マイクロ原子力発電

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マイクロ原子力発電

wiredの記事で、「次世代の原子力発電所は、もっと小型で安全になる」を読んだ。米国のNuScale Powerというベンチャーが開発しているミニ原子炉と呼ばれる小型原子力発電モジュールについての記事である。大きさは高さ19.8m、直径2.7mで、出力が60メガワット(一般的な小型原子力発電所の1/10)のモジュールを組み合わせて利用する(小規模な都市なら数機でOK)コンセプトだ。

小型化する特徴としてはその安全性の高さで、小ささゆえに地下プールの水のなかに沈められ、もし原子炉で漏出が起きたとしても、その熱はプール内にゆっくりと拡散されるところにあるとのこと。そのため、電力需要がある場所の近くに原子炉を設置できるようになるかもしれないらしい。

米国ではさらに小型のマイクロ原子炉の開発も行われている。これは発電出力50メガワット未満で、「プラグアンドプレイ」方式の原子炉となり、僻地にある集落への電力供給の維持等の小規模電力への対応や、都市部におけるカーボンフリーの電力源として利用できる可能性を秘めているとのこと。

課題は急速に低下しつつある風力や太陽光といった再生可能エネルギーの発電コストや、安価な天然ガスに対するコスト競争力になる。

現在の原子力発電所は、一基一基がオーダーメイド仕様で建築されていて作り上げるのに審査の時間を含めると10年以上を費やし、莫大な費用がかかっている。それらのコストの中で大きな比重を閉めるものが安全対策で、それらが大幅に低減され、更に大量に同じものが作れるモジュール構成となれば今とは違った世界が見れるのではないだろうか。

電力供給と言う観点から考えると、コストは発電施設だけではなく送電システムの構築とメンテナンスコストもかかってくる。送電ロスは現在では5%程度とのことだが、それらを実現するには低損失なケーブルから始まり、配電、変電施設等様々なコストがかかってくる。また広大な範囲でのメンテナンスコストも馬鹿にはならない。小型発電を消費地の近くに設置すると言うことは、送電設備が不要になると言うことであり、それらの設置/メンテナンス費用も考慮に入れるとメリットを考える余地は更に上がるのではないだろうか。発電施設のメンテナンスはサーバーのリモートメンテナンスと同様に通信で行う可能性もある。制御信号だけであれば衛星通信を含む無線での対応も可能であろう。

それらを考えるとコストを考える上での一番の課題は、安全性の確保にある。記事で述べられているように小規模の原子力利用でフォールトトレラントが今よりも容易に確保されるならば、これらの技術の優位性が高くなるであろう。

それらの技術に加えて近年の最新IT技術であるセマンティックウェブ技術IOT技術ストリーミング推論技術を用いたスマートファクトリー技術を適用することで運用の効率化が行え、更にリスク解析技術と融合されたICT技術を用いることで更なる安全性の追求ができるものと考えられる。

現在、日本には優秀な原子力発電エンジニアがまだ大量に残っているが、大震災の後、新規のエンジニアが大幅に減少する傾向にあるとのこと。社会資産としての原子力技術をこのまま自然消滅させるのではなく、物作りの世界では当たり前のいかに安く高機能なものを作ると言う観点に変換して、上記のようなアプローチをすることがビジネスの観点でも社会の発展の意味でも模索するの価値はあるものではないだろうか。

近年注目されている技術としては、核融合に強化学習を組み合わせたものもある。これらに対しては別途述べてみたいと思う。

次回はICTの世界に戻り、プログラミング言語の理論的ベースである形式言語理論について述べてみたい。

コメント

  1. […] 次回はちょっと寄り道して、以前読んだマイクロ原子力発電の記事について述べてみたい。 […]

  2. […] この本質的な課題からスタートして検討すると、選択肢は「自発電するもの」であったり「長持ちする電池を利用する」「超省エネで動作する装置にする」「マイクロ原子力発電」等様々な解決策が考えられ、実は「電力無しで動くもの」という条件は必須ではない事が判明する。 […]

  3. […] 例えば、帝国のエネルギーテクノロジーとして、超小型化されて汎用化された原子力を用いているという設定になっているところは、今現実になりつつある前回述べたマイクロ原子炉技術そのものだ。 […]

  4. […] 以前述べたマイクロ原子力発電と並んで近年話題となっているのが、核融合技術とAI技術の融合となる。 […]

  5. […] マイクロ原子力発電所 […]

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