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コミュニケーションについて
コミュニケーションとは、人々が言葉や身振り手振り、表情、書き言葉、非言語的な手段など、様々な方法を用いて、情報や意見、感情を交換し合い、理解し合うプロセスや方法を指す。
コミュニケーションは人間関係を形成し、深化させる重要な要素であり、個人間やグループ間の情報共有や理解を促進するものであり、情報伝達や意見の交換、感情の表現、問題解決、交渉、関係構築など様々な目的・形態をとる。
効果的なコミュニケーションは、相手を尊重し、明確かつ正確に情報を伝えることが求められる。また、相手の意見や感情に対しても理解を示し、適切に対応することが重要となる。このような良好なコミュニケーションによって、人間関係を円滑にし、問題を解決し、協力関係を築くことができる。
河合俊雄とミヒャエルエンデ
今回は、臨床心理学者として有名な河合俊雄が書いたミヒャエルエンデのMoMoの解説書をベースに述べる。
ミヒャエル・エンデ(Michael Ende、1929年11月12日 – 1995年8月28日)は、児童文学作家として知られているドイツの作家であり、幻想文学やファンタジー小説を中心に創作し、世界的に有名な作品を多数手がけている。
エンデの最も有名な作品の一つは、「はてしない物語」(原題:Die unendliche Geschichte)で、この小説は1979年に出版され、1984年には「ネバーウンディング・ストーリー」として映画化も行われている。物語は、幼い少年アトレユと、ファンタジーの世界「ファンタジア」を舞台にした壮大な冒険を描き、読者を魅了する豊かな想像力に満ちた作品として知られている。
その他のエンデの作品としては、「モモ」や、「ジム・ボタンの機関車大旅行」などがある。これらの作品も幻想的な要素を含みながら、社会的なテーマを探求し、人間の心や想像力について深く考えさせる内容が特徴的となる。
河合俊雄(かわい としお、1927年2月4日 – 2010年12月1日)は、日本の心理学者・精神科医であり、特に、家族療法や心理療法の分野で知られている著名な存在となる。河合俊雄は、東京都生まれで、早稲田大学卒業後、医師免許を取得し、精神科医としての臨床経験を積み、その後、家族療法や心理療法の研究に専念し、独自の理論や手法を展開している。
彼は、人間関係を中心に捉える家族療法の観点から、家族の関係性やコミュニケーションの重要性を強調し、また、患者の心理的な問題を、家族や社会的な背景との関連性を考慮して理解し、治療することを重視している。彼の理論や手法は、日本国内外で多くの心理学者や臨床家に影響を与え、家族療法や心理療法の普及に大きな貢献をした。
また、河合俊雄は著書『人間関係論』や『人間はどこからくるのか』などの著作を通じて、幅広い読者に向けて、人間関係や心の問題についての啓蒙を行っている。彼の著作は、分かりやすい言葉で人間関係や心の深層を解き明かし、多くの人に共感を呼び、支持を受けている。
「モモ」(原題:Momo)
本書を読んだ感想としては、宮沢賢治とかエンデのようなメッセージ性の強いファンタジーは、読んだ当時はピンと来ず、記憶の中では作者自身による独特の挿絵が最も強く残っていたのだが、心理学者らよる解釈という新たな視点での解説はとても新鮮に感じるものであった。
「モモ」は、「灰色の男たち」と呼ばれる時間泥棒と、その灰色の男たちに時間を盗まれる町の人、そして主人公であるモモという少女とその周りの人々からなり、最初は受け身の存在だったモモが様々な体験をしながら最後に立ち上がり、灰色の男たちから町の人々を救うというストーリーになっている。
河合俊雄の解説では、神話や説話の観点での解釈や、二項構造と老若の関係が述べられていて、それが全体のテーマである時間に繋がっている。
また心理学者としての観点から、物語の初頭のモモの「相手の話を聞く」ことについても述べられている。モモが人の話を「ほんとうに」聞くことが出来ることで、話をした人は自分の意思がはっきりしたり、勇気が出たり、何をすべきか考えが浮かんだりすることができ、「なくてはならない存在」なったと物語に述べられている。
「ほんとうに」聞くということは、相手から考えを出す質問をしたりするものではなく、文字通り100%聞くだけの行為のことを言う。現実世界でも心理学のカウンセラーは患者の話を時間をかけて聞き気持ちを落ち着かせて、解決の窓口を見出せることがある。
話を聞いてもらうと言う行為は、人の気持ちを楽にさせる。相手に何らかのものを託せたと思えるだけで心が落ち着くことができるのだ。新理学療法ではまずこの状態に持っていき、次の段階として相手に託せたことで何かが返ってきて自分の中に変化が起こることを目指す。
これは、前回の冷暖自知で述べたのように「あなたの話を聞いています」と理屈で説明しても人は簡単にはそれが分からず、聞いてくれていると言う状態を実際に体験することにより初めて腹に落ちるということだと思う。コミュニケーションは、自分の考えを言うことだけではなく、相手の言うことを(黙って)聞くことで初めて成り立つのだろう。
モモの話はこの後、主題である時間の話に進むのだが、それらはまた別の機会に話をできればと思う。
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