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ブルースについて
ブルースは、現代のポピュラーミュージックのルーツの一つであり、重要な役割を果たすジャンルの一つであり、以下のような音楽となる。
ブルースは19世紀後半にアメリカ深南部で奴隷としてアフリカから連れてこられたアフリカ系アメリカ人とその子孫から生まれた音楽・楽式の一種であり、当時の人々の苦しく切ない心の叫びが生み出す音楽であった。初期のブルースの歌詞としては以下のようなシンプルなものとなる。
今朝目を覚ましたら俺のブルースが 人間みたいに歩いていたぜ 今朝目を覚ましたらおれのブルースが 人間みたいにあるいていたんだ なぁブルースさんよ 右手を出しなよ 今朝、手紙を受け取ったよ おれは手紙を読んだ 今朝、手紙を受け取ったよ おれは手紙を読んだ マディ・ウォーターズよ 家に帰った方がいいよ おまえの恋人が死んだぜ
ブルース「BLUES」はブルーな気分、悲しみや落ち込みという意味があり、パーソナル・コメンタリー(自分自身の魂の叫び)を歌う音楽となる。後にブルースから生まれるジャズはよりソティスフィケイテッドされソーシャル・コメンタリー(社会の言葉)と呼ばれるものとなり、同様にブルースから生まれたロックはそのエネルギッシュな部分が強められ他ものとなっていく。
ブルースは黒人霊歌・フィールドハラー、ワーク・ソングから生まれたものと言われている。ブルースの演奏者は貧しかったため、その演奏スタイルは比較的手に入れやすかったギターを用いたアコースティックギターによる弾き語りスタイルが主となっていた。
ブルースの特徴
アメリカでは1640年から1865年まで(日本では江戸自体にあたる)合法的に奴隷制度があって、アフリカから奴隷商人によって多くの黒人がアメリカに連れてこられた。ブルースは黒人奴隷たちが畑仕事など貧しく過酷な労働を余儀なくされ、苦労の中で故郷を想い、故郷の旋律で歌を歌っていたことが始まりとされている。
初期のブルースは、アフリカから持ち込んだコール&レスポンス、黒人霊歌、教会旋法が使われた讃美歌のメロディなどの要素全てが合わさったものと言われている。
コール&レスポンス(呼びかけと応答)形式の音楽は、ワークソング、フィールドハラーなどとも呼ばれ、労働時のかけ声のような感じで歌われていたもの(ワークソング)、各々が別の場所で働く場で歌われたもの(フィールドハラー)など、労働の中での歌や厳しい生活を忘れるためのものであった。
これに、キリスト教に出会った黒人らが、神が必ず救い出して下さるという信仰によってつくりあげた歌唱スタイルが、黒人霊歌となり、さらに、キリスト教の古い讃美歌、中でも特に18世紀イギリスの(非国教会の)牧師で讃美歌作家だったアイザック・ウォッツの作った讃美歌を融合させたものが多く見られる。これら初期のアメリカではヨーロッパ(特に”街道をゆく アイルランド紀行(1) 英国の旅“や”街道をゆく アイルランド紀行(1) アイルランド“で述べたようにイギリスやアイルランド)の影響を受けている。
ブルースのスケールの特徴である「ブルーノート」スケールでは、通常のメジャースケールと比べて「ミ」と「シ」が半音下がる。
実はミとシの音が半音下がるというのはテューダー朝(15世紀末から16世紀のイギリスの王朝)時代よりはるかに前からのアングロサクソン(ゲルマン系部族)やケルト民族音楽の特徴でもあった。
有名な「グリーンスリーヴス」も、メロディー上昇時はシの音が半音上がり、下降時はシの音が半音下がる。ピーター・ファン=デル=マーヴェの「ポピュラー音楽の基礎理論」でも、アングロサクソンやケルトの民族音楽がブルースに与えた影響は大きいと書かれている。
また、ブルースは12小節の基本的な和声進行を持っていることも特徴となる。この進行は「I7 – IV7 – V7」などのコードによって構成され、特徴的なブルースの響きを生み出している。
ブルースの種類とアーティスト
ブルースには、さまざまなジャンルが存在し、地域や時代によって異なる音楽スタイルが生まれている。以下に主要なブルースのジャンルについて述べる。
カントリー・ブルース:
- ミシシッピ・デルタブルース: アメリカ南部のミシシッピ川領域は、奴隷解放後も黒人差別が依然として厳しかった地域で白人文化の影響も少なかった為、アフリカ・スタイルが強いソウルフルな歌い方や曲調が特徴で、打楽器を使いリズムも激しく、12小節の枠にとらわれず、ハラー(ホラー、叫び)の歌唱法でヒステリックな印象となる。アフリカ民族色の強いソウルフルな歌い方や曲調も特徴であり、代表的なミュージシャンとして、デルタ・ブルースの創始者ともいわれるチャーリー・パットン、伝説のブルースマンとして広く知られるロバート・ジョンソンなどがいる。
- テキサス・ブルース : ミシシッピに比べ、テキサスは解放宣言以前から解放政策があった地域なので、12小節から大きく外れることなく、歌とギターのコール&レスポンスがはっきりしていてメロディーも現在のブルースに比較的近いスタイルとなる。ミシシッピデルタより泥臭くなく、代表的なブルースミュージシャンとしては、生まれながらにして盲目だった戦前ブルースの巨人ブラインド・レモン・ジェファーソン、楽器は弾かず歌のみで勝負していたテキサス・アレキサンダー、1940年以降ならライトニン・ホプキンスなどがいる。
- イーストコースト・ブルース: 代表的なブルースミュージシャンは、12弦ギターの名手ブラインド・ウィリー・マクテル、ラグタイムブルースの凄腕ギタリストであるブラインド・ブレイク、いろいろなスタイルで演奏できたとされるブラインド・ボーイ・フラーなどがいる。
シティ・ブルースとクラッシックブルース:
- シティ・ブルース: 第一次世界大戦(1914~1918)の時から、南部の黒人たちはシカゴなどの北部の都市へ仕事を求め移動していく、シティ・ブルースはカントリー・ブルースのように男性がギターで弾き語りをするスタイルとなる。
- クラッシック・ブルース : 女性中心でピアノやビッグバンドをバックに歌いあげるスタイルで、カントリーブルースにエンターテイメント性を与えたものとなる。マミー・スミスの「That Called Love」は初めてレコード化された記念すべきブルースとなる。
- シカゴ・ブルース: 他の黒人たち同様デルタのブルースマンたちがシカゴへ移住してきました。当時のマックスウェルズ・ストリートはストリートミュージシャンで溢れかえりその中から後のシカゴブルースを代表するブルースマンが誕生する。シカゴ・ブルースはエレクトリック楽器やバンドが使用されることが特徴で、都市の生活や労働者階級のテーマを取り上げた歌詞が多く、ミュージシャンたちが多くのジャズやロックの要素を取り入れていた。代表的なミュージッシャンであるマディー・ウォーターズもミシシッピからシカゴへ移住した一人で、当時流行していたシティ・ブルースとデルタ・スタイルを融合することでシカゴ・ブルースを確立した。
- アーバン・ブルース: 黒人が北部や西部の都市に大移動したことで、テキサスからウエストコースト地域で生まれた新たなブルース・スタイルとなる。ジャズとの繋がりがより深まったスタイルで、クラシック・ブルースに比べジャズに寄りすぎることもなく、シティ・ブルースほど弾き語りのみにこだわったものでもない。代表アーティストであるTボーン・ウォーカーはコンボを叩くバンドをバックにギターソロを弾くなどロックに通じるスタイルを確立している。
- モダン・ブルース : このころにはラジオなども普及し地域ごとに特徴があったブルースもB.Bキングらの手により次第に統合され、モダン・ブルースと呼ばれるようになる。大人っぽさがあり、下記に紹介する現代のブルースで、リズム&ブルース以降を指すスタイルを確率し、シティ・シカゴ・アーバンの流れを受けている。B.B.キング、アルバートキング、フレディ・キング(=通称「三大キング」)などを含む、いわゆる現代のブルースの総称がこの流れとなる。
近代のブルース:
- ブルース・ロック(Blues Rock): ブルースとロックの要素を組み合わせたジャンル。エレクトリックギターを中心にした演奏や歌詞のテーマが特徴で、エリック・クラプトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンなどが代表的なアーティストとなる。
ブルースの多様性は非常に広く、地域や文化の影響を受けてさまざまなスタイルが生まれました。ブルースは感情や人生のストーリーを歌に込めることで知られ、音楽の歴史において重要な位置を占めている。
ブルースの曲をclojureのovertuneで作曲する実装例
“数学と音楽とコンピューター“で述べたOvertoneは、Clojure言語をベースにした音楽プログラミングライブラリで、音楽の合成や演奏を行うためのツールとなる。このOvertoneを使用してブルースを作曲し演奏する実装例を以下に示す。Clojureの詳細に関しては”Clojureと関数プログラミング“を参照のこと。
まず、Overtoneをプロジェクトに追加するために、プロジェクト.cljファイルに以下の依存関係を追加する
:dependencies [[overtone "0.10.3"]]
次に、Overtoneをインポートして使えるようにする
(ns your-namespace.core
(:use [overtone.core]))
以下はシンプルな12小節のブルースの曲を生成するClojureコードの例となる。
(defn play-blues []
(definst guitar (sin-osc 440)) ; ギターの音
(definst bass (sin-osc 110)) ; ベースの音
(definst drums (mono (perc 0.2 0.2))) ; ドラムの音
; 12小節のブルース進行 (I-IV-V)
(def blues-chords [[:C4 :F4 :G4] [:F4 :Bb4 :C5] [:G4 :C5 :D5]])
; メロディを演奏
(defn play-melody [notes]
(if (seq notes)
(let [note (first notes)]
(at (now) (guitar note))
(Thread/sleep 500) ; 500ミリ秒の休憩
(play-melody (rest notes)))
(at (now) (guitar 0))))
; ブルースの曲を演奏
(doseq [chord blues-chords]
(play-chord chord 500)
(play-melody (map note (rand-nth chord)))
(Thread/sleep 2000))
; ベースとドラムのリズムを演奏
(at (now)
(do
(bass 0.5)
(drums 0.5)))
(Thread/sleep 8000) ; 曲が終わるのを待つ
(kill guitar) ; 楽器を停止
(kill bass)
(kill drums))
(play-blues) ; ブルースの曲を演奏
このコードは、シンプルなギター、ベース、ドラムのパートを生成し、12小節のブルース進行を演奏しており、メロディラインはランダムに選択されたコードの音符から生成されている。プレイバックが終了するまで待機するために Thread/sleep
が使用される。
コメント
[…] ブルースの歴史とClojureによる自動生成 […]
[…] 2. 韻律とリズム: 言葉や文章のリズムや韻律は、美の要素として特に詩や音楽、朗読などで顕著に現れる。韻律的なパターンやリズミカルな言葉の並びは、聞き手や読者に心地よさや感動をもたらし、詩のスキャンや音楽の拍子などがこれに該当する。”ブルースの歴史とClojureによる自動生成“で述べているコール&レスポンス、ワークソング、フィールドハラーなどのシンプルな韻律とリズムは、それらの最もシンプルな現れだと考えることができる。 […]