確率・統計の概要とその思想および具体的な活用の為の各種言語でのライブラリについて

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確率・統計について

確率と統計は、数学の分野の1つであり、不確実な事象の確率や、データの解析やモデル化などの分野を扱う理論となる。

確率は、ある事象が発生する確率を数学的に表現することができる。これはたとえば、サイコロを投げたときに、1の目が出る確率は1/6のようなものとなる。確率の計算には、頻度主義的アプローチやベイズ主義的アプローチなど複数のアプローチが存在する。

統計は、データの収集・分析・解釈を扱う学問分野であり、統計的手法を用いることで、データからパターンを抽出したり、将来の予測を行ったりすることができる。代表的な統計的手法としては、平均、標準偏差、回帰分析、t検定、ANOVAなどがある。

確率と統計は、お互いに関連する分野であり、統計は確率の応用であるとも言われている。確率論は、統計学の基礎理論として使われることが多く、確率論を使って統計的なモデルを構築することで、データ解析や機械学習に役立てることができる。

確率・統計とAI技術

確率・統計とAI技術は密接に関連しており、AI技術の多くは確率・統計的手法を基礎としている。

例えば、機械学習アルゴリズムには、データからパターンを抽出し、未知のデータに対する予測を行うために確率・統計的手法が多く利用されている。代表的な機械学習アルゴリズムには、教師あり学習、教師なし学習、強化学習などがあるが、これらのアルゴリズムは、データからパターンを抽出し、予測モデルを構築するために統計的手法を利用している。

また、自然言語処理や画像処理などの分野でも、確率・統計的手法が利用されており、自然言語処理では、言語モデルや機械翻訳などで確率・統計的手法が利用され、画像処理では、画像認識や物体検出などでも確率・統計的手法が利用されている。

このようにAI技術を開発するにあたり、適切なアルゴリズムやモデルを選択するためには、確率・統計的な知識が必要不可欠となる。また、AI技術の出力結果を評価する際にも、確率・統計的手法の活用が重要となっている。

次にこの確率・統計を考える際の思想的なベースについて述べる。

統計の思想について

統計の思想は、データを収集、分析、解釈するための考え方や原理を指し、統計学は、確率論、数学、情報科学などの分野を基盤にしており、科学的手法として広く用いられている。

統計の思想には、以下のような重要な原則が含まれる。

  • 母集団と標本の概念: 統計学では、調査や実験の対象となる全体を「母集団」とし、その一部を「標本」として調査・実験を行う。標本から得られた結果を元に、母集団全体の特性を推測することが目的となる。
  • 確率と確率分布: 統計学では、確率を用いて不確実性を表現し、データのばらつきを確率分布として表現する。確率分布は、データがどのように分布しているかを表すツールとして広く用いられる。
  • 推定と検定: 統計学では、標本から得られたデータを元に、母集団全体の特性について推測するための「推定」、あるいは仮説を検証するための「検定」が行われる。これらの手法を用いることで、統計的な推論が可能となる。
  • モデリング: 統計学では、データを解析するためのモデルを構築し、そのモデルを用いてデータの予測や解釈を行う。統計的なモデルは、現象を簡略化することで、データの特性を捉えることができる。

これらの統計の思想は、データの収集や解析だけでなく、科学的な推論や意思決定の際にも広く応用されている。

確率の思想について

次に確率の思想について述べる。確率の思想は、未来の出来事の起こりやすさを数値化するための考え方や原理を指し、確率は、ある事象が発生する可能性を示す数値であり、0から1の間の値を取ります。0に近いほどその事象が起こりにくく、1に近いほどその事象が起こりやすいことを表すものと定義されている。

確率の思想には、以下のような重要な原則が含まれる。

  • 確率の定義: 確率は、ある事象が発生する可能性を示す数値で、この定義に基づいて、確率の性質や公理が定められている。
  • 条件付き確率: 条件付き確率は、ある事象が起こったという条件のもとで、別の事象が発生する可能性を示す。条件付き確率は、ベイズの定理などの原理を用いて、より高度な確率計算を行うために重要なものとなる。
  • 確率分布: 確率分布は、ある変数がどのような確率でどのような値をとるかを示す関数となる。確率分布には、ベルヌーイ分布、二項分布、正規分布などの種類がある。
  • 統計的推論: 確率は、統計的推論の基礎となる重要な概念となる。統計的推論は、サンプルから母集団の特性を推測するために用いられ、確率分布や統計的仮説検定などの手法を用いる。

これらの確率の思想は、科学や工学、ビジネスなどの様々な分野で応用されている。これは例えば、信号処理や通信工学では、ノイズやエラーを確率的にモデル化し、信号の復元や伝送を行ったり、リスク評価や投資分析では、不確実性やリスクを確率的に評価することが行われている。

データサイエンスの思想について

最後に、これら確率・統計を用いたデータサイエンスの根底にある思想について述べる。データサイエンスは、統計学、機械学習、コンピュータサイエンス、データベース技術などの分野を基盤にしており、科学的手法として広く用いられているものとなる。データサイエンスの思想は、大量のデータから価値ある情報を抽出するための考え方や原理を指す。

データサイエンスの思想には、以下のような重要な原則が含まれている。

  • データの収集と前処理: データサイエンスでは、大量のデータから価値ある情報を抽出するために、まずデータの収集と前処理が重要となる。データの解析のためには、適切なデータを収集し、欠損値の処理や異常値の除去など、データの品質を向上させることが必要となる。
  • データの可視化と探索的データ解析: データサイエンスでは、データを可視化することで、データの傾向やパターンを把握し、探索的データ解析を行う。この段階では、データの傾向やパターンを発見し、仮説を立てることが重要となる。
  • 機械学習とデータマイニング: データサイエンスでは、機械学習やデータマイニングを用いて、データから価値ある情報を抽出する。機械学習は、データから自動的にパターンを学習し、未知のデータに対して予測や分類を行うことができ、データマイニングは、データから知識を抽出し、ビジネスや科学的な問題を解決することができる。
  • モデリングと評価: データサイエンスでは、モデリングを用いてデータを解析し、未知のデータに対して予測や分類を行う。モデルは、データの特性を捉えることで、データの予測や解釈を行うことができ、モデルの評価では、精度や汎化能力を評価することが重要となる。

これらの確率統計/データサイエンスに関する思想的な考察をもとめたものが「現代思想2020年9月号 特集 – 統計学/データサイエンス」となる。以下にその概要を示す。

現代思想2020年9月号 特集=統計学/データサイエンス 読書メモ

現代思想2020年9月号 特集=統計学/データサイエンスより。

私たちをとりまく「統計」の思想とは何か
ビッグデータやAI技術の進展を背景に、2010年代以降とりわけ存在感を増しつつある統計学/データサイエンス。しかしその背後には一体どのような「思想」が横たわっているのか。本特集では統計的なるものの歴史と現状をコロナ以後の地点から改めて一望し、それらが私たちの生存といかにかかわるのか、哲学的視座も交え多角的に検討したい。

特集*統計学/データサイエンス

【討議】
社会と科学のなかの統計学 / 小島寛之+三中信宏

【統計学をとらえる】
二〇二〇年代の統計リテラシーを考える / 神林博史
「統計不信問題」から日本の統計史を考える / 佐藤正広
統計学思想試論――自覚的ユーザーのために / 松王政浩

【ベイズの時代】
今承認される「世界性の統計学」――ベイズ統計学の黙示 / 松原望

【〈データ〉が息づく場所】
データの多様な相貌――エコシステムの中のデータサイエンス / 福島真人
数をめぐるダイナミクス――犯罪解決の数値化とその背景 / 鈴木舞
データサイエンスとして観たアクチュアリー学史――生命表作成の歴史を巡って / 鈴木真治
「エビデンス」の奇妙な増殖――〈証拠〉の歴史から見たEBMと社会 / 松村一志
「エビデンスに基づく教育」の可能性と限界 / 寺沢拓敬

【身体と「測ること」】
ウィズコロナ時代の統計学 / 竹村彰通
感染者数とは何か――COVID-19の実行と患者たちの生成 / 浜田明範
疫病と酸っぱい葡萄――感染経路追跡にまつわる権力手段について / 羅芝賢
生き生きとしたデータ――戦後地域医療と健康 / 北中淳子

【横断と越境の歴史】
統計学と数学との関係 / 赤平昌文
心理学と統計――歴史的な検討を通じて未来を展望する / サトウタツヤ
マクスウェルの統計的知識と自由意志 / 稲葉肇
Rが自由ソフトウェアであること / 喜多千草

【数値が見せる社会】
コトバの知と数量の知――一〇〇年のウロボロス / 佐藤俊樹
家族社会学における量的研究と質的研究――質的調査の標準化に向けて / 永田夏来
差別の「エビデンス」は示しうるか / 永吉希久子

【データサイエンスの哲学】
データを用いて語るときに、私たちがしていること――分析プラグマティズムの観点から / 朱喜哲
人工知能と言語化不可能なもの / 百木漠

【新連載●「戦後知」の超克●第一回】
悪疫年 二〇二〇――序 / 成田龍一 

【連載●科学者の散歩道●第七一回】
機械に奪われる――機械内でのメカニクスの拡大と残余としての心 / 佐藤文隆 

【連載●ポストヒューマニティーズへの百年●第八回】
terra incognita / 浅沼光樹 

【研究手帖】
利他行動を測る / 河村悠太

これらの基本的な考え方に基づき、データの解析は行われる。それら無しに単なるツールの利用だけでは、本来得たい情報をデータから抽出することはできない。

最後に、これらの確率・統計を実践するための各種言語でのライブラリと参考図書について述べる。

確率・統計の実践(各種言語でのライブラリ)
  • Python: 確率・統計解析に用いられるPythonのライブラリとしては、数値計算を行うための基本的なライブラリであるNumPy、データ分析に特化したライブラリであるPandas、科学技術計算のためのライブラリであるSciPy、データの可視化に特化したライブラリであるmatplotlib、matplotlibを基盤とした高度なデータ可視化ライブラリであるseaborn、統計解析(回帰分析や時系列分析、多変量解析、実験計画法等)のためのライブラリであるstatsmodels等がある。
  • R言語: 確率・統計解析に用いられるRのライブラリとしては、データ操作のためのライブラリであるdplyr、データ可視化のためのライブラリであるggplot2、データ整形(転置、変形、欠損値等の処理)のためのライブラリであるtidyr:、統計解析(線形回帰分析、主成分分析、クラスタリング等)のためのライブラリであるMASS、確率・統計(一般化線形モデル、混合モデル、時系列分析等)のためのライブラリであるstats、機械学習(回帰分析、分類、クラスタリング、特徴量選択)のためのライブラリであるcaret、ベイズ統計(ベイズ因子やベイズファクター等の計算)のためのライブラリであるBayesFactor、線形混合モデル(ランダム効果モデル、階層モデル、重複測定データの分析等)のためのライブラリであるlme4等がある。
  • Java: 確率・統計に用いられるJavaのライブラリとしては、確率・統計、線形代数、最適化、数値解析などの数学的な機能を提供するライブラリであるApache Commons Math、機械学習(分類、回帰、クラスタリング、特徴量選択等)のためのライブラリであるWeka、統計解析や機械学習(回帰分析、クラスタリング、主成分分析、時系列分析)のためのライブラリであるSmile、大規模データに対する並列処理の高速化が可能な機械学習(回帰、分類、クラスタリング、協調フィルタリング)ライブラリであるApache Spark MLlib、ベイズ統計(MCMC法)のためのライブラリであるJAGS、数値解析(行列演算やランダム数生成等)のためのライブラリであるColt、ビッグデータの分析(機械学習、クラスタリング、次元削減等)のためのライブラリであるMahout等がある。
  • Clojure: 確率・統計に用いられるClojureのライブラリとしては、上記のJavaはネイティブに利用でき、またRとPythonのライブラリもそのまま活用可能であり、更に独自のものとしては、統計解析、データ可視化、機械学習などのためのライブラリであるIncanter、ベイズ統計解析のためのMCMC法を用いたパラメータ推定、グラフィカルモデルの推論、事後分布の可視化などが可能であるBayadera、モンテカルロシミュレーションのためのライブラリでランダムサンプリング、マルコフ連鎖モンテカルロ法などの機能があるSampling、行列演算ライブラリであり、PCA、線形回帰、行列分解などの機能があるClatrix等がある。
参考図書

確率・統計の理論や歴史に対する参考図書としては、”はじめての確率論 読書メモ“、”確率論入門 読書メモ“、”人間と社会を変えた9つの確率・統計物語 読書メモ“、”世界を変えた確率と統計のカラクリ134話 読書メモ“を参照のこと。また具体的な実装と活用については”pythonによる統計モデリング“、”Clojure/Incanterを用いた統計解析と相関評価“、”確率的生成モデルに使われる各種確率分布について“等を参照のこと。

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