量子コンピューターが人工知能を加速する

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量子コンピューターが人工知能を加速する

「量子コンピューターが人工知能を加速する」より。

「量子アニーリング方式で動く量子コンピュータに着目。新しい方式の量子コンピュータがどのようにして動き、どんな計算を行っているのか、どうやって人工知能に応用できるのかを、わかりやすく解説する。実現は早くても21世紀後半と言われていた「量子コンピュータ」が
突然、商用マシンとして販売が開始された。作ったのはカナダのメーカーだが、その原理を考え出したのは日本人研究者。しかも、人工知能に応用でき、グーグルやアメリカ政府も開発競争に参戦、
NASAやロッキード・マーティンも活用を開始した。どのようにして量子力学で計算するのか。
どのようにして人工知能、特に機械学習やディープラーニングに応用できるのか。そして、どうすれば日本の研究が世界をリードできるか。画期的な量子コンピュータの計算原理、「量子アニーリング」を発案した本人が語る。」

第1章 「一億倍速い」コンピューター

グーグルとNASAの発表
量子コンピューターは「量子ビット」を使って計算する
量子ビット
「0」と「1」の両方を重ね合わせた状態を持つ
2つの方式
量子ゲート方式
汎用的に使用することを目的に作られている
量子アニーリング方式
組み合わせ最適化問題用
組み合わせ最適化問題を解く量子コンピューター
一億倍高速(一億秒=約三年二ヶ月)
組み合わせ最適化問題
人工知能を始めたような分野で応用が可能
組み合わせ最適化問題
従来のアプローチは「厳密解」は諦めて「近侍解」を使っている
組み合わせ最適化問題の例
あらゆる車のルートの最適化
世界規模での物流の最適化
世界中の交通渋滞の緩和
医薬品での大きな分子構造の分析
機械学習での変数選択
機械学習でのクラスタリング
ディープラーニングを行うための「サンプリング」
コンピューターではなく「実験装置」
D-Waveのコンピューター
D-Waveの心臓部は量子ビットを実装する「超伝導回路」
ニオブで作ったリングを超伝導にしてリング内を走る電流の向きにより量子ビットを実下男
「量子アニーリング」とは何か
自然現象を利用したアルゴリズム
遺伝的アルゴリズム
シミュレーテッド・アニーリング(擬似焼きなまし法)
量子アニーリング
カナダのベンチャーによる挑戦
量子焼きなましのハードを発明
D-Wave
「量子ゲート」方式は外部のノイズの影響を受けやすく、ひどく不安定
16個の量子ビットのシステム(2011)から1000個以上(2014)の量子ビットへ
量子ゲートよりも格段に安定している
量子ビットに「横磁場」をかける
「インジング模型」で最もエネルギーが低い状態(基底状態)を探す問題に書き換える
インジング模型
量子ビットのように「0」と「1」という 2つの状態を持つものが講師状態に並んでいる様子をモデル化したもの
近くの量子ビットの状態に影響を受ける
どの程度影響を受けるかは重み付けで調整する
「横磁場」という制御信号をかけて徐々に弱くしていく
「量子トンネル効果」が答えを導く
横磁場をゼロにするまでの時間をかけたほうが正しい解が得られる可能性が高まる
安定して1と0を同時に出せないため、数十マイクロ秒で計算を切り上げる
同じ作業を数千回繰り返して最も良い解を抽出する

第2章 量子アニーリングマシンの誕生

D-Waveとは何か
1999年、カナダのブリティッシュコロンビア大のジョーディーローズにより設立
ファインマンの構想
世の中のすべのものは量子力学に従って動いているのだから
量子力学の原理をうまく使って動くコンピューターを作れば、いろいろなシミュレーションがうまく動く
1994年のピーターショアによる大きな数の素因数分解を量子計算で高速にとくアルゴリズム
暗号が量子コンピューターで解読されてしまう
量子ゲート方式では数個以上の量子ビットを作れなかった
超伝導で量子ビットを実現
コヒーレンス時間
量子ビットが「0」と「1」の重ね合わせを保っていられる時間
不安定で、熱や電磁波の影響ですぐに壊れる
ラディジンスキーによるニオブのリングによる量子ビット
ロイドとファーヒによる量子アニーリング
商用機開発に向けて
2007年に16量子ビットの「オリオン」作成
小規模なパターン認識や数独を解く
2011年に128量子ビット「D-Wave One」でロッキードマーティンの飛行制御システムのバグ取り(これまで数ヶ月なのを数週間)
量子人工知能研究所の誕生
グーグルが2013年にNASAと共同で設置
グーグルグラスの認識の改善目的
NASAの宇宙開発の資源配分の最適化
スケジューリング最適化
探索ロボットの行動経路の決定
「キメラグラフ」がボトルネックに
問題が解けないのは量子ビット間の接続に問題があるため
理想的には全て繋げるのが良いがハードウェアの制約上一部しか接続されていない
キメグラフ
適用先
金融商品のポートフォリオ
物流の最適化
北米の活況、日本はどうする?

第3章 最適化問題の解き方と人工知能への応用

巡回セールスマン問題をどう解く?
5つの都市をめぐる場合
5X5=25個のビットを用意する
全てのビット間での相互作用を設定し、横磁場をかけていく
量子ビットを使っている意味
準基底状態からトンネルして別の状態にいける
「焼きなまし」とは何か
量子アニーリング
横磁場でゆらぎを与える
0と1の両方の可能性を持った重ね合わせの状態を実現
量子トンネル効果で低い谷から低い谷に移動が可能
より高速・高精度
インジング模型
格子上に電子スピンを設置
2つのスピンの間の磁場の関わり合いを相互作用とする
シミュレーテッドアニーリング(擬似アニーリング法)
熱によりゆらぎを与える
0か1のどちらかへのゆらぎを誘発
ランダムに動くのでエネルギーが高いところにもいく
エネルギーの山をすり抜ける
最低エネルギーとなる組み合わせを求めることが最終目的
4色問題への応用
4色を表すために4つのビットを用意する
D-waveでは8つのビットが相互につながったものを基本モジュールとする
機械学習とディープラーニング
量子アニーリングによる「クラスタリング」
K-means的な計算を全てのノードの組み合わせで行う
総当たり組み合わせ的な単純なアルゴリズム
D-Waveマシンによる「サンプリング」
ニューラルネットワークへの適用
相互作用がわからないものに対して、教師データから分かるようにする
ボルツマン機械学習
ニューラルネットワークを利用
入力や出力データに確率的な変化を与える
試しにデータを出力させてそれがどれくらい実際のデータと適合しているかを調べる
サンプリング
試しにデータを出力
時間がかかる
D-waveはサンプリングデータを高速に出力可能

第4章 量子コンピュータが作る未来

北米での熱気が研究者を引きつける
低消費電力で環境問題にも貢献
人工知能を加速する
医療、スポーツなどで期待
法律や考古学でも応用が可能
センサーを利用して人間に寄り添うAIを
シンギュラリティはくるのか

第5章 量子の不可思議な世界をみる

「量子力学」とは何か
「重ね合わせ」のパラドックス
不確定性原理
量子トンネル効果と越えるべきエネルギー
チューリングマシンと量子回路
日本で開発された量子ビット
さまざまな量子コンピュータ

第6章 日本が世界をリードする日は来るか

基礎研究は意外な形で花開く
情報統計力学
「緻密さ」だけではなく「大胆さ」も
垣根を超えてベンチャー精神を
ソフト面にもフロンティアがある
複雑なネットワーク上の欠陥を端末の電力計からの測定結果で推定
ソフト面では未解決問題が山積み
理論も十分整備されていない
ムーアの法則を超えて
研究者の意識の変化が新しい社会を作る
日本が世界をリードする日は来るか
AQC2016での発表

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