ファウンデーション

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イントロダクション

ファウンデーションはアイザック・アシモフが1951年に書き上げたSFシリーズ。邦訳だと「ファウンデーション 銀河帝国興亡史」vol1, vol2, vol3という題で早川書房より出版されているものとなる。

また、apple TVによりテレビシリーズとして映像化され、2021年の9月より公開予定のもので近年再注目されているサイエンスフィクションでもある。

アイザック・アシモフ

アイザック・アシモフ(Isaac Asimov、1920年1月2日 – 1992年4月6日)は、アメリカの作家、生化学者(ボストン大教授)であり、その著作は500冊以上を数える。彼が扱うテーマは科学言語歴史聖書など多岐にわたるが、特にSF、一般向け科学解説書、推理小説によってよく知られている。

SFにおいては、アシモフは、アーサー・C・クラークロバート・A・ハインラインと合わせて三大SF作家 (The Big Three) と呼ばれる(日本では「(海外)SF御三家」)。SFの分野でヒューゴー賞を7回、ネビュラ賞を2回、ローカス賞を4回受賞している。

アシモフの作品には、『ロボット三原則』として知られる、人間とロボットの関係について探求した「ロボットシリーズ」我はロボット裸の太陽、や、「ファウンデーションシリーズ」などの大作がある。彼は、テクノロジーの進化が人間社会に及ぼす影響や、科学と倫理の関係など、人間の本質的な問題に取り組み、深い洞察を示していた。彼の作品は、SFだけでなく一般文学としても高く評価されており、彼の影響は、現代のSF作家にとどまらず、テクノロジー、哲学、文化などの分野にも及んでいる。

ファウンデーション – 銀河帝国の興亡

アシモフの代表的SFシリーズであるファウンデーションシリーズは、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』をヒントにした、未来の宇宙における巨大な銀河帝国の崩壊と再生の物語となる。1942年に第一作『ファウンデーション』がアスタウンディング誌に掲載、以後1949年まで中短編の形で同誌で発表され3部作にまとめられたものとなる。

内容としては、銀河帝国が衰退してその後何万年という長期に渡って暗黒時代となり、争いと貧困に人類が長く苛まれることを予測した科学者が不幸な期間を少しでも短縮しようとして、新たな秩序を作り出す為の種(仕掛け)を作り出すということろから話は始まる。その後彼の死後に、予測した通りに帝国が崩壊し、彼が仕掛けた仕組みが発現して少しづつ秩序が回復し始めるが、予測し得ない要因によりそれが阻害され始めた時、その後の人々がどのように対応していったかを述べた長編(原書だと全6巻)のサイエンスフィクションとなる。

60年以上前の作品ではあるが、今読んでも十分楽しめる読み物となっている。またストーリーの要となっている技術も、現在の最新の技術と近いものが多々見られアシモフの先見性を物語っている。

例えば、帝国のエネルギーテクノロジーとして、超小型化されて汎用化された原子力を用いているという設定になっているところは、今現実になりつつある前回述べたマイクロ原子炉技術そのものだ。

また、銀河帝国の衰退を予測する物語のキーの技術は、「心理歴史学」と呼ばれるものになる。これは膨大な数の人間集団の行動を予測するための数学的手法で、社会的、経済的な刺激への人間の感情や反応に一定の規則を見いだすことで、未来の人類の行動をも予測しうるものと設定されている。

この技術に関しては、アシモフは気体分子運動論をヒントに作り出しており、個々の分子の運動は予測できないが、集団の気体ということなら平均の運動は計算できるということについて、分子を人間に、気体を人間の集団に置き換えている。現在の技術的アプローチでいうと「特徴量はどこから来るのか」で述べたボルツマンシンに当たるだろうか。または近年大流行のBERTの原理とも近いグラフニューラルネットワークのようなアルゴリズムにも近いものとなる。

ボルツマンマシンを含めて「心理歴史学」で言われているような計算を行うには、量子コンピューティングのような超高速計算技術が必要でそれらが実現されるためには、まだまだ越えなければならない技術的なハードルがある。

以前企業経営や政策立案において進むべき方向を見極めるためのシナリオ作りをSF作家に依頼するケースがあることについて述べたが、サイエンスフィクションを読むことで、技術の種を見つけると共に、それらが使われている世界の具体的なユースケースについても考えることができると思う。

コメント

  1. […] 行動心理学をコンピューターでシミュレートするアイデアは古くからある。例えばアシモフのファウンデーションシリーズに出てくる心理歴史学や、近年のテレビドラマにも数々現れる。 […]

  2. […] ファウンデーション […]

  3. […] 映画Matirxのベースとなっている人間コンピューターや仮想世界などのアイデアを元に精神的世界が描かれているのに対して、「三体」では既知の天文学・物理学・化学・数学・工学技術などの正確で論理的で厳密な描写と、これらの科学知識に裏付けられた理論上可能なアイデアが中心となった「ハードSF」が繰り広げられている。ハードSFの作家としてはアーサー・C・クラーク、2001年宇宙の旅、”ファウンデーション“で述べているアイザック・アシモフ、鋼鉄都市、グレッグ・イーガン、幸せの理由、ジェイムズ・P・ホーガン、創世記機械どがいる。 […]

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