ゴッホはいかにしてゴッホとなったのか

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ゴッホはいかにしてゴッホとなったのか

2023年末から2024年の初頭までね東京・新宿のSOMPO美術館で、同館を象徴する《ひまわり》を起点にフィンセント・ファン・ゴッホと西洋絵画の巨匠たちの静物画を紹介する展覧会「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展が開幕されていた。

本展は2020年、同館移転後の開館特別企画展として予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大のため中止となり、3年の延期を経て、このたび晴れて開催となったものとなる。内容としては、17世紀オランダから20世紀初頭まで、ヨーロッパの静物画の流れのなかにゴッホを位置づけ、ゴッホが先人たちから何を学び、それをいかに自らの作品に反映させ、さらに次世代の画家たちにどのような影響を与えたかを探るものとなっている。

会場は「伝統/17世紀オランダから19世紀」「花の静物画/『ひまわり』をめぐって」「革新/19世紀から20世紀」の3章で構成されている。

「伝統/17世紀オランダから19世紀」では”オランダ黄金期の写実主義 – レンブラントとフェルメール“でも述べているゴッホ生誕の地であるオランダの絵画からの影響について述べられており、ゴッホがオランダ・ハーグで従兄弟の画家、アントン・マウフェに絵画を学んでいた頃の作品、《麦わら帽のある静物》(1881)が展示されている。

ここではゴッホが描いたモチーフに添わせながら、同様のモチーフの作品を紹介されており、例えばドクロであればピーテル・クラースやヨースト・フェルデナンデスといった17世紀のオランダで活躍した画家たちのヴァニタス画が、果物であればゴッホが共感を憶えていたというリヨン出身の静物画家アントワーヌ・ヴェロンによる《薬缶、瓶、果物のある静物》(1870頃)などが展示され、ヨーロッパの静物画の系譜や、ゴッホが自身の画風を確立していく過程で受けた影響を垣間見ることができる。

「花の静物画/『ひまわり』をめぐって」では、ゴッホが重点的に描いていた花のモチーフに関連した絵画が展示されている。ここではゴッホの代表作であり、SOMPO美術館を代表する絵画である《ひまわり》や《アイリス》などが展示されている。

アイリスはアヤメ科の花で漢字で『菖蒲』とも表記される。ちなみに、機械学習の初学者が分類問題で解くデータセットが「iris」でこれは”花びら/がく片の長さと幅”の4項目のデータセットであり、例えば”決定木の概要と応用および実装例について“では決定木アルゴリズムを用いて分類を行っている。

この花の絵画では、ゴッホらしい生命感のある色彩が現れている。

最後の「革新/19世紀から20世紀」では見たままを写すという印象主義を超えて、個人の主観によって二次元の平面に対象をいかに構築していくのか、ということが試みられ始めた、ポスト印象派以降の時代を中心に扱われている。

ここでは、幾何学的な構成にもとづく独特の様式にたどり着き現代美術にも通じる絵画の新たな表現を切り開いたポール・セザンヌをはじめ、ルノワールやポール・ゴーギャンといった巨匠の作品が本章では展示されている。

また、ゴッホが生きていた時代は、日本では徳川幕府の崩壊と明治維新の時代にあたり、”浮世絵と新版画 – アートの世界の古き良きもの“でも述べているように、1867年にパリで万国博覧会が開かれた時、参加していた徳川幕府が現地で売って旅費の足しにしようと持っていったものを見て、これまでの西洋絵画とは異なる構図に影響を受けたことでも有名である。

例えば、永谷園のお茶漬けのおまけにも入っていた歌川広重の《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》

模写した作品《雨の大橋、広重作品模写》などが残されている。

街道をいく オランダ紀行では、司馬遼太郎がゴッホの軌跡を訪ねている。

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