(例:Gym-Gazebo)を組み合わせることが一般的となる。以下に、Pythonを使用した強化学習によるロボット制御の簡単な実装例を示す。
import rospy
from std_msgs.msg import Float32
from sensor_msgs.msg import LaserScan
from geometry_msgs.msg import Twist
class RobotController:
def __init__(self):
rospy.init_node('robot_controller', anonymous=True)
self.action_space = [0, 1, 2] # 行動空間(前進、停止、後退)
self.state = None # 状態(センサデータなど)
self.reward = 0 # 報酬
self.done = False # エピソードの終了フラグ
self.pub = rospy.Publisher('/cmd_vel', Twist, queue_size=10)
rospy.Subscriber('/laser_scan', LaserScan, self.scan_callback)
def scan_callback(self, data):
# センサデータの処理
# 状態の更新
def choose_action(self):
# 方策に基づいて行動を選択
# 選択した行動を返す
def update(self):
rate = rospy.Rate(10) # 制御周期
while not rospy.is_shutdown() and not self.done:
action = self.choose_action()
# 行動に応じた制御指令の生成
cmd = Twist()
if action == 0:
cmd.linear.x = 0.2 # 前進
elif action == 1:
cmd.linear.x = 0 # 停止
else:
cmd.linear.x = -0.2 # 後退
# 制御指令の発行
self.pub.publish(cmd)
rate.sleep()
if __name__ == '__main__':
controller = RobotController()
controller.update()
この例では、ROSを使用してロボットの制御を行っている。scan_callback
関数ではセンサデータの処理と状態の更新を行い、choose_action
関数では方策に基づいて行動を選択する。update
関数では選択した行動に応じた制御指令を生成し、周期的に制御指令を発行している。実際のロボット制御には、センサデータの取得・処理、状態空間や行動空間の定義、報酬の設計、モデルの構築など、さまざまな要素が関与し、また、使用するロボットや環境に応じて、さらなる設定や調整が必要になる。
強化学習を用いたリコメンデーションシステムのpythonによる実装について
リコメンデーションシステムの実装に強化学習を使用する場合、通常はユーザのフィードバック(報酬)を基にエージェントが学習するアプローチを取る。以下に、Pythonを使用した簡単な強化学習によるリコメンデーションシステムの実装例を示す。
import numpy as np
# ユーザの行動履歴とフィードバックをシミュレートしたデータ
user_history = {
'user1': [(1, 5), (2, 4), (4, 2)],
'user2': [(1, 4), (3, 3)],
'user3': [(2, 3), (4, 5), (5, 1)]
}
# アイテムの数と特徴量の次元数
num_items = 5
num_features = 10
# Qテーブルの初期化
Q_table = np.zeros((num_items, num_features))
# 学習パラメータ
learning_rate = 0.1
discount_factor = 0.9
num_episodes = 100
# Q学習の実行
for episode in range(num_episodes):
for user, history in user_history.items():
state = np.zeros(num_features)
for item_id, rating in history:
# 状態と行動のインデックスを取得
state_index = item_id - 1
action_index = np.argmax(Q_table[state_index])
# フィードバックから報酬を計算
reward = rating
# Q値の更新
Q_table[state_index][action_index] += learning_rate * (reward + discount_factor * np.max(Q_table[state_index]) - Q_table[state_index][action_index])
# 状態の更新
state[state_index] = 1
# 学習されたQテーブルを使用して推薦を行う
def recommend_items(user):
history = user_history[user]
state = np.zeros(num_features)
for item_id, _ in history:
state[item_id - 1] = 1
action_index = np.argmax(Q_table[state])
return action_index + 1 # 推薦されるアイテムのID
# ユーザに対して推薦を行う
user = 'user1'
recommended_item = recommend_items(user)
print(f"Recommended item for {user}: {recommended_item}")
この例では、ユーザの過去の行動履歴とフィードバックをシミュレートしたデータを使用して、Q学習によるリコメンデーションシステムを実装している。ここではQテーブルを用いて、各アイテムの状態と行動に対するQ値を学習し、最適な行動を選択する。
実際のリコメンデーションシステムの実装では、データの前処理や特徴量の抽出、アクションの選択方法など、さまざまな要素が関与しより複雑なアルゴリズムやモデルが必要になる。
強化学習を用いた交通システムのpythonによる実装について
強化学習を使用した交通システムの実装には、さまざまな応用がある。以下に、Pythonを使用した強化学習による交通システムの実装例について述べる。
- 信号制御: 強化学習を使用して交差点の信号制御を最適化することができる。エージェントは交通量や待ち時間などの情報を入力とし、信号のタイミングやフェーズを学習する。
- 自動運転制御: 強化学習を使用して自動運転車の制御を行うことができる。エージェントは周囲の車両や歩行者の動きなどの情報を入力とし、安全性や効率性を考慮した運転行動を学習する。
- ルート選択: 強化学習を使用して交通ネットワーク内のルート選択を最適化することができる。エージェントは出発地と目的地の情報を入力とし、最適な経路や移動手段を学習する。
具体的な実装方法は、利用するデータやアルゴリズムによって異なるが、一般的な手順としては、以下のような流れで実装を行う。
- データの収集: 交通量や信号の状態、車両の位置など、交通システムに関連するデータを収集する。
- 状態空間の設計: 収集したデータから、エージェントの状態空間を設計する。これは例えば、交通量や信号の状態などを状態として使用することがある。
- 行動空間の定義: エージェントが取ることができる行動の範囲を定義する。これは例えば、信号のフェーズ変更、車両の加速度制御などを行動として考えることができる。
- 報酬の設計: エージェントが目指すべき目標や評価基準を表す報酬を設計する。これは例えば、交通の円滑さや待ち時間の短さを報酬として使用するようなケースがある。
- 強化学習のアルゴリズムの選択と実装: 強化学習のアルゴリズム(例: Q学習、DQN、DDPGなど)を選択し、実装する。これには、Pythonの機械学習ライブラリであるTensorFlowやPyTorchを使用することが一般的となる。
- 学習と評価: エージェントを収集したデータで学習させ、訓練済みエージェントの性能を評価する。これは交通効率や信号の待ち時間などの指標を確認しながら、モデルの調整や改善を行うようなものとなる。
実際の交通システムの応用においては、交通フローのモデリング、制約条件の考慮、多エージェントの相互作用など、さまざまな要素が関与し、安全性や効率性の確保にはさらなる検討と評価が必要となる。
強化学習を用いたファイナンスのpythonによる実装について
強化学習を使用したファイナンスの実装には、さまざまな応用がある。以下に、Pythonを使用した強化学習によるファイナンスの実装例について述べる。
- ポートフォリオ最適化: 強化学習を使用して、複数の資産の組み合わせで構成されるポートフォリオの最適化を行うことができる。エージェントは価格データや他の関連情報を入力として受け取り、投資配分の決定を行う。
- トレーディング戦略の学習: 強化学習を使用して、トレーディング戦略を学習することができる。エージェントは市場データやテクニカル指標などの情報を入力とし、取引のタイミングや方向性を学習する。
- リスク管理: 強化学習を使用して、リスク管理のモデルを構築することができる。エージェントは投資ポジションの管理やリスク制御を学習し、リスクを最小化するような戦略を開発する。
具体的な実装方法は、利用するデータやアルゴリズムによって異なるが、一般的な手順としては、以下のような流れで行う。
- データの収集: 株価データや経済指標など、ファイナンスに関連するデータを収集する。
- 状態空間の設計: 収集したデータから、エージェントの状態空間を設計する。これには例えば、過去の価格変動やテクニカル指標などを状態として使用することがある。
- 行動空間の定義: エージェントが取ることができる行動の範囲を定義する。これは例えば、資産の買い注文、売り注文、ホールドなどを行動として考えることができる。
- 報酬の設計: エージェントが目指すべき目標や評価基準を表す報酬を設計する。これには例えば、ポートフォリオの収益やリスク指標を報酬として使用することがある。
- 強化学習のアルゴリズムの選択と実装: 強化学習のアルゴリズム(例: Q学習、DQN、DDPGなど)を選択し、実装する。ここではPythonの機械学習ライブラリであるTensorFlowやPyTorchを使用することが一般的となる。
- 学習と評価: エージェントを収集したデータで学習させ、訓練済みエージェントの性能を評価する。性能指標やリターンの推移などを確認しながら、モデルの調整や改善を行う。
実際のファイナンスの応用においては、データの前処理、特徴量の選択、モデルの最適化など、さまざまな要素が関与し、リスク管理や投資戦略の適用にはさらなる検討と評価が必要となる。
参考情報と参考図書
強化学習の詳細は”様々な強化学習技術の理論とアルゴリズムとpythonによる実装“に記載している。そちらも参照のこと。
参考図書としては”「強化学習」を学びたい人が最初に読む本“
“機械学習スタートアップシリーズ Pythonで学ぶ強化学習“
“つくりながら学ぶ!深層強化学習 PyTorchによる実践プログラミング“等を参照のこと。
コメント
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[…] 、ε-グリーディ法と比較して確率的な探索を行うため、探索の戦略を柔軟に調整することができる。強化学習に関しては”強化学習技術の概要と各種実装について“も参照のこと。 […]
[…] は、報酬信号を最大化するように学習し、適切な翻訳を生成するためにトレーニングされる。強化学習の詳細に関しては”強化学習技術の概要と各種実装について“も参照のこと。 […]
[…] “強化学習技術の概要と各種実装について“で述べている強化学習は、エージェントが時間的な変化に対応する方法を学習するために使用される。特に、強化学習を用いたグラフ […]
[…] Learning)を用いたAIは、AlphaGoやAlphaZeroのように高度な戦略を学習し、プロのプレイヤーを打ち負かすことがある。詳細は”強化学習技術の概要と各種実装について“を参照のこと。 […]
[…] 決定木やランダムフォレストの少佐に関しては”決定木の概要と応用および実装例について“等を参照のこと。サポートベクトルマシンに関しては”サポートベクトルマシンの概要と適用例および各種実装について“等を、深層学習については”python Kerasの概要と基本的な深層学習タスクへの適用例“等を、クラスタリングに関しては”k-meansの使いこなしの為のクラスタリングの評価について“や”Rによる階層クラスタリング“等を、強化学習に関しては”強化学習技術の概要と各種実装について̶ […]
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