最近の国際学会で注目される人工知能技術について

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最近の国際学会で注目される人工知能技術について

今回は以下の海外の著名な学会から抽出した注目される技術とその代表的な論文について述べる。

ICMLは、機械学習分野で最も権威のある学会の1つとして認められている学会となる。ICMLでは、機械学習の理論、アルゴリズム、応用に関する幅広いトピックが取り扱われており、それらの中には、深層学習、強化学習、教師あり学習、教師なし学習、カーネル法、グラフィカルモデル、分布推定などが含まれる。

NeurIPSは、ニューラル情報処理システムに関する世界最大規模の学術会議の1つで、コンピュータサイエンスにおける最も重要な会議の1つとして認められているものとなる。NeurIPSでは、機械学習、深層学習、ニューラルネットワーク、強化学習、自然言語処理などの幅広い分野での発表が行われている。

ICLRは、機械学習における表現学習に関する世界的な学会で、表現学習とは、機械学習の一分野であり、データから有用な特徴を抽出するための手法を指す。ICLRでは、深層学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワークなど、表現学習に関する様々な分野の論文が発表されている。

ACM SIGKDD(Knowledge Discovery and Data Mining:知識発見とデータマイニング)の分野における研究を促進するために設立されたACM(Association for Computing Machinery)の特別利益グループとなる。ACM SIGKDDは、機械学習、統計学、データマイニング、データ分析、ビッグデータ、人工知能などの分野に関する研究成果を発表する場として、また、データ科学に関する最新の技術やトレンドに関する情報を共有する場として、世界中の研究者やエンジニアにとって重要な場となっている。

    CVPRは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が主催する、コンピュータビジョンとパターン認識に関する国際会議で、コンピュータビジョン分野における最も重要な学術会議の1つとされている。CVPRでは、画像認識、画像処理、機械学習、深層学習、3Dビジョン、ロボットビジョンなど、コンピュータビジョンとパターン認識等の幅広い分野での発表が行われている。

    TNNLSは、神経ネットワークと機械学習に関する論文を掲載する学術誌で、神経ネットワーク、深層学習、強化学習、カーネル法、統計学習理論、最適化理論、進化計算など、機械学習に関する幅広い分野の論文が掲載されているものとなる。

    AAAIは、人工知能に関する研究者が多く集まる重要な国際会議で、様々な人工知能分野の基礎研究、応用研究、教育、公共政策などに関する論文や報告書を発行している機関となる

    IJCAIは、人工知能分野で世界的に重要な学術会議の一つで、主に人工知能、機械学習、知識表現、自然言語処理、プランニング、探索、統計的推論、知識ベースシステム、マルチエージェントシステム、ロボットなど、人工知能分野の広範な分野をカバーしている学会となる。IJCAIは、1957年に初めて開催され、その後2年ごとに開催されている。

    技術の選択の基準としては、深層学習強化学習確率的生成モデル自然言語処理説明できる機械学習知識情報処理などの本ブログに記載しているものは、それぞれのリンク先の記事を参考にすることとし、それら以外の技術のピックアップを意識して行っている。

    自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)

    自己教師あり学習の概要と各種アルゴリズム及び実装例について“でも述べている自己教師あり学習は、ラベルのないデータから自己生成的なラベルを生成し、それを利用して学習する手法となる。この手法は、ラベルのない大規模なデータセットを用いて事前学習を行い、その後、タスク固有のラベル付きデータを用いてファインチューニングを行うことで、高性能なモデルを構築するものとなる。自己教師あり学習は、従来の教師あり学習に比べて、ラベル付きデータが限られている場合に有効で、また、自然言語処理や画像処理など、ラベルの付けにくいタスクに対しても適用されている。過去には、自然言語処理の分野で有効であることが示されてきた。また画像認識の領域において、高性能な物体検出やセマンティックセグメンテーションの手法にも適用されている。

    以下に、自己教師あり学習に関する主要な手法について述べる。

    • 対照学習(Contrastive Learning): 対照学習は、異なるデータのペアを比較して、それらを区別するための学習を行う。例えば、画像の場合、同じ画像の異なる部分をペアとして取り、それらの特徴を比較しながら学習を進める。
    • 予測タスク(Predictive Task): ラベルのないデータを使って、次に起こる事象を予測するタスクを設定し、モデルを学習する。例えば、文章の場合、文中の一部を隠し、それを予測するタスクを行う。
    • 自己生成モデル(Autoencoder): 自己生成モデルは、入力データを再構築する能力を持つモデルとなる。入力データをエンコードして低次元の表現を得た後、デコードして再構築する。この過程で、データの表現を学習することができる。
    • 進化的アルゴリズム(Evolutionary Algorithms): 進化的アルゴリズムは、進化の原則を応用して、モデルを進化させる手法となる。例えば、ネットワークの重みやアーキテクチャを進化させることで、自己教師あり学習を行う。

    自己教師あり学習に関する代表的な論文には以下のようなものがある。

    1. Unsupervised Learning of Video Representations using LSTMs” (2015) – Vondrick et al. この論文では、長短期記憶(LSTM)を用いた動画データの自己教師あり学習手法が提案されている。動画データを入力とし、LSTMを使って次のフレームを予測するタスクを通じて、動画の表現を学習する。
    2. Context Encoders: Feature Learning by Inpainting” (2016) – Pathak et al. この論文では、画像の一部を隠し、それを予測するタスクを通じて、画像の表現を学習する自己教師あり学習手法が提案されている。画像の欠損を修復することで、画像全体の表現を学習する。
    3. A Simple Framework for Contrastive Learning of Visual Representations” (2020) – Chen et al. この論文では、異なるデータのペアを比較して、それらを区別するための学習を行うコントラストive学習手法が提案されています。画像やテキストなどの異なるデータモダリティを使って、表現を学習することができる。
    4. Bootstrap Your Own Latent: A New Approach to Self-Supervised Learning” (2020) – Grathwohl et al. この論文では、画像データを用いて自己教師あり学習を行う手法が提案されている。ノイズを含ませた画像を入力とし、その画像を元の画像に戻すタスクを通じて、画像の表現を学習する。
    5. Momentum Contrast for Unsupervised Visual Representation Learning” (2020) – He et al. この論文では、異なるデータのペアを比較して学習するモーメンタムコントラスト手法が提案されている。画像データを用いて、異なるデータのペアを比較することで、画像の表現を学習する。
    グラフニューラルネットワーク(Graph Neural Networks(GNN))

    グラフニューラルネットワークの概要と適用事例およびpythonによる実装例について“でも述べているGNNは、グラフ構造を持つデータに対して、ノードやエッジの情報を考慮しながら学習を行うニューラルネットワークの一種であり、近年、グラフ分類、グラフクラスタリング、グラフレコメンデーション、グラフ生成などへの応用が増えている。グラフ構造を持つデータは、社会ネットワーク、化学構造、3Dモデルなど、様々な領域で出現するため広い反意での応用が期待されている。

    GNNは、ノードの情報やエッジの情報を特徴ベクトルとして表現し、隣接ノードやエッジとの関係を考慮しながら、グラフ全体の情報を更新していくことで、グラフデータに対する学習を行う。GNNは、ノードやエッジの特徴を組み合わせて、グラフ全体の表現を生成するため、グラフのトポロジー情報や局所的な情報を効果的に利用することができる。

    GNNの基本的な構造は以下のようになる。

    • ノードの特徴ベクトル: グラフのノードには、それぞれ特徴ベクトルがある。例えば、社会ネットワークの場合、ノードはユーザーを表し、ユーザーのプロフィール情報や友人関係などがノードの特徴ベクトルとして表現される。
    • エッジの特徴ベクトル: グラフのエッジにも特徴ベクトルがある。例えば、社会ネットワークの場合、エッジはユーザー間の関係性を表し、友人関係の強さや関係の種類などがエッジの特徴ベクトルとして表現される。
    • メッセージの伝播: GNNは、隣接ノードやエッジとの関係を考慮して、ノードやエッジの特徴ベクトルを更新する。これをメッセージの伝播と呼ぶ。ノードやエッジの特徴ベクトルを組み合わせて、新しい特徴ベクトルを生成する。
    • 集約: メッセージの伝播を繰り返して、ノードやエッジの特徴ベクトルを更新した後、最終的なグラフの表現を生成する。これを集約と呼ぶ。

    以下にグラフニューラルネットワークに関する代表的な論文について述べる。

    1. Semi-Supervised Classification with Graph Convolutional Networks” (Kipf, T.N. & Welling, M., 2017): グラフ畳み込みネットワーク(Graph Convolutional Network, GCN)を提案した論文であり、GNNの代表的なモデルの一つとなる。ノード分類タスクにおいて、少数のラベル付きデータと多数のラベルなしデータを利用して、グラフ上での半教師あり学習を行う手法を提案している。
    2. Graph Attention Networks” (Velickovic, P. et al., 2018): グラフ注意ネットワーク(Graph Attention Network, GAT)を提案した論文であり、GNNの一つの派生モデルとなる。ノードやエッジの特徴を注意メカニズムを使って重み付けし、重要な情報に注目しながら学習を行う手法を提案している。詳細は”GAT (Graph Attention Network)の概要とアルゴリズム及び実装例について“を参照のこと。
    3. Inductive Representation Learning on Large Graphs” (Hamilton, W.L. et al., 2017): グラフSAGE(Graph Sample and Aggregate, “GraphSAGEの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているGraphSAGE)を提案した論文であり、グラフデータの大規模なグラフ上での表現学習を可能にする手法を提案している。ノードの局所的な情報をサンプリングして集約することで、大規模なグラフに対して効率的な学習を行う手法となる。
    4. Gated Graph Neural Networks” (Li, Y. et al., 2016): ゲート付きグラフニューラルネットワーク(Gated Graph Neural Network, GGNN)を提案した論文であり、GNNの一つの派生モデルとなる。グラフ上の情報を隣接ノード間のゲートを使って更新する手法を提案している。
    5. Graph Convolutional Networks for Text Classification” (Yao, L. et al., 2019): テキスト分類タスクにおいて、グラフ畳み込みネットワークを適用する手法を提案した論文であり、GNNを自然言語処理のタスクに適用した先駆的な研究の一つとなる。
    メタ学習

    Few-shot/Zero-shot Learningにも活用可能なMeta-Learnersの概要と実装例“でも述べているメタ学習(Meta-Learning)は、複数のタスクを学習する際に、タスク間の共通性や類似性を学習し、新しいタスクに対して適応する手法となる。つまり、学習済みモデルを利用して新しいタスクを迅速かつ効率的に学習する手法とも言える。メタ学習は、Few-Shot Learningなどのデータが限られている状況で特に有用であり、機械学習モデルが少ないデータを効果的に利用することができる。

    メタ学習は、メタトレーニングとメタテストの2つのフェーズに分かれている。

    • メタトレーニング(Meta-Training): メタトレーニングでは、複数のタスクのトレーニングデータを用いて、メタモデルと呼ばれるベースモデルを学習する。このベースモデルは、新しいタスクに対して適応するための共通的な特徴を学習している。メタモデルは、タスク間の共通性を抽出し、新しいタスクに対して高い性能を発揮するためのパラメータを学習する。
    • メタテスト(Meta-Testing): メタテストでは、メタトレーニングで学習されたメタモデルを用いて、新しいタスクに対する適応性を評価する。新しいタスクのトレーニングデータが非常に限られている場合でも、メタモデルは学習済みの共通的な特徴を利用して、新しいタスクに対して適切な予測を行う。

    メタ学習にはいくつかのアプローチがあるが、代表的なものとしては以下のような手法がある。

    • モデル内メタ学習(Model-Agnostic Meta-Learning, MAML): MAMLは、ベースモデルのパラメータを更新するための学習アルゴリズムを学習する手法となる。ベースモデルのパラメータ更新に使用する学習アルゴリズムをメタモデルとして学習し、新しいタスクに対して適切なパラメータ更新を行う。
    • メモリ-augmented ニューラルネットワーク(Memory-Augmented Neural Networks, MANNs): MANNsは、外部メモリを持つニューラルネットワークを用いて、メタ学習を行う手法となる。外部メモリを使うことでニューラルネットの計算の効率を上げている。

    メタ学習(Meta-Learning)に関する代表的な論文には以下のようなものがある。

    1. Model-Agnostic Meta-Learning for Fast Adaptation of Deep Networks” (2017) – Finn et al. この論文では、モデルに依存しないメタ学習手法が提案されている。異なるタスクのデータを用いて、モデルの初期化を行い、新しいタスクに対して高速で適応することを可能にする手法となる。
    2. Prototypical Networks for Few-shot Learning” (2017) – Snell et al. この論文では、プロトタイプベースのメタ学習手法が提案されている。少量のラベル付きデータを用いて、新しいタスクに対して高性能な分類器を構築する手法となる。
    3. Reptile: A Scalable Metalearning Algorithm” (2018) – Nichol et al. この論文では、進化的な最適化手法を用いたメタ学習手法が提案されている。複数のタスクに対して、反復的な最適化を行い、モデルのパラメータを更新していく手法となる。
    4. Meta-Learning with Differentiable Convex Optimization” (2018) – Shaban et al. この論文では、異なる凸最適化問題を解くことで、メタ学習を行う手法が提案されている。モデルのパラメータを凸最適化問題の解として更新し、新しいタスクに適応する手法となる。
    5. Gradient-Based Meta-Learning with Learned Layerwise Metric and Subspace” (2018) – Kim et al. この論文では、学習可能なメトリックを用いたメタ学習手法が提案されている。異なるタスクのデータを用いて、学習可能なメトリックを更新し、新しいタスクに対して適応する手法となる。
    Few-Shot Learning

    Few-Shot Learningとは、限られた数のトレーニングデータで新しいタスクを学習する機械学習の手法のことで、従来の機械学習では、大量のトレーニングデータを必要としていたが、Few-Shot Learningはその制約を克服し、非常に少ないデータポイントから学習を行うことができるものとなる。

    Few-Shot Learningは、一般的に以下のようなシナリオで有用となる。

    • 少量のデータセット: あるタスクに対して利用可能なトレーニングデータが非常に限られている場合、Few-Shot Learningは有用となる。例えば、新しい言語の翻訳モデルを構築する際には、限られた言語ペアのデータしか利用できないため、既存のアプローチを適用することが困難となる。詳細は”翻訳モデルの概要とアルゴリズム及び実装例について“を参照のこと。
    • 頻繁に新しいタスクが発生する場合: タスクが頻繁に変化する環境では、都度大量のトレーニングデータを収集するのが困難なため、Few-Shot Learningは有用となる。例えば、新しい製品の画像分類モデルを構築する際には、毎日新しい製品が追加されるため既存のアプローチを適用することが困難となる。

    Few-Shot Learningにはいくつかのアプローチがある。以下に代表的なものを挙げる。

    • メタ学習(Meta-Learning): メタ学習は、複数のタスクを学習する際に、タスク間の共通性や類似性を学習して新しいタスクに対して適応する手法となる。例えば、新しいタスクが与えられた際に、以前のタスクの学習結果を利用して迅速に学習を進めることができる。
    • 転移学習(Transfer Learning): 転移学習は、あるタスクで学習されたモデルを、異なるタスクに適用する手法となる。例えば、ある画像分類モデルを用いて新しいタスクの学習を行う際に、事前に学習された特徴抽出器を再利用することで、少ないデータでの学習を可能とする。

    以下に代表的なFew-Shot Learningの論文を挙げる。

    1. Matching Networks for One Shot Learning” (Vinyals et al., 2016): この論文は、One Shot Learning(1つの新しいクラスに対して1つのサンプルしか持っていない場合の学習)において、Neural Networkを用いたMatching Networksを提案している。これは、新しいクラスのサポートセットとクエリセットの間の類似度を計算し、予測に使用することで、高性能なFew-Shot Learningを実現したものとなる。
    2. Prototypical Networks for Few-Shot Learning” (Snell et al., 2017): この論文は、Few-Shot Learningにおいて、プロトタイプベースのアプローチを提案している。プロトタイプは、新しいクラスのサポートセットの中から各クラスの特徴を抽出したものであり、クエリセットの予測に使用される。この手法により、簡単な学習と高い汎化性能を実現している。
    3. Meta-Learning with Memory-Augmented Neural Networks” (Santoro et al., 2016): この論文は、Few-Shot Learningにおいて、メモリを持ったニューラルネットワークを用いたメタラーニングの手法を提案している。メモリを使用することで、過去の経験を活用し、新しいタスクに対する学習の高速化を実現している。
    4. Model-Agnostic Meta-Learning for Fast Adaptation of Deep Networks” (Finn et al., 2017): この論文は、Few-Shot Learningにおいて、モデルに依存しないメタラーニングの手法を提案している。これらにより異なるタスク間での共通の特徴を学習し、新しいタスクに対して高速で適応することができる。
    自動機械学習(AutoML)

    自動機械学習(AutoML)の概要とアルゴリズム及び各種実装について“でも述べている自動機械学習(AutoML)は、機械学習のモデルの選択やハイパーパラメータのチューニング、特徴量の選択やデータ前処理などを自動化する手法となる。これらを用いることで、機械学習のワークフローを効率化し、機械学習の専門知識が限られている場合でも、機械学習モデルの構築や最適化を行うことができるようになる。

    自動機械学習の主要な機能は以下となる。

    • モデル探索: 自動機械学習は、異なる機械学習アルゴリズムやモデルアーキテクチャを探索し、最適なモデルを見つけ出す。これにより、データに合った最適なモデルを自動的に選択することができる。
    • ハイパーパラメータチューニング: 自動機械学習は、モデルのハイパーパラメータ(学習率や正則化項など)を自動的に最適化することができる。これにより、モデルの性能を最大化するための最適なハイパーパラメータの値を探索することができる。
    • 特徴量の選択とデータ前処理: 自動機械学習は、入力データの特徴量の選択やスケーリング、欠損値の処理などのデータ前処理を自動的に行うことができる。これにより、データの品質を向上させ、モデルの性能を向上させることができる。
    • モデルの評価と選択: 自動機械学習は、異なるモデルやハイパーパラメータの組み合わせを評価し、最適なモデルを選択することができる。これにより、複数のモデルを比較し、最適なモデルを選択するプロセスを自動化することができる。
    • モデルのデプロイメント: 自動機械学習は、最適なモデルを選択した後、それを自動でデプロイする。これによりユーザーは解くべなことをしなくとも機械学習を実行することができる。

    以下にいくつかの自動機械学習に関する論文を挙げる。

    1. AutoML: A Survey of the State-of-the-Art” – この論文は、AutoMLの概要と現在の研究状況を網羅的に調査したもので、AutoMLの基本的な概念や手法、自動化されたモデル選択やハイパーパラメータ最適化、データ前処理などについて詳細に解説しているものとなる。
    2. Efficient Neural Architecture Search via Parameter Sharing” – この論文は、ネットワークのアーキテクチャ探索を効率化する手法である、共有パラメータを利用したニューラルアーキテクチャサーチ(ENAS)を提案している。ENASは、アーキテクチャ探索の時間と計算リソースを削減し、高性能なモデルを自動的に探索することができる。
    3. AutoAugment: Learning Augmentation Policies from Data” – この論文は、データ拡張のポリシーを自動的に学習する手法であるAutoAugmentを提案している。AutoAugmentは、画像データの拡張を最適化することで、モデルの性能向上を図ることができる。
    4. Practical Automated Machine Learning for the Kaggle Competition” – この論文は、Kaggleの機械学習コンペティションにおける実用的なAutoML手法を提案している。Kaggleは、機械学習モデルの競争的な評価が行われるプラットフォームであり、この論文では、現実的な制約の下でのAutoMLの有用性を示している。
    質問応答型学習

    質問応答型学習とは、機械学習の一分野であり、ユーザーからの質問に対して自動的に回答を生成するための技術となる。一般的に、質問応答型学習は自然言語処理(NLP)や人工知能(AI)の領域において重要な応用がある。以下に、質問応答型学習の主要な概念や手法について述べる。

    • データ収集: 質問応答型学習では、大量の質問とそれに対する正しい回答のペアのデータが必要となる。これらのデータを収集するためには、人手によるアノテーションや既存の質問応答データセットの利用が一般的となる。
    • 特徴抽出: 質問や回答を機械学習アルゴリズムが扱える形式に変換するために、テキストデータの特徴抽出が必要となる。代表的な手法には、単語や文の埋め込み(Word Embedding)、TF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)などがある。
    • モデルの学習: 質問応答型学習では、機械学習アルゴリズムにより質問に対する回答を予測するモデルを学習する。代表的なアルゴリズムには、ナイーブベイズ法、SVM(Support Vector Machine)、RNNの概要とアルゴリズム及び実装例について“で述べているRNN(Recurrent Neural Network)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)などがある。
    • 評価: 学習されたモデルの性能を評価するために、テストデータセットを使用してモデルの予測精度や回答の適切さを評価する。評価指標としては、正解率、適合率、再現率、F1スコアなどが一般的に使用される。
    • モデルのチューニング: モデルの性能を向上させるために、ハイパーパラメータのチューニングやモデルの改良を行う。これには例えば、モデルのアーキテクチャの改良や学習データの拡充などがある。
    • デプロイメント: 学習された質問応答モデルを実用化するために、実際の質問応答システム等に組む。

    以下に質問応答型学習の分野の代表的な論文を挙げる。

    1. Learning to Rank Short Text Pairs with Convolutional Deep Neural Networks” – : Quoc Le, Tomas Mikolov この論文では、質問応答型学習において、畳み込み深層ニューラルネットワークを用いた短文のランキング学習手法を提案している。具体的には、畳み込みニューラルネットワークを用いて、質問と回答のペアをベクトル化し、それらの類似度を学習することで、質問応答のランキングを行うものとなる。
      1. Bidirectional Encoder Representations from Transformers (BERT)” – : Jacob Devlin, Ming-Wei Chang, Kenton Lee, Kristina Toutanova この論文では、BERTモデルを提案し、自然言語処理タスクの性能を大幅に向上させたことで知られている。BERTは、事前学習を行った双方向のトランスフォーマーニューラルネットワークを用いて、質問応答型学習を含む様々なタスクに高い性能を発揮することが示されている。
        1. Dynamic Memory Networks for Visual and Textual Question Answering” – : Caiming Xiong, Stephen Merity, Richard Socher この論文では、記憶ネットワークを用いた質問応答型学習の手法を提案している。記憶ネットワークは、外部メモリを用いて情報を保持し、質問や回答の間の関連性をモデル化することができる。この論文では、記憶ネットワークを用いて質問と回答の関連性を学習し、高い性能を達成している。
          Federated Learning

          Federated Learningの概要と各種アルゴリズム及び実装例について“でも述べているFederated Learningは、分散型機械学習の一形態であり、複数のデバイスやシステム間でモデルの学習を共有しながら、複数のデバイスやユーザーからデータを集め、ローカルで学習したモデルを集約してグローバルなモデルを作成する手法となる。

          Federated Learningは、プライバシーの保護やデータのセキュリティを重視しながら、複数のデバイスやシステムでのデータを活用してモデルを学習するための手法として注目されている。また、ネットワークの帯域幅を削減し、データの移動を最小限に抑えることができるため、リアルタイム性の要求がある場合や、通信環境が制限されている場合にも有効なものとなる。

          Federated Learningの基本的な構成は以下のようになる。

          • セントラルサーバ: モデルの初期化やパラメータの集約を担当するセントラルサーバ。
          • デバイス/クライアント: 各デバイスやクライアントは、ローカルのデータを利用してモデルの学習を行い、学習後にセントラルサーバに学習結果を送信する。
          • セントラルサーバによるパラメータの集約: セントラルサーバは、デバイスやクライアントから送信された学習結果を受け取り、それを統合してグローバルなモデルの更新を行う。
          • モデルの更新: セントラルサーバによって更新されたモデルのパラメータは、各デバイスやクライアントに送信され、それを使って次の学習ラウンドが開始される。
          • 収束の繰り返し: 上記のプロセスを複数回繰り返し、モデルが収束するまで学習を続ける。

          以下にFederated Learningの代表的な論文の示す。

          1. Communication-Efficient Learning of Deep Networks from Decentralized Data“(AISTATS 2017)- この論文は、Federated Learningの初期の論文であり、Googleによって発表されたものとなる。分散データを持つ複数のデバイス間でモデルを学習するための通信効率の改善手法を提案している。
          2. Federated Learning: Strategies for Improving Communication Efficiency“(NIPS 2016)- この論文は、Federated Learningの基本的な概念を提唱し、データの分散学習における通信効率の改善策を提案している。
          3. Practical Secure Aggregation for Federated Learning on User-Generated Data“(USENIX Security 2017)- この論文は、Federated Learningにおけるプライバシー保護の重要性を強調し、セキュアな集約プロトコルを提案している。
          4. Scalable and Privacy-Preserving Distributed Deep Learning“- この論文は、Federated Learningを使った、プライバシー保護を考慮したスケーラブルな分散ディープラーニングの手法を提案している。
          マルチモーダル技術

          “マルチモーダル検索へのElasticSearchと機械学習の適用と実装“でも述べているマルチモーダル技術は、複数の異なるモダリティ(情報の形式や媒体)を組み合わせて処理・分析する技術の総称となる。異なるモダリティの情報を統合することで、より豊かで複雑な情報を理解し、深い洞察を得ることができる。以下に、マルチモーダル技術の代表的な領域と応用例について述べる。

          • ビジョンと言語の統合: ビジョン情報(画像や動画)と言語情報(テキスト)を組み合わせて、画像や動画に対するキャプショニングや画像/動画の検索、テキストの生成などを実現する。例えば、画像内の物体やシーンを説明するテキストを自動生成する画像キャプショニング技術や、動画内の音声をテキストに変換する音声認識技術がある。
          • 音声と言語の統合: 音声情報と言語情報を組み合わせて、音声コマンドの解釈や音声対話の理解・生成などを実現する。例えば、スマートスピーカーの音声アシスタントや、音声による検索や質問応答を可能にする音声検索技術がある。
          • テキストと言語の統合: テキスト情報と言語情報を組み合わせて、テキストの自動要約や感情分析、機械翻訳、テキスト生成などを実現する。例えば、文章中の感情や情感を分析する感情分析技術や、異なる言語間での自動翻訳を可能にする機械翻訳技術がある。
          • ジェスチャーと言語の統合: ジェスチャー情報(モーションセンサーなどによる人間の動作のデータ)と言語情報を組み合わせて、身振り手振りによるコミュニケーションの理解やジェスチャーに合った応答の生成を実現する。例えば、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)のインタラクションにおいて、ジェスチャーと音声を組み合わせて自然なコミュニケーションを実現する。

          以下にマルチモーダル技術の代表的な論文を挙げる。

          1. Show, Attend and Tell: Neural Image Caption Generation with Visual Attention” – Xu et al., 2015 この論文は、画像キャプショニングにおいて、画像の特定の領域に注意を向けることができるビジュアルアテンションメカニズムを導入したモデルを提案している。ビジョンと言語の統合を実現する画像キャプショニングの先駆的な研究として広く知られている。
          2. Listen, Attend and Spell” – Chan et al., 2016 この論文は、音声認識において、音声の時間的な情報に注目することができるオーディオアテンションメカニズムを導入したモデルを提案している。音声と言語の統合を実現する音声認識の重要な研究として知られている。
          3. BERT: Pre-training of Deep Bidirectional Transformers for Language Understanding” – Devlin et al., 2018 この論文は、テキスト情報を扱う言語モデルの一つであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を提案している。BERTは、大規模なテキストデータを用いた事前学習を通じて、高性能なテキストの表現を獲得することができ、テキストと言語の統合を実現する言語理解の分野での重要な研究として知られている。
          4. Language Models are Unsupervised Multitask Learners” – Radford et al., 2019 この論文は、大規模な言語モデル(GPT-2(Generative Pre-trained Transformer 2))の提案となる。GPT-2は、大量のテキストデータを用いた事前学習を通じて、高性能な言語生成を実現することができ、テキストと言語の統合を実現する言語生成の分野での重要な研究として知られている。

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