自己教師あり学習について
自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)は、機械学習の一種であり、教師あり学習の一種と考えることができる。教師あり学習では、ラベル付きのデータを使用してモデルを訓練するのに対して、自己教師あり学習では、ラベルの代わりにデータ自体を利用してモデルを訓練する手法となる。
自己教師あり学習のアイデアは、データ内部の情報や構造を利用して、モデルを学習する方法であり、具体的な手法としては、次のようなものがある。
- 教師シグナルの生成: データから教師信号を生成して、それを使用してモデルを訓練する。例えば、テキストデータの場合、文章内の一部を隠し、その隠された部分をモデルに予測させることで、文脈を理解する能力を養うことができる。
- 自己回帰モデル: 一部のデータを入力とし、その後のデータを予測するモデルを構築する。これにより、モデルはデータ内のパターンや構造を学習し、未来のデータを予測する能力を獲得する。
- 敵対的生成ネットワーク(GAN): “GANの概要と様々な応用および実装例について“でも述べているGANは、生成モデルと識別モデルが互いに競い合う構造を持つネットワークとなる。生成モデルはデータを生成し、識別モデルは本物のデータと生成されたデータを区別しようとし、この競争によって、生成モデルは本物のデータの特徴を学習することができる。
自己教師あり学習は、ラベルが少ないデータセットで効果的にモデルを訓練する場合に特に役立つものであり、例えば、大規模な未ラベルのデータセットを用いて、そのデータの特徴や構造を学習し、その後、少量のラベル付きデータを用いてタスク特有の調整を行うことが可能な手法となる。
自己教師あり学習は、画像、テキスト、音声などさまざまなデータモダリティに適用され、その効果が広く研究されており、この手法は、現代の機械学習の進化において重要な位置を占めている。
自己教師あり学習に用いられるアルゴリズムについて
自己教師あり学習にはさまざまなアルゴリズムが存在している。以下にいくつか代表的なアルゴリズムについて述べる。
- Masked Language Model(MLM): テキストデータを対象とする自己教師あり学習の手法で、”BERTの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)などで使用されている。これは、テキスト内の一部の単語をマスクして、そのマスクされた部分を元の単語に復元するようなタスクをモデルに学習させるもので、これにより、モデルは文脈や文法を理解する能力を獲得することができる。
- Autoregressive Models: シーケンシャルデータ(テキスト、音声、時系列データなど)に対して使用される手法となる。”RNNの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているRNN(Recurrent Neural Networks)や”LSTM(Long Short-Term Memory)について“で述べているLSTM(Long Short-Term Memory)、”GRUの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているGRU(Gated Recurrent Unit)などが代表的なアルゴリズムがあり、モデルは過去の情報を利用して、次のデータを予測するように訓練される。
- Contrastive Learning: 画像やテキストデータなどを対象とするアルゴリズムで、異なるビューからのデータを同じクラスとしてまとめることで、データの特徴を学習するものとなる。代表的な手法には、SimCLR(Simple Contrastive Learning)やMoCo(Memory-Augmented Contrastive)がある。
- Generative Adversarial Networks(GANs): 画像生成などに使われるGANは、生成モデルと識別モデルが競合する構造を持っている。生成モデルは本物のデータに似たデータを生成し、識別モデルは本物のデータと生成されたデータを区別しようとする。このプロセスによって、生成モデルは本物のデータの特徴を学習することができる。
- Spatial Autoencoders: 画像データに対する自己教師あり学習手法で、画像内の一部を隠して入力データとし、その隠れた部分を再構築するようにモデルを訓練するものとなる。これにより、モデルは画像内の特徴や構造を捉える能力を向上させることができる。
自己教師あり学習に用いられるライブラリとプラットフォームについて
自己教師あり学習に用いられるライブラリやプラットフォームは、機械学習コミュニティで広く利用されている。以下にいくつかの代表的なライブラリやプラットフォームについて述べる。
- PyTorch: PyTorchは、深層学習のためのオープンソースのライブラリで、自己教師あり学習の手法を実装する際に広く使用されている。PyTorchを使用すると、異なる自己教師あり学習アルゴリズムを簡単に実装できる。
- TensorFlow: TensorFlowは、Googleが開発したオープンソースの深層学習ライブラリであり、自己教師あり学習の手法もサポートされている。TensorFlowを使用することで、自己教師あり学習アルゴリズムを構築してトレーニングすることができる。
- Hugging Face Transformers: Hugging Faceは、自然言語処理タスクに特化したライブラリを提供している。”Transformerモデルの概要とアルゴリズム及び実装例について“でも述べてるTransformersライブラリは、”BERTの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているBERTや“GPTの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているGPTなどのモデルを含む自己教師あり学習モデルを簡単に利用できるようになっている。
- fastai: fastaiは、PyTorchを基にした高水準のディープラーニングライブラリで、自己教師あり学習のアプローチを簡単に実装するためのユーティリティを提供している。
- Facebook AI Research’s Fairseq: Fairseqは、Facebook AI Researchによって開発されたシーケンス・トゥ・シーケンスタスクに特化したライブラリで、自己教師あり学習タスクにも利用されている。
- OpenAI’s CLIP: OpenAIのCLIPは、画像とテキストを関連付けて理解するモデルで、自己教師あり学習の一例であり、CLIPを用いて、異なるデータモダリティの関連付けを行うことができる。
自己教師あり学習の適用事例について
自己教師あり学習は、さまざまなデータモダリティやタスクに適用されている。以下に、自己教師あり学習の適用事例について述べる。
- 自然言語処理(NLP):
- 言語モデリング: テキスト内の単語やフレーズの予測を通じて、文脈や言語構造を学習することができる。
- テキスト埋め込み: テキストの一部を隠し、その文脈から復元するタスクによって、単語や文の意味的な埋め込みを学習できる。
- 画像処理:
- 自己生成モデル: 画像内の一部を隠し、その部分を復元するタスクによって、画像内の特徴や構造を学習する。これには例えば、画像内の一部をマスクして復元するAutoencoderなどがある。
- コントラスティブラーニング: 異なるビューからのデータを同じクラスとしてまとめることで、画像の特徴を学習する。これにより、類似した画像を見分ける能力が向上させることが可能となる。
- 音声処理:
- オートエンコーダー: 音声データ内の一部をマスクし、復元することで音声の特徴を学習する。音声認識や生成に役立つ。
- コントラスティブラーニング: 異なる発話からの音声データを同じクラスとして学習し、音声の特徴を抽出することができる。
- 異常検知:
- 異常検知では、正常なデータを自己教師あり学習モデルで学習し、新たなデータが異常かどうかを判定するために使用される。正常データにのみ訓練されたモデルは、異常なパターンを検出する能力を持つ。
- 半教師あり学習:
- ラベルの付いていないデータとラベルの付いたデータを組み合わせて、モデルをトレーニングする半教師あり学習にも自己教師あり学習が応用される。ラベルのないデータから生成された教師信号を使用して、モデルをトレーニングすることができる。
- 動作認識:
- モーションデータを対象として、自己教師あり学習を使用して動作の特徴を抽出することが可能となる。これは、センサーデータや動画データなどに適用される。
これらの適用事例は、自己教師あり学習の幅広い可能性を示している。データが豊富でない、ラベルが制約されている、またはラベルが高価な場合など、教師あり学習が難しい状況で特に有用なアプローチとなる。
自然言語処理に自己教師あり学習を適用した実装例
自然言語処理(NLP)における自己教師あり学習の実装例として、テキスト埋め込みの学習を行うBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)モデルについて述べる。BERTは、大規模なコーパスから学習された自己教師ありモデルで、事前学習された特徴を他のNLPタスクに”転移学習の概要とアルゴリズムおよび実装例について“でも述べている転移学習することができる。
以下に、Hugging Face Transformersライブラリを使用してBERTモデルをファインチューニングするための簡単な実装例を示す。この例では、テキスト分類タスク(二値分類)を対象としている。
import torch
from transformers import BertTokenizer, BertForSequenceClassification
from transformers import AdamW
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.metrics import accuracy_score
# データ準備(ダミーデータ)
sentences = ["I like pizza.", "I hate broccoli.", "Pizza is delicious.", "Broccoli is gross."]
labels = [1, 0, 1, 0] # 1: Positive, 0: Negative
# データの分割
train_sentences, val_sentences, train_labels, val_labels = train_test_split(sentences, labels, test_size=0.2, random_state=42)
# BERTトークナイザーのロード
tokenizer = BertTokenizer.from_pretrained('bert-base-uncased', do_lower_case=True)
# データのトークン化とエンコード
train_encodings = tokenizer(train_sentences, truncation=True, padding=True)
val_encodings = tokenizer(val_sentences, truncation=True, padding=True)
# BERTモデルのロード
model = BertForSequenceClassification.from_pretrained('bert-base-uncased', num_labels=2)
# データローダー
train_dataset = torch.utils.data.TensorDataset(torch.tensor(train_encodings['input_ids']),
torch.tensor(train_encodings['attention_mask']),
torch.tensor(train_labels))
train_loader = torch.utils.data.DataLoader(train_dataset, batch_size=2, shuffle=True)
# オプティマイザー
optimizer = AdamW(model.parameters(), lr=1e-5)
# トレーニングループ
num_epochs = 5
for epoch in range(num_epochs):
model.train()
for batch in train_loader:
optimizer.zero_grad()
input_ids, attention_mask, batch_labels = batch
outputs = model(input_ids, attention_mask=attention_mask, labels=batch_labels)
loss = outputs.loss
loss.backward()
optimizer.step()
# バリデーション
model.eval()
with torch.no_grad():
val_outputs = model(val_encodings['input_ids'], attention_mask=val_encodings['attention_mask'])
val_predictions = torch.argmax(val_outputs.logits, dim=1)
val_accuracy = accuracy_score(val_labels, val_predictions)
print(f"Epoch {epoch+1}: Validation Accuracy = {val_accuracy:.4f}")
画像処理に自己教師あり学習を適用した実装例
画像処理における自己教師あり学習の実装例として、自己生成モデルの一つである画像デノイジング・オートエンコーダーの実装について述べる。この例では、MNISTデータセットの数字画像を対象として、画像デノイジングを行うための自己教師あり学習モデルを構築する。
以下に、PyTorchを使用した画像デノイジング・オートエンコーダーの実装例を示す。
import torch
import torch.nn as nn
import torch.optim as optim
import torchvision
import torchvision.transforms as transforms
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
# データの前処理とロード
transform = transforms.Compose([
transforms.ToTensor(),
transforms.GaussianBlur(kernel_size=3) # データをノイズ付きにする
])
train_dataset = torchvision.datasets.MNIST(root='./data', train=True, transform=transform, download=True)
train_loader = torch.utils.data.DataLoader(dataset=train_dataset, batch_size=64, shuffle=True)
# オートエンコーダーの定義
class Autoencoder(nn.Module):
def __init__(self):
super(Autoencoder, self).__init__()
self.encoder = nn.Sequential(
nn.Linear(28*28, 128),
nn.ReLU(),
nn.Linear(128, 64),
nn.ReLU()
)
self.decoder = nn.Sequential(
nn.Linear(64, 128),
nn.ReLU(),
nn.Linear(128, 28*28),
nn.Sigmoid() # 0から1の範囲の値を出力
)
def forward(self, x):
x = self.encoder(x)
x = self.decoder(x)
return x
# モデルのインスタンス化と訓練
autoencoder = Autoencoder()
criterion = nn.MSELoss()
optimizer = optim.Adam(autoencoder.parameters(), lr=0.001)
num_epochs = 10
for epoch in range(num_epochs):
for data in train_loader:
img, _ = data
img = img.view(img.size(0), -1)
noisy_img = img + 0.1 * torch.randn(img.size()) # ノイズを加える
optimizer.zero_grad()
output = autoencoder(noisy_img)
loss = criterion(output, img)
loss.backward()
optimizer.step()
print(f"Epoch [{epoch+1}/{num_epochs}], Loss: {loss.item():.4f}")
# デノイズされた画像の表示
noisy_imgs, _ = iter(train_loader).next()
noisy_imgs = noisy_imgs.view(noisy_imgs.size(0), -1)
denoised_imgs = autoencoder(noisy_imgs)
denoised_imgs = denoised_imgs.view(-1, 1, 28, 28)
plt.figure(figsize=(10, 4))
for i in range(10):
plt.subplot(2, 10, i+1)
plt.imshow(noisy_imgs[i].reshape(28, 28), cmap='gray')
plt.axis('off')
plt.subplot(2, 10, i+11)
plt.imshow(denoised_imgs[i].detach().numpy().reshape(28, 28), cmap='gray')
plt.axis('off')
plt.tight_layout()
plt.show()
この例では、MNISTデータセットの数字画像にノイズを加え、ノイズの除去を行うためのオートエンコーダーを構築している。オートエンコーダーは、ノイズ付きの画像を入力とし、ノイズを除去して元の画像に復元するように学習し、デノイズされた画像とノイズ付き画像の比較が示されている。
音声処理に自己教師あり学習を適用した実装例
音声処理における自己教師あり学習の実装例として、自己教師あり音声生成モデルであるWaveGANの実装について述べる。WaveGANは、音声波形を生成するためのGAN(Generative Adversarial Network)ベースの手法となる。
以下に、PyTorchを使用したWaveGANの簡単な実装例を示す。この例では、WaveGANを使用して短いノイズから音声波形を生成している。
import torch
import torch.nn as nn
import torch.optim as optim
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
# ハイパーパラメータ
num_samples = 16000 # 1秒間のサンプル数
num_channels = 1 # モノラル音声
latent_dim = 100 # 潜在ベクトルの次元数
# 生成器ネットワーク
class Generator(nn.Module):
def __init__(self):
super(Generator, self).__init__()
self.layers = nn.Sequential(
nn.ConvTranspose1d(latent_dim, 256, kernel_size=4, stride=2, padding=1),
nn.ReLU(),
nn.ConvTranspose1d(256, 128, kernel_size=4, stride=2, padding=1),
nn.ReLU(),
nn.ConvTranspose1d(128, 64, kernel_size=4, stride=2, padding=1),
nn.ReLU(),
nn.ConvTranspose1d(64, num_channels, kernel_size=4, stride=2, padding=1),
nn.Tanh()
)
def forward(self, z):
return self.layers(z)
# ノイズ生成
def generate_noise(num_samples, latent_dim):
return torch.randn(num_samples, latent_dim)
# 生成器のインスタンス化
generator = Generator()
# 損失関数とオプティマイザ
criterion = nn.MSELoss()
optimizer = optim.Adam(generator.parameters(), lr=0.0002, betas=(0.5, 0.999))
# 学習ループ
num_epochs = 200
for epoch in range(num_epochs):
noise = generate_noise(num_samples, latent_dim)
fake_samples = generator(noise)
target = torch.zeros(fake_samples.size())
loss = criterion(fake_samples, target)
optimizer.zero_grad()
loss.backward()
optimizer.step()
if (epoch + 1) % 10 == 0:
print(f"Epoch [{epoch+1}/{num_epochs}], Loss: {loss.item():.4f}")
# 生成された音声波形の表示
generated_noise = generate_noise(num_samples, latent_dim)
generated_waveforms = generator(generated_noise).detach().numpy()
plt.figure(figsize=(10, 4))
for i in range(10):
plt.subplot(2, 10, i+1)
plt.plot(generated_waveforms[i].squeeze())
plt.axis('off')
plt.tight_layout()
plt.show()
この実装例では、WaveGANを使用してノイズから音声波形を生成している。生成された音声波形をグラフで表示し、WaveGANの詳細な設定やモデルの改善は、実際のデータやタスクに合わせて調整する必要がある。自己教師あり学習を音声処理に適用する場合、生成モデルや音声の特徴抽出モデルを設計し、適切なデータセットとハイパーパラメータを用いて訓練を行うことが重要となる。
異常検知に自己教師あり学習を適用した実装例
異常検知に自己教師あり学習を適用するための一つの実装例として、異常なネットワークトラフィックを検出するAutoencoderベースの手法について述べる。この例では、KDD Cup 1999データセットを使用して、ネットワークトラフィックの異常を検出している。
以下に、PyTorchを使用したAutoencoderによる異常検知の簡単な実装例を示す。
import torch
import torch.nn as nn
import torch.optim as optim
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
from sklearn.metrics import confusion_matrix, classification_report
# データのロード(KDD Cup 1999データセット)
data = torch.load('kddcup_data.pt') # 事前にデータを準備する
# データの標準化
scaler = StandardScaler()
data = scaler.fit_transform(data)
# 訓練データとテストデータに分割
train_data, test_data = train_test_split(data, test_size=0.2, random_state=42)
# Autoencoderの定義
class Autoencoder(nn.Module):
def __init__(self, input_dim, hidden_dim):
super(Autoencoder, self).__init__()
self.encoder = nn.Sequential(
nn.Linear(input_dim, hidden_dim),
nn.ReLU()
)
self.decoder = nn.Sequential(
nn.Linear(hidden_dim, input_dim),
nn.ReLU()
)
def forward(self, x):
encoded = self.encoder(x)
decoded = self.decoder(encoded)
return decoded
# ハイパーパラメータ
input_dim = train_data.shape[1]
hidden_dim = 16
learning_rate = 0.001
num_epochs = 20
# モデルのインスタンス化と訓練
model = Autoencoder(input_dim, hidden_dim)
criterion = nn.MSELoss()
optimizer = optim.Adam(model.parameters(), lr=learning_rate)
for epoch in range(num_epochs):
model.train()
train_loss = 0.0
for data in train_data:
optimizer.zero_grad()
input_data = torch.tensor(data, dtype=torch.float32)
output_data = model(input_data)
loss = criterion(output_data, input_data)
loss.backward()
optimizer.step()
train_loss += loss.item()
print(f"Epoch [{epoch+1}/{num_epochs}], Loss: {train_loss / len(train_data):.4f}")
# テストデータで異常検出を行う
model.eval()
with torch.no_grad():
test_losses = []
anomaly_scores = []
for data in test_data:
input_data = torch.tensor(data, dtype=torch.float32)
output_data = model(input_data)
test_loss = criterion(output_data, input_data)
test_losses.append(test_loss.item())
anomaly_scores.append(test_loss.item())
threshold = torch.mean(torch.tensor(anomaly_scores)) + torch.std(torch.tensor(anomaly_scores))
predicted_labels = [1 if score > threshold else 0 for score in anomaly_scores]
# 評価
true_labels = [1 if loss > threshold else 0 for loss in test_losses]
conf_matrix = confusion_matrix(true_labels, predicted_labels)
report = classification_report(true_labels, predicted_labels)
print("Confusion Matrix:")
print(conf_matrix)
print("\nClassification Report:")
print(report)
この実装例では、KDD Cup 1999データセットを使用して、ネットワークトラフィックの異常検出を行っている。Autoencoderモデルを用いてネットワークトラフィックの正常データを学習し、テストデータで異常スコアを計算して異常を検出している。
半教師あり学習に自己教師あり学習を適用した実装例
半教師あり学習に自己教師あり学習を適用するための一つの実装例として、シンプルな半教師あり分類タスクを行う際に自己教師あり学習を導入する方法を示す。この例では、MNISTデータセットの数字画像を対象として、半教師あり学習を用いて分類タスクを行っている。
以下に、PyTorchを使用した半教師あり学習の実装例を示す。
import torch
import torch.nn as nn
import torch.optim as optim
import torchvision
import torchvision.transforms as transforms
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.metrics import accuracy_score
# データの前処理とロード
transform = transforms.Compose([
transforms.ToTensor()
])
train_dataset = torchvision.datasets.MNIST(root='./data', train=True, transform=transform, download=True)
train_data, unlabeled_data = train_test_split(train_dataset, test_size=0.8, random_state=42)
labeled_loader = torch.utils.data.DataLoader(dataset=train_data, batch_size=64, shuffle=True)
unlabeled_loader = torch.utils.data.DataLoader(dataset=unlabeled_data, batch_size=64, shuffle=True)
# モデルの定義
class Classifier(nn.Module):
def __init__(self):
super(Classifier, self).__init__()
self.layers = nn.Sequential(
nn.Linear(28*28, 128),
nn.ReLU(),
nn.Linear(128, 64),
nn.ReLU(),
nn.Linear(64, 10)
)
def forward(self, x):
x = x.view(x.size(0), -1)
return self.layers(x)
# モデルのインスタンス化と訓練(ラベル付きデータ)
classifier = Classifier()
criterion = nn.CrossEntropyLoss()
optimizer = optim.Adam(classifier.parameters(), lr=0.001)
num_epochs = 10
for epoch in range(num_epochs):
classifier.train()
for data in labeled_loader:
images, labels = data
optimizer.zero_grad()
outputs = classifier(images)
loss = criterion(outputs, labels)
loss.backward()
optimizer.step()
# ラベル付きデータでの評価
classifier.eval()
with torch.no_grad():
all_labels = []
all_predictions = []
for data in labeled_loader:
images, labels = data
outputs = classifier(images)
predictions = torch.argmax(outputs, dim=1)
all_labels.extend(labels.tolist())
all_predictions.extend(predictions.tolist())
accuracy = accuracy_score(all_labels, all_predictions)
print(f"Epoch {epoch+1}: Labeled Data Accuracy = {accuracy:.4f}")
# ラベルなしデータを使った自己教師あり学習
classifier.train()
for epoch in range(num_epochs):
for data in unlabeled_loader:
images, _ = data
optimizer.zero_grad()
outputs = classifier(images)
pseudo_labels = torch.argmax(outputs, dim=1) # 自己教師あり学習での仮ラベル
loss = criterion(outputs, pseudo_labels)
loss.backward()
optimizer.step()
# ラベルなしデータでの評価
classifier.eval()
with torch.no_grad():
all_labels = []
all_predictions = []
for data in unlabeled_loader:
images, _ = data
outputs = classifier(images)
predictions = torch.argmax(outputs, dim=1)
all_predictions.extend(predictions.tolist())
accuracy = accuracy_score(all_labels, all_predictions)
print(f"Epoch {epoch+1}: Unlabeled Data Accuracy = {accuracy:.4f}")
この実装例では、ラベル付きデータとラベルなしデータを使用して、半教師あり学習と自己教師あり学習を組み合わせて分類タスクを行っている。ラベル付きデータを用いて分類器を訓練し、その分類器の出力を用いてラベルなしデータに仮のラベルを付与し、再度分類器を訓練している。
動作認識に自己教師あり学習を適用した実装例
動作認識に自己教師あり学習を適用する一つの実装例として、加速度センサーデータを用いて動作の特徴を抽出するAutoencoderベースの手法について述べる。この例では、UCI Machine Learning Repositoryに提供されている”UCI HAR Dataset”を使用して、動作認識を行っている。
以下に、PyTorchを使用した加速度センサーデータを用いた動作認識の自己教師あり学習の実装例を示す。
import torch
import torch.nn as nn
import torch.optim as optim
import numpy as np
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
# データのロード(UCI HAR Dataset)
data = torch.load('uci_har_data.pt') # 事前にデータを準備する
# データの前処理
scaler = StandardScaler()
data = scaler.fit_transform(data)
# 訓練データとテストデータに分割
train_data, test_data = train_test_split(data, test_size=0.2, random_state=42)
# Autoencoderの定義
class Autoencoder(nn.Module):
def __init__(self, input_dim, hidden_dim):
super(Autoencoder, self).__init__()
self.encoder = nn.Sequential(
nn.Linear(input_dim, hidden_dim),
nn.ReLU()
)
self.decoder = nn.Sequential(
nn.Linear(hidden_dim, input_dim),
nn.ReLU()
)
def forward(self, x):
encoded = self.encoder(x)
decoded = self.decoder(encoded)
return decoded
# ハイパーパラメータ
input_dim = train_data.shape[1]
hidden_dim = 16
learning_rate = 0.001
num_epochs = 20
# モデルのインスタンス化と訓練
model = Autoencoder(input_dim, hidden_dim)
criterion = nn.MSELoss()
optimizer = optim.Adam(model.parameters(), lr=learning_rate)
for epoch in range(num_epochs):
model.train()
train_loss = 0.0
for data in train_data:
optimizer.zero_grad()
input_data = torch.tensor(data, dtype=torch.float32)
output_data = model(input_data)
loss = criterion(output_data, input_data)
loss.backward()
optimizer.step()
train_loss += loss.item()
print(f"Epoch [{epoch+1}/{num_epochs}], Loss: {train_loss / len(train_data):.4f}")
# テストデータで異常検出を行う
model.eval()
with torch.no_grad():
test_losses = []
for data in test_data:
input_data = torch.tensor(data, dtype=torch.float32)
output_data = model(input_data)
test_loss = criterion(output_data, input_data)
test_losses.append(test_loss.item())
threshold = torch.mean(torch.tensor(test_losses)) + torch.std(torch.tensor(test_losses))
predicted_labels = [1 if loss > threshold else 0 for loss in test_losses]
# 評価
true_labels = [1 if loss > threshold else 0 for loss in test_losses]
conf_matrix = confusion_matrix(true_labels, predicted_labels)
accuracy = np.sum(np.diag(conf_matrix)) / np.sum(conf_matrix)
print("Confusion Matrix:")
print(conf_matrix)
print("\nAccuracy:", accuracy)
この実装例では、加速度センサーデータを使用して動作認識を行っている。Autoencoderモデルを用いて正常な動作データを学習し、テストデータで異常スコアを計算して異常を検出している。
参考情報と参考図書
“スモールデータ学習、論理と機械学習との融合、局所/集団学習“にて関連アプローチについて述べているそちらも参照のこと。
また参考図書としては”スモールデータ解析と機械学習“
“Data Analytics: A Small Data Approach“等がある。
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