若い読者のための科学史
イェール大学出版局 (Yale University Press) で出版された「若い読者のための科学史」は、科学の進化、重要な科学者の伝記、画期的な発見について、わかりやすく説明した図書となっている。
この図書は、若い読者が科学の原理をその歴史とともに学べるものとなっている。
科学というと、高校で習う理科だけでも、物理、生物、化学、地学とあり、全体としてどのように発展を遂げてきたのか初学者にはわかりづらいものだが、本書では、古代から現代までいったん打ち立てられた理論が次々に打ち破られ、科学がダイナミックな変遷を遂げていくさまを鮮やかに描き出している。この中には、アリストテレス、ガレノス、ガリレオ、ハーヴィー、ベーコン、ニュートン、アインシュタイン、バーナーズ゠リーなど、著名な科学者たちのエピソードを軸に、古代文明から現代化学まで発展の軌跡をたどる物が述べられている。
今回は、この「若い読者のための科学史」から述べたいと思う。
第1章 はじまり
第一章では、「科学とは、好奇心と知性を基に人類が真実を追求し、常に進化し続ける探究の道である」と述べられている。このような人間の外界に対する好奇心は、“読書の秋と文学史“でも述べているように、単純に科学に留まらず、世界を理解しようとする人間の本質的な姿勢を表している。科学の核心には、時代を超えて変わらない人間の好奇心や想像力であり、それが科学を進化させてきたものなのである。
本書は以下に示すように、物理、生物、化学、地学など多様な領域での科学の成り立ちについて述べている。
第2章 針と数
第3章 原子と空虚
第4章 医学の父――ヒポクラテス
第5章 “知者たちのマエストロ”――アリストテレス
第6章 皇帝の侍医――ガレノス
第7章 イスラムの科学
第8章 暗黒を抜け出て
第9章 賢者の石を探し求めて
第10章 人体の解明
第11章 宇宙の中心はどこ？
第12章 斜塔と望遠鏡――ガリレオ
第13章 めぐりめぐる――ハーヴィー
第14章 知識は力なり――ベーコンとデカルト
第15章 “新しい化学”
第16章 上がった物はかならず……――ニュートン
第17章 ひらめきの火花
第18章 時計じかけの宇宙
第19章 世界に秩序を
第20章 空気と気体
第21章 物質をつくる小さな粒子
第22章 力、場、磁気
第23章 恐竜の発掘
第24章 地球の歴史
第25章 “地上最大のショウ”
第26章 生命の小さな箱
第27章 咳、くしゃみ、病気
第28章 エンジンとエネルギー
第29章 元素を表に
第30章 原子のなかへ
第31章 放射能
第32章 世界を変えた科学者――アインシュタイン
第33章 動く大陸
第34章 遺伝するものとは？
第35章 ヒトはどこから来たのか？
第36章 特効薬
第37章 構成単位
第38章 “生命の書”を解読する――ヒトゲノム計画/第39章 ビッグバン
第40章 デジタル時代の科学
本書の最後は”チューリングの計算理論概要と参考図書とニューラルチューリングマシン“や”コンピューターを構成する計算要素と半導体チップについて“でも述べているコンピュターの発見とその構造の話題で締めくくられている。
最終章では、「現代の科学はコンピューターと深く結びついており、科学や生活の進展に不可欠な存在となっているが、同時に、その力には慎重さも必要だ」と述べられている。
科学は常にその時代背景と密接に関わって発展してきており、現代の科学と生活はコンピューターなしでは成り立たず、その進歩は私たちに利便性をもたらす一方で、悪用されるリスクも含んでいる。この協力な科学の力を社会にとって有益に保つには、科学者の専門性だけでなく、その利用を監視する良識ある市民の存在が不可欠であるという言葉で締めくくられている。
参考図書
科学史を学べる参考図書について述べる。
科学史をやさしく学べる本
ストーリー仕立てで科学史を楽しむ本
もう少し深く学びたい人向け
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『科学史年表—ビジュアル版』
時代ごとの科学技術の発展を一望できる本。若い読者でも図解を見ながら直感的に理解しやすい。 -
『世界を変えた科学者たち』
偉大な科学者たちの苦悩や発見までの道のりをドラマチックに描いた作品。
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