LightGBMの概要と各種言語での実装

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LightGBMの概要

LightGBMは、Microsoftが開発したGradient Boosting Machine(GBM)のフレームワークであり、大規模なデータセットに対して高速かつ高精度なモデルを構築できるように設計されている機械学習のツールとなる。LightGBMでは、主に勾配ブースティングとDecision Treeを用いたアルゴリズムを用いており、データを垂直方向に分割し、ヒストグラムベースのアルゴリズムを使用して、各分割での勾配情報を計算することで、高速な学習を実現している。また、LightGBMはカテゴリ変数の扱いにも優れており、カテゴリ変数を数値に変換せずに直接扱うことがができるものとなる。

LightGBMの主な特徴は以下のようになる。

  • 高速な学習:大規模データセットに対して高速な学習が可能
  • メモリ効率:データを垂直方向に分割して、メモリ使用量を削減
  • カテゴリ変数の扱い:カテゴリ変数を直接扱うことができ、事前に変換する必要がない
  • 高い精度:正確な予測を行うことができる

LightGBMは、Python、R、Java、C++など、多くのプログラミング言語で使用することができ、分類、回帰、ランキング、多値分類など、様々なタスクに対応している。

GBMにおけるDecision Treeは、データを分割することによって、目的変数と説明変数の関係をモデル化するために使用され、弱い学習器であるDecision Treeを複数回繰り返し適用し、各学習器の予測結果と真の値との誤差を最小化するように学習している。LightGBMは、そのGBMアルゴリズムを改良し、高速で効率的な学習を実現しているものとなる。これは具体的には、以下のようなアルゴリズムとなる。

  • Gradient-based One-Side Sampling (GOSS): データの中で、勾配の大きなデータ点をサンプリングして使用し、計算効率を向上させる手法
  • Exclusive Feature Bundling (EFB): データの特徴量をグループ化することによって、データのスパース性を解消し、計算効率を向上させる手法
  • Light Histogram: ヒストグラムによるアルゴリズムを採用することによって、メモリ使用量を削減し、計算効率を向上させる手法

これらのアルゴリズムのうち、Gradient-based One-Side Sampling (GOSS)は、データのサンプリング手法の一つであり、勾配の大きなデータ点をサンプリングして使用することによって、計算効率を向上させることを目的としている。

これをもう少し具体的に言うと、通常のサンプリング手法では、データをランダムにサンプリングすることによって、モデルの学習を高速化することができ、ランダムサンプリングを行うと、勾配の小さいデータ点もサンプリングされるため、学習の効率が悪化することがあのに対して、GOSSでは、勾配の大きなデータ点を優先的にサンプリングし、勾配の小さいデータ点を一定の確率でサンプリングしないようにすることによって、計算効率を向上させるものとなる。GOSSの具体的な手順は以下のようになる。

  1. 全データに対して、勾配の大きさを計算する。
  2. 勾配の大きなデータ点を優先的に選択し、一定の比率で勾配の小さいデータ点をサンプリングしない。
  3. 選択されたデータ点のみを使用して、モデルを学習する。

LightGBMに用いられるもう一つのアルゴリズムであるExclusive Feature Bundling (EFB)は、特徴量エンジニアリングの手法の一つとなる。EFBは、互いに関連のない特徴量を束ねることによって、モデルの学習効率を向上させる原理となる。

EFBに関して、もう少し具体的に説明すると、通常の特徴量エンジニアリングでは、特徴量同士の関係性を考慮して、新しい特徴量を作成することが一般的だが、特徴量同士の関係性がない場合、この手法を使用すると、モデルの学習効率が低下することがあ流のに対して、EFBでは、互いに関連のない特徴量を束ねて新しい特徴量を作成することによって、特徴量同士の関係性を明示的に表現するものとなる。EDBの手順は以下のようになる。

  1. 互いに関連のない特徴量をグループ化する。
  2. グループごとに、最も重要度の高い特徴量を代表として選択する。
  3. 代表特徴量に、グループ内の各特徴量の値を組み合わせて新しい特徴量を作成する。

LightGBMに用いられるアルゴリズムで最後に挙げられたLight Histogram(ライトヒストグラム)は、決定木を学習する際に用いられる特徴量のビン分割方法の一つとなる。これは通常、GBMでは、各特徴量の値域を等間隔のビンに分割し、各ビンごとに値の平均を計算して特徴量の離散化を行うのに対して、Light Histogramでは、等間隔でなく、より頻繁にデータが出現する部分にビンを割り当てることで、より精度の高い離散化を行うことができるものとなる。

Light Histogramでは、ビンの境界を動的に設定するため、通常の等間隔のビン分割よりもメモリ使用量が減少し、速度が向上し、高速かつ正確な特徴量の離散化によって、精度の高い予測モデルを構築することを可能とする。ただし、Light Histogramは、外れ値の影響を受けやすいという欠点があるため、外れ値が存在する場合には、他のビン分割方法を検討する必要がある。

LightGBMの適用事例としては以下のようなものがある。

  • クリックスルー予測(CTR Prediction): LightGBMは、広告クリックの予測を行うCTR予測に使用される。CTR予測では、ユーザーの履歴、広告の属性などの特徴量を入力として、クリックの発生確率を予測することが求められる。
  • 画像認識: LightGBMは、Deep Learningに比べて高速かつメモリ効率が良いことから、画像認識のタスクでも使用される。例えば、セキュリティカメラでの人物検知や、自動運転車の道路認識などが挙げられる。
  • 自然言語処理(NLP): LightGBMは、NLPタスクにおいても広く使用されている。例えば、文書分類や感情分析などのタスクに使用される。
  • レコメンドシステム: LightGBMは、レコメンドシステムにおいても使用される。ユーザーの購買履歴や閲覧履歴などのデータを入力として、商品のレコメンドを行うことが求められる。
  • 時系列データの予測: LightGBMは、時系列データの予測にも使用される。例えば、株価の予測や気温予測などが挙げられる。
LightGBMのPythonによる実装

LightGBMのPythonによる実装は、以下のようになる。

  1. LightGBMをインストールする。
!pip install lightgbm
  1. データセットを読み込む。
import pandas as pd
train_df = pd.read_csv('train.csv')
test_df = pd.read_csv('test.csv')
  1. 特徴量と目的変数を分ける。
X_train = train_df.drop(['target'], axis=1)
y_train = train_df['target']

X_test = test_df.drop(['target'], axis=1)
y_test = test_df['target']
  1. LightGBMのデータセットに変換する。
import lightgbm as lgb

train_data = lgb.Dataset(X_train, label=y_train)
test_data = lgb.Dataset(X_test, label=y_test)
  1. ハイパーパラメータを設定する。
params = {
    'boosting_type': 'gbdt',
    'objective': 'regression',
    'metric': 'rmse',
    'num_leaves': 31,
    'learning_rate': 0.05,
    'feature_fraction': 0.9
}
  1. モデルを学習する。
model = lgb.train(params, train_data, valid_sets=[test_data], early_stopping_rounds=10)
  1. モデルの予測を行う。
y_pred = model.predict(X_test)

実際にLightGBMを使う際には、データや問題に応じて、ハイパーパラメータの調整や特徴量エンジニアリングを行う必要がある。

次にRによる実装について述べる。

LightGBMのRによる実装

LightGBMのRによる実装は、以下のようになる。

  1. LightGBMをインストールする。
install.packages("lightgbm")
  1. データセットを読み込む。
/train_df <- read.csv("train.csv")
test_df <- read.csv("test.csv")
  1. 特徴量と目的変数を分ける。
X_train <- train_df[, -ncol(train_df)]
y_train <- train_df$target

X_test <- test_df[, -ncol(test_df)]
y_test <- test_df$target
  1. LightGBMのデータセットに変換する。
library(lightgbm)

train_data <- lgb.Dataset(X_train, label=y_train)
test_data <- lgb.Dataset(X_test, label=y_test)
  1. ハイパーパラメータを設定する。
params <- list(
  objective = "regression",
  metric = "rmse",
  boosting_type = "gbdt",
  num_leaves = 31,
  learning_rate = 0.05,
  feature_fraction = 0.9
)
  1. モデルを学習する。
model <- lgb.train(
  params = params, 
  data = train_data, 
  valids = list(test_data),
  early_stopping_rounds = 10
)
  1. モデルの予測を行う。
y_pred <- predict(model, X_test)
Clojureによる実装

ClojureでlightGBMを実装するには、JavaでlightBGMを実装する場合と同様にJava Native Interface(JNI)を使用することで可能となる。これは以下の手順を実行することで実装きる。

  1. プロジェクトのセットアップ: ClojureでlightGBMを実装するために、まずプロジェクトをセットアップする。Clojure開発環境をインストールし、適切な開発環境を選択する。これには例えば、LeiningenやBootといったビルドツールを使用することができる。
  2. lightGBMのバイナリファイルの取得: lightGBMのバイナリファイルを取得する。lightGBMの公式ウェブサイトからソースコードをダウンロードしてビルドするか、あるいはGitHubのリポジトリからコンパイル済みのバイナリを入手することができる。
  3. JNIライブラリの作成: lightGBMのバイナリファイルを使用してJNIライブラリを作成する。ClojureでJNIライブラリを作成する場合、Javaの場合と同じように、C++のコードとJNIを使用するJavaコードが必要となる。JNIライブラリを作成する方法は、以下となる。
    1. NIヘッダーファイルの生成: lightGBMのソースコードには、JNIライブラリをビルドするためのC++のコードとJNIヘッダーファイルが含まれている。lightGBMのソースコード内のincludeディレクトリには、lightgbm_jni.hという名前のJNIヘッダーファイルが存在する。これを使用してJNIヘッダーファイルを生成する。
    2. JNIライブラリの作成: JNIライブラリを作成するために、C++のコードを作成する。このコードは、JNIヘッダーファイルをインクルードし、lightGBMのバイナリファイルとやり取りするためのJNI関数を実装する。JNI関数は、Javaの呼び出しに応答するために使用される。
    3. JNIライブラリのビルド: C++のコードをビルドしてJNIライブラリを生成する。ビルドプロセスは、使用している開発環境によって異なる場合がある。CMakeやMakefileを使用してビルドする方法や、IDE(Eclipse、Visual Studioなど)のビルド機能を使用する方法などがある。ビルドプロセス中に、lightGBMのバイナリファイルと必要なライブラリへのパスを指定する必要がある。
    4. JNIライブラリのセットアップ: ビルドが完了したら、生成されたJNIライブラリ(.soファイルなど)をJavaプロジェクトに組み込む。Javaプロジェクト内でJNIライブラリをロードするコードを記述し、lightGBMの機能にアクセスできるようにする。
  4. Clojureコードの記述: lightGBMのJNIライブラリがセットアップされたら、ClojureコードでlightGBMを使用することができる。ClojureからJavaのメソッドを呼び出す方法については、Javaと同様に、Java Interopを使用することができる。具体的なClojureコードの記述方法は、lightGBMのJava APIを使用することで、Javaの場合と同様に記述することができる。

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