問題分析のためのKPI,KGI,OKRについての概要と実践

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問題分析のためのKPI,KGI,OKRについての概要と実践

前回の問題解決のシーンに現れるKPI(Key Performance Indicators)やKGI(Key Goal Indicator)等について述べる。

まず「KPI」について。

KPI(Key Performance Indicator)は、主要な業績指標を示すための指標になる。企業や組織が設定するKPIは、その業績や目標達成状況を可視化し、組織内外のステークホルダーに対して報告するために利用される。

KPIは、以下のような特徴を持っている。

  1. 目標に関連する:KPIは、設定された目標に関連する業績指標でなければならない。目標に対する進捗状況を把握するために利用されるため、目標に対する貢献度を明確に示す必要があるためである。

  2. 測定可能なものである:KPIは、数値化できる指標でなければならない。目標達成状況を測定するために、定量的なデータを利用できるものでなければならない。

  3. 可視化しやすいものである:KPIは、視覚的に表示することができるものでならない。組織内の各部署や個人が簡単に理解し、意思決定に利用することができるものである必要がある。

  4. 期間に関連するものである:KPIは、時間軸に沿った指標でなければならない。目標達成の進捗状況を追跡するため、定期的にKPIを測定し、分析する必要がある。

例えば、売上高、利益率、顧客満足度、生産性、従業員の離職率などがKPIの例となる。これらのKPIは、目標達成状況を示すために利用される。また、KPIは、組織内外のステークホルダーに対して報告するために利用される。

KPIの参考書として「人と組織を効果的に動かすKPIマネジメント」がある。

それによると、KPIは人によりいろいろな解釈や使い方がある。単に「成果を管理する為の指標」として使うケースや、「目標となる数値自体」を表す場合もあるとある。

また定義としては「(事業)目標の達成に向けて、ムダなく行動する為に集中する点を明確にし、その進捗を測るもの」とされている。KPIの目的には必ず「戦略」の意味合いが含まれており、戦略の本質とは「何をやらずにおくべきか」ということを示しているものともある。

KPIは、KFI(Key Financial Indicator:重要財務指標)とKRI(Key Result Indicator:重要結果指標)、KAI(Key Action Indicator:重要活動指標)の3つのレベルに分られ、KFIで何を活動の目的とするのか?→KRIでどういう状態になれば目的に繋がるのか→KAIでその状態を作る為にどんなアクションが考えられるのかを定義するものとなる。

KFIは文字通り財務指標を表す、総売上高、販売金額、営業利益、市場シェア等の財務的な目標値となる。日々の業務の中で利用する際には最終目標が財務目標でない為、KFIではなくKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)と呼ばれる目標を利用するとされている。

このKGIの解釈は様々あるようで、ネットで検索するとKGIは最終ゴールでそこまで到達する為のプロセス目標を設定するものとしてKPIが定義されていたりもする。本稿では上記の図書に基づいた解説を行う。

KFIあるいはKGIは最終的な目標値を示すだけなので、「そこに至るまでの過程」を明確に指標にする為にKRIとKAIが定められる。

KRIは、KSF(Key Success Factor:事業を成功される為の要因)とよばれる概念に近いもので、結果(業績)とアクションがどのようにつながっていくかという「ストーリー」を描いた上で定義されるものとなり、KPIを検討する為の最も重要な指標となる。KRIの具体的な指標としては、顧客の推奨率、リピート高倍率、顧客満足度、クレーム発生件数、顧客紹介数等がある。

この「ストーリーの設定」は、いわば結果を出す為の仮説と言い換える事もできる。例えば業務課題を解決するようなケースで考えると、まず対象となる業務を選んでフローチャートのような形で現状の状態を見える化する。これを詳細に分析し課題のポイントを明確にする。そして最後に、その課題のポイントを解決する為の施策をブレインストーミング等で考え最初に設定した業務がどのように変わるかを過程したフローを描く。

KAIはKRIを高めていく為の具体的なアクションをどれだけ実施したかを把握する為の指標で、具体的には、顧客への訪問数、記事の発信件数、引き合いからのレスポンス、新規コンタクト件数、店舗による販促実施数等になる。

KPIの設定の順序としては、上位経営層から降りてくるトップダウン型と、現場の課題から出発するボトムアップ型がある。検証実験(POC)等を行う場合や、現場での改善活動ではボトムアップ型の設定をおこなう。KPIでの定量的目標の設定には、フェルミ推定等の手法も有効な手段となる。

次回は、このKPIに代わる新しいアプローチであるOKRはについて述べたいと思う。

コメント

  1. […] この世の中には、多くの分析メソッドが編み出されそれぞれの事例と共に公開されている。これらを学び利用することは「禅的生活」で述べた無限の抽斗を増やすことにもつながと思う。次回は課題の分析と目標値の設定に現れるKPI,KGI,OKRについて述べたい。 […]

  2. […] 前回はKPIについて述べたが、今回ははOKRについて述べてみたいと思う。OKRは(Objective and Key Result)の略で、シリコンバレーを初め欧米の先進企業で使われているフレームワークとなる。参考図書としては「本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR」等がある。 […]

  3. […] 次に②は、そのシステムを何の問題解決に使いたいのか?というKPIと直結した定義となる。解決したい上位KPIがあり、それらが現れるワークフローを前述のように記述/分析して課題のポイントを明確にする。今回はそれらを検索により解決するので、どのような情報要求に対してどのような答えが欲しいのかを記述する。このとき情報要求としては、単なるキーワードの羅列をするのではなく、まずワークフローの中で何を探したいのかを具体的に記述し、次にそれらを検索するのに必要なクエリ(キーワードや絞り込みがある場合はそれらも含む)を定義するという二段階で定義する。 […]

  4. […] まずKPI設定のポイントについて、「KPIテーマはマネジメントの成果とれんどうしなければならない」とある。ここでのマネジメントとし「企業利益を生み出すために、与えられた経営資源(ヒト、モノ、カネ)をうまくやりくりする方法論」でありその目的は以下の2つに集約される。 […]

  5. […] KPI,KGI,OKRについて(1) 課題の明確化の為の手法 […]

  6. […] それらを客観的に観察(分析)していく手法が”システム思考アプローチとSDGs“で述べているシステム思考や”KPI,KGI,OKRについて(1) 課題の明確化の為の手法“などであり、それらの中ではまず主観を無くして、客観的な観点で課題に対応していくことが重要なことだとされている。 […]

  7. […] また、”KPI,KGI,OKRについて(1)“等で述べている。課題の階層的な分析、”Clojureを用いたペトリネットによるシステム・モデリング”で述べているペトリネットもシステムの動 […]

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