AIプロジェクトは、作る前に「死ぬ」

――今だから言える、AI事前死亡診断の話

AIプロジェクトの相談を受ける中で、
ここ数年、同じ光景を何度も見てきました。

  • PoCは作れた

  • デモも動いた

  • でも、現場では使われない

  • 数ヶ月後、誰もその話をしなくなる

技術的には失敗していない。
でも、プロジェクトとしては「死んでいる」


なぜAIプロジェクトは失敗するのか

理由は意外と単純です。

作る前に、「死なないか」を誰も確認していない。

多くのAIプロジェクトでは、

  • 何をAIに判断させたいのかが曖昧

  • その判断を、今は人がどうしているのか説明できない

  • 失敗したとき、誰が止めるのか決まっていない

  • KPIが単一で、現実の判断を表していない

それでも
「とりあえずPoCを作ってみよう」
となってしまう。


私がやってきたこと

私はこれまで、企業のPoCやAI導入を
200件以上見てきました。

成功例も、失敗例も、
表に出ない“途中で消えた案件”も含めてです。

その後、AIを「作る」のではなく、
判断をどう構造化するかを考えるようになり、

  • 判断設計のホワイトペーパー

  • スコアリングや意思決定の構造

  • 実行に落とすための枠組み

を作ってきましたが、
正直に言うと、それらの多くは
「早すぎた」「重すぎた」として採用されませんでした。

今になって分かります。
組織は、完成形よりも「止める判断」を求めている


今の年になって分かったこと

若い頃は、
「どうやって成功させるか」を考えていました。

今は違います。

「これは作るべきではない」と言えることの方が、
はるかに価値がある。

年齢を重ねると、
実装する体力は落ちるかもしれない。
でも、

  • どこで壊れるか

  • 何が原因で炎上するか

  • 組織が飲み込めない設計は何か

は、むしろはっきり見えるようになります。


AI事前死亡診断とは何か

そこで最近、
私はこんなサービスを始めました。

「AI事前死亡診断」

AIを作る前に、

  • このプロジェクトは成立するか

  • 組織的に回るか

  • 失敗したときに止められるか

を、1〜2週間で診断するものです。

実装はしません。
PoCも作りません。

やるのは、

  • 判断構造のチェック

  • KPIと現実判断のズレの確認

  • 組織・責任・停止条件の整理

そして最後に、
「やるべきか、やらないべきか」を
はっきり言います。


なぜ「止める診断」が必要なのか

企業の立場から見ると、

  • 数千万円の無駄を防げる

  • ベンダーに言いにくい「NO」を外注できる

  • 社内説明の根拠になる

30〜50万円でこれが分かるなら、
高い投資ではないはずです。


最後に

AIは魔法ではありません。
そして、PoCは免罪符でもありません。

作る前に考えるべきことを、
作った後に後悔しているプロジェクトが多すぎる。

63歳になった今、
私はもう「作りましょう」とは簡単に言いません。

代わりに、こう言います。

「まず、死なないかを確認しませんか?」

同じ違和感を持っている方がいれば、
静かにお話しできればと思います。

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