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一遍踊って死んでみな
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鎌倉時代の僧・一遍(いっぺん)の生涯や踊り念仏を題材とした物語で、白蔵盈太(しろくらえいた)氏による作品となる。“空也、法然、親鸞、一遍 – 浄土思想の系譜“や”街道をゆく 信州佐久平みち(長野)“で述べている一遍は、阿弥陀仏を信じて念仏を唱えていれば、極楽に導いてくれるという浄土宗の流れを汲む時宗を立ち上げた僧侶で、時宗は「南無阿弥陀仏」と念仏を唱える時に、踊りながら唱えることを特徴としている。
また時宗とは異なるが”日蓮と久遠寺“にも述べている日蓮宗の団扇太鼓も同様なものになるかと思う。
この小説では、一遍が家族や財産を捨てて、阿弥陀仏への信仰を広めるため日本全国を旅する姿が描かれており、特に注目されるのは、彼の「踊り念仏」という独特の布教スタイルで、床板を叩く足音や鉦の音とともに、リズムに乗せて唱えられる念仏は、鎌倉時代の人々にとって刺激的な娯楽でもあり、このパフォーマンスは、一種の宗教的エンターテイメントでありながら、見る人々の心に強い印象を与えたと考えられている。
この作品では、一遍が念仏の力でどのように人々と向き合い、彼の生き方がどれほど破天荒でありながら繊細だったかが描かれており、それがまるで現代の「ロック」にも通じるような情熱的な布教活動を通して、一遍の思想や生き様が浮き彫りになっている。
念仏とロックの関係性
ロックは、1960年代以降、ロックンロールから派生する形で生まれたジャンルとなる。
その先駆けとなるロックンロールは、1950年代にアメリカで誕生した音楽ジャンルで、”ブルースの歴史とClojureによる自動生成“でも述べているブルース、リズム・アンド・ブルース(R&B)、カントリーミュージックが融合したものとなっている。代表的なアーティストは、エルヴィス・プレスリーやチャック・ベリー、リトル・リチャードなどになる。この音楽の特徴は、エネルギッシュでリズム感のある曲調で、若者文化や反抗精神を象徴する音楽として広まり、社会的な変革の象徴ともなっった。
このロックンルールから生まれたロックは、ビートルズやローリング・ストーンズのようなアーティストが先駆者となり、さらに多くのスタイルや表現が含まれるようになったものとなる。ロックにはサイケデリック・ロック、ハードロック、プログレッシブ・ロック、パンク・ロックなど、さまざまなサブジャンルがあり、ロックンロールに比べて、より重厚で深いテーマやメッセージを含むものとなっていった。
ロックンロールが「若者の自由と反抗」を主なテーマとしていたのに対し、ロックはより多様なテーマを扱い、個人や社会、政治への批判や哲学的な要素も含まれるものとなっている。
このロックと念仏は、一見かけ離れているように思えるが、いくつかの観点から関連性を見出すことができる。
例えば、念仏には、一定のリズムを繰り返すことによって、唱える人や聴く人をトランス状態に導く効果があるが、この性質はロックやトランス音楽におけるリズムの繰り返しとも共通する。ロックなどの、ドラムやベースの反復的なビートは、瞑想的で陶酔的な体験を生み出し、念仏とロックはどちらも「心を高揚させたり、別次元の意識にアクセスするための手段」として機能するということもできる。
さらに、ロック音楽の中には宗教的、精神的なテーマを扱ったものが多くある。一例として、70年代のプログレッシブ・ロックやサイケデリック・ロックの楽曲では、宗教的、哲学的なメッセージがしばしば取り上げられている。
一方で、念仏も浄土信仰の核心にある仏教的思想を唱える行為であり、これらはどちらも、音楽や声を通じて深い精神的な世界へと接続する手段とも言える。
また、念仏は「南無阿弥陀仏」という言葉に込められた浄土信仰の教えを広めるためのもので、ロック音楽はしばしば社会問題や個人の内面の葛藤を表現するように、ロック音楽と念仏はどちらも「メッセージ性の強さ」を持った「メッセージ伝達手段」として機能ということもできる。
念仏はもともと集団で唱えることが多く、共同体の一体感を生み出し、同様に、ロックコンサートやフェスティバルでは、音楽を通じて参加者同士が一体感を感じ、これらの体験は、個人の枠を超えて「集団的な高揚感」を共有する場を作り出すものとしても捉えられる。
参考図書
ロック音楽の歴史や文化と念仏についての参考図書について述べる。
ロックについて
1. 『History of rock ‘n’ roll』
ロック音楽の発展と変遷を網羅的に解説した本で、各時代の代表的なアーティストやジャンルごとの特徴が詳しく記載されている。音楽やアーティストの背景も学べるので、ロックの全体像をつかむのに適している。
2. 『The Rolling Stone Encyclopedia of Rock & Roll』
『ローリング・ストーン』誌が編纂したロックの百科事典。アーティストやバンド、アルバム、楽曲について詳細な情報が載っており、ロックの歴史や文化について幅広く学べる。ロックファンや音楽研究者にも支持されている定番の一冊となる。
3. 『The Beatles: The Biography』(ボブ・スピッツ)
ビートルズの伝記で、ロックの進化に多大な影響を与えたビートルズの背景や業績を詳しく追っている。ビートルズの音楽がどのようにロックを変革し、新たなスタイルを生み出したかがよく理解できる。
4. 『Please Kill Me: The Uncensored Oral History of Punk』(レッグス・マッグニール、ジリアン・マッケイン)
パンク・ロックの歴史について、アーティストや関係者へのインタビューを元に記した一冊。パンクの精神や背景、音楽スタイルの形成過程が生き生きと描かれており、パンク・ロックに関心がある人におすすめな一冊となる。
5. 『No One Here Gets Out Alive』(ジェリー・ホプキンス、ダニー・シュガーマン)
ジム・モリソンとザ・ドアーズの伝記で、サイケデリック・ロックと1960年代の文化的背景について詳しく解説している。ジム・モリソンの影響力と、当時のロックシーンに与えた影響について学べる。
6. 『Hammer of the Gods: The Led Zeppelin Saga』(スティーヴン・デイヴィス)
レッド・ツェッペリンの伝記で、ハードロックの代表的バンドがどのようにロックのサウンドを変革したかを記したもの。ハードロックやヘヴィメタルのルーツについて知るのに最適な一冊となる。
7. 『Our Band Could Be Your Life: Scenes from the American Indie Underground 1981–1991』(マイケル・アズレイッド)
1980年代のインディー・ロックシーンに焦点を当て、REMやミニットメンなどのアンダーグラウンドバンドを取り上げている。オルタナティブ・ロックの成長とアメリカの音楽シーンの独自性について理解できます。
8. 『High Fidelity』(ニック・ホーンビー)
ロック音楽に夢中のレコード店店主を主人公に、音楽ファンの日常や心情を描いた小説。ロックとリスナーの関係性を深く理解するためのエッセンスも含まれており、エンターテインメントとしても楽しめる。
10. 『The Sound of the City: The Rise of Rock and Roll』(チャーリー・ギレット)
ロックンロールの成り立ちとその進化について、音楽的・社会的背景を交えて論じた作品で、ロックンロールの原点に立ち返りたい方におすすめな一冊となる。
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