webクローリング技術の概要とPython/Clojureによる実装

機械学習技術 人工知能技術 自然言語処理技術 セマンティックウェブ技術 オントロジー技術 検索技術 データベース技術 アルゴリズム デジタルトランスフォーメーション技術 Visualization & UX ワークフロー&サービス ITインフラ技術 本ブログのナビ

webクローリング技術の概要

Webクローリングは、Web上の情報を自動的に収集する技術となる。Webクローリングを行うためには、ネットワークの知識(“ネットワーク技術“を参照のこと)と、web技術に対する知識(“Web技術について“を参照のこと)と、”Pythonと機械学習“で述べられているPyhtonや、”Clojureと関数プログラミング“で述べられているClojure、”PHPとウェブ開発フレームワーク“で述べられているPHP、あるいは”JavascriptとReactによるフロントエンド開発“で述べられているJavascript等の様々な言語を用いて、WebページからHTMLソースコードを取得し、その中から情報を抽出するプログラムの実装が必要となる。

Webクローリング技術には、大別すると以下のような手法がある。

  • 静的なWebクローリング

静的なWebクローリングは、Webページを取得し、HTMLソースコードから必要な情報を抽出する手法となる。静的なWebクローリングでは、HTTPリクエストを送信してWebページを取得するためのライブラリが必要で、例えば、Pythonでよく使われるライブラリには、RequestsBeautifulSoupなどがある。

  • 動的なWebクローリング

動的なWebクローリングは、JavaScriptなどの動的に生成されるWebページを扱う手法となる。動的なWebクローリングでは、ブラウザを自動化して、動的に生成されるWebページを取得することができる。代表的なライブラリには、Seleniumがある。

  • APIを利用したWebクローリング

APIを利用したWebクローリングは、Webサイトが提供するAPIを利用してデータを収集する手法となる。APIを利用することで、WebページのHTMLソースコードを取得する必要がなく、より効率的にデータを収集することができる。

適用事例

Webクローリング技術は、様々な分野で活用されている。以下に代表的な事例をいくつか挙げる。

  • 検索エンジン

最も代表的なWebクローリング技術が検索エンジン向けとなる。検索エンジンは、Web上の情報を収集して、ユーザーの検索クエリに対して適切な検索結果を返すために、Webクローリング技術を利用している。

  • ニュース記事収集

ニュースメディアは、世界中のニュースサイトから情報を収集し、自社サイトでまとめて提供するために、Webクローリング技術を利用している。

  • プライス比較サイト

プライス比較サイトは、複数のECサイトから商品情報を収集して、価格比較や商品情報の提供を行うために、Webクローリング技術を利用している。

  • SNS分析

SNS上の情報を収集して、トレンドやユーザーの意見を分析するために、Webクローリング技術を利用する場合がある。

  • 人材採用

企業は、求人情報を掲載しているWebサイトから情報を収集して、人材採用活動に利用するために、Webクローリング技術を利用する場合がある。

AI技術の適用

WebクローリングにおいてAI技術を活用することで、Webクローリングの正確性やスピード、効率性を向上させ、更に機械学習のソースデータの自動収集にも活用できる。以下にそれらについて述べる。

  • 自動的なページ解析

Webページの構造や言語によって解析方法が異なるため、従来のWebクローリングでは、Webページの解析には手動でルールを設定する必要があった。しかし、AI技術を利用することで、Webページの構造や言語を自動的に解析し、クローリングの効率化が可能になる。

  • 自動的な情報収集

AI技術を利用することで、Webページからの情報収集を自動化することができる。例えば、画像からテキストを抽出したり、音声をテキストに変換したりすることが可能となる。これにより、Webページからの情報収集の正確性やスピードが向上する。

  • 自動的な情報分類

AI技術を利用することで、収集した情報を自動的に分類することが可能となる。例えば、文章のトピック分類や、商品カテゴリ分類などがある。これにより、収集した情報をより効率的に分析することができる。

  • 自動的な学習

AI技術を利用することで、クローリングによって収集されたデータを学習することができる。例えば、機械学習によって、Webページの構造や言語に合わせて自動的に解析することができる。また、ニューラルネットワークを用いた自然言語処理によって、文章の意味を理解し、より精度の高い情報収集が可能になる。

実装

Webクローリングの具体的な実装は、以下のような手順で行われる。

  1. クローラーの作成

まずは、Webページをクロールするためのクローラーを作成する。クローラーは、指定されたURLからWebページをダウンロードし、解析する機能を持つ。これらの実装には、Pythonなどのプログラミング言語を使用することができる(pythonとClojureによる実装は後述する)。

  1. ページ解析

クローラーがダウンロードしたWebページから、必要な情報を抽出するために、ページ解析を行う。解析のためには、webページの構造であるHTMLやCSS、XPathなどの知識が必要になる。具体的にはPythonのBeautifulSoupやScrapyなどのライブラリを使用して、ページ解析を行うことができる。

  1. データの抽出

ページ解析によって得られた情報から、必要なデータを抽出する。例えば、商品ページから商品名や価格、説明文を抽出する場合などがある。データの抽出には、正規表現やXPathなどの知識や”自然言語処理技術“で述べるような自然言語処理技術が必要となる。

  1. データの保存

抽出したデータを、データベースやCSVファイルあるいは”データベース技術“で述べているような各種データベースなどに保存する。データベースへのアクセスに関しては”各種言語でのデータベースへのアクセス実装“にて、また各種データファイルへのアクセスに関しては”各種言語でのデータファイルの入出力実装例“にて述べている。

  1. スケジュール自動化

クローリング作業を自動化するために、クローラーの実行スケジュールを自動化することができる。例えば、cronを使用して定期的にクローラーを実行することができる。

pythonによる実装

Pythonを使用したWebクローリングの具体的な実装は、以下のような手順で行われる。

  1. ライブラリのインストール

まずは、PythonでWebクローリングを行うために必要なライブラリをインストールする。代表的なライブラリとして、BeautifulSoupScrapyがある。以下のようにpipコマンドを使用してインストールする。

pip install beautifulsoup4
pip install scrapy
  1. クローラーの作成

クローラーを作成するために、Scrapyを使用する。Scrapyは、PythonでWebスクレイピングやWebクローリングを行うためのフレームワークとなる。

以下は、Scrapyを使用して、Googleの検索結果をクロールするクローラーの例となる。

import scrapy

class GoogleSpider(scrapy.Spider):
    name = "google"
    allowed_domains = ["google.com"]
    start_urls = [
        "https://www.google.com/search?q=python",
    ]

    def parse(self, response):
        for result in response.css('div.g'):
            yield {
                'title': result.css('h3.r a::text').extract_first(),
                'url': result.css('h3.r a::attr(href)').extract_first(),
                'description': result.css('span.st::text').extract_first(),
            }
  1. データの抽出と保存

クローラーが取得したデータを抽出して、必要な情報を保存する。Scrapyでは、上記のようにparseメソッドを定義し、HTMLタグから必要な情報を抽出することができる。抽出したデータは、CSVやJSONなどのフォーマットで保存することができる。

import scrapy
from scrapy.exporters import CsvItemExporter

class GoogleSpider(scrapy.Spider):
    name = "google"
    allowed_domains = ["google.com"]
    start_urls = [
        "https://www.google.com/search?q=python",
    ]

    def parse(self, response):
        exporter = CsvItemExporter(open('results.csv', 'wb'))
        for result in response.css('div.g'):
            data = {
                'title': result.css('h3.r a::text').extract_first(),
                'url': result.css('h3.r a::attr(href)').extract_first(),
                'description': result.css('span.st::text').extract_first(),
            }
            exporter.export_item(data)
            yield data
  1. 実行

クローラーを実行するためには、以下のようにscrapyコマンドを使用する。

scrapy crawl google

以上が、Pythonを使用したWebクローリングの具体的な実装の手順となる。ただし、Webクローリングには、法的な制限や倫理的な問題もあるため、注意が必要です。また、Webサイトに負荷をかけすぎると、サーバーに影響を与えることがあるため、これらに対する考慮も必要となる。

Clojureによる実装

ClojureはJava仮想マシン上で動作するLispの一種であり、Javaのライブラリを使うことができるため、Webクローリングの実装にはJavaのライブラリを使用することができる。

具体的には、ClojureでWebクローリングを実装する場合、以下のライブラリが便利なものとなる。

  • jsoup: HTML解析用のライブラリで、HTMLからデータを抽出するために使用される。
  • clj-http: HTTPクライアントライブラリで、Webページを取得するために使用される。
  • enlive: HTMLテンプレートのパースに使用されるライブラリで、Webページのスクレイピングやパースに役立つ。
  • clojure.data.json: JSONデータの解析用のライブラリで、APIからJSONデータを取得するために使用される。

以下は、ClojureでWebクローリングを実装する簡単な例となる。clj-httpを使用してWebページを取得し、jsoupを使用してHTMLからデータを抽出する。

(ns myapp.crawler
  (:require [clj-http.client :as http]
            [org.jsoup.Jsoup :as jsoup]))

(defn get-page [url]
  (let [response (http/get url)]
    (if (= (:status response) 200)
      (:body response)
      (throw (ex-info "Failed to retrieve page" {:url url})))))


(defn extract-data [html]
  (let [doc (jsoup/parse html)]
    (map #(str (-> % .text) ", " (-> % .attr "href")) (.select doc "a"))))


(let [url "https://www.example.com"
      html (get-page url)
      data (extract-data html)]
  (println data))

この例では、クロールしたいWebページのURLを指定し、get-page関数を使用してページのHTMLを取得する。その後、extract-data関数を使用してHTMLからデータを抽出する。最後に、抽出されたデータを出力する形となる。

コメント

  1. […] 報はさまざまな種類や目的で利用されている。これらの情報は”webクローリング技術の概要とPython/Clojureによる実装“で述べているWebスクレイピングやデータ抽出により、目的に応 […]

  2. […] webクローリング技術の概要とPython/Clojureによる実装 […]

  3. […] となるデータから情報を抽出する必要がある。これは例えば、”webクローリング技術の概要とPython/Clojureによる実装“で述べているようなwebクローリング技術を用いてウェブからの […]

  4. […] webクローリング技術の概要とPython/Clojureによる実装 […]

  5. […] クローリング技術に関する詳細は”webクローリング技術の概要とPython/Clojureによる実装“等も参照のこと。 […]

タイトルとURLをコピーしました