サーフィン

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サーフィン

検索エンジンやウェブ系の系技術の話の中で「ネットサーフィン」という言葉がよく出てくる。この言葉のそもそもの起源は、1992年インターネットサービスプロバイダに勤務したジーン・アーモア・ポリー (Jean Armour Polly) が、雑誌への寄稿で「インターネットをサーフィンする (surfing the Internet)」という表現を用いたのが始まりとされたり、「World Wide Web」の「Web」を語感が近い「wave」にかけたという説等多々ある。

検索エンジンの話で言うと、ハイパーリンクを次々と辿っていくことを「サーフィン」と表現しているようで、実際のサーフィンのそれとは少しイメージが異なるように思われる。

実際のサーフィンでは、波が形成する斜面をサーフボードと呼ばれる板を使って滑り降りるのだが、乗る対象である波の生じるメカニズムは以下のようになる。

1.海面に風が吹き、海面と空気との間に摩擦が生じて空気は海水を動かし「さざ波」となり、

2.このさざ波は風が止まると消えてしまうが、風が継続して吹き続けると発達して「風波」となり、

3.この風波で陸に向かって進むものが、水深が浅くなる事で海底からの摩擦を受け、海底に近い所は速度が遅くなり、水面部分との速度差が出てくる。更に陸に近づくとこの速度差が大きくなり波はつんのめるような状態となって「ブレイク」する。

ある周期で生成され陸に届く波のうち、多くは波打ち際で急に割れてしまういわゆる「ダンパー」と呼ばれる波になる。このような波でサーフィンするのは困難で、実際に楽しめるのはゆっくりとブレイクする「ショルダーが張っている」と呼ばれる波に限定される。波待ちするサーファーはこれらをキャッチする為、海の上で数分から長い場合は十分以上待ことになり、「波から波を乗り継ぐ」ようなものではない。

うまく波をキャッチできる波待ちのポジションを見つけるには、先程の波の生成のメカニズムを理解して、海底の状態や風と波の状態を考える必要がある。その為、サーファーは天気図を読んだり、潮の満ち引き情報を読んだり、気象予報士のようなことを行っている。

波波をキャッチするポイントにたどり着けば、次に行うのは「パドリング」と呼ばれる波とシンクロする作業となる。まず、沖から陸に目掛けて来る波を見て、崩れるのが右なのか左なのか、斜面が急なのか緩いのかを予測してどのように滑っていくかをイメージする。次に波の最も強くなると思われる位置に向けて方向転換しながら、波の速度に合わせて海水を掴みながら腕を回してボードを加速し波にシンクロする。うまくシンクロできると、波を捕まえた状態となる。

波をキャッチできた状態になると、サーフボードはそれに合わせて動き出す。そしていよいよボードの上で立ち(テイクオフ)波の上を滑り始める。波の上を滑っていく時の感覚は、斜面を滑っていく爽快感もあり、足下の水の細かなリズムを感じる一体感もあり、ボードが波を切っていく心地よい音もあり、言葉で表現する事が難しいが、多くの人が病みつきになる感覚となる。

テイクオフの後、波がゆっくりブレイクする「肩の張った」形状だとしばらく楽しめる。ボトムまで下がったりトップまで戻ったり、波の割れるゾーンの近くで加速したり、ブレーキをかけて波の上に残ったり、うまく波を捉えたご褒美の時間を味わうことができる。

サーフィンが上達するコツは、なるべく長い時間を海にで過ごし多くの波と向き合う事だと思う。雑誌で読んだあるサーファーの言葉に「経験してみなければ何もわからない。頭でかんがえているだけじゃだめさ」とあったが、これは冷暖自知“で述べている仏教での冷暖自知や不風流処也風流 – 風流ならざるところもまた風流“で述べている禅での不風流処也風流にも通じる。過去の知見をうまく領してその場にて型をこなし、揺らぎを楽しむことはすべての基本なのだろう。

コメント

  1. […] 前回述べたサーフィンが発展したハワイで生まれたスポーツとしてトライアスロンがある。トライアスロンの基本種目構成は泳ぎ(swim)と自転車(bike)とマラソン(running)の3つで、競技の始まりそれほど昔ではなく、1974年にアメリカの西海岸で初の大会が開催され、1978年にはアイアンマンレースがハワイで行われた43年ほどの歴史を持つスポーツとなる。 […]

  2. […] 凍てつくような水の中、さらに冷たい空気の中で何時間も良い波を待つのは、冬のサーフィン。夏の喧騒が終わり涼やかな空気につつまれた秋のサーフィン。そしてまだ冷たい水の中で暖かい日差しを感じながら行う春のサーフィン。表現力豊かなデュエインの文は、海を見たことがない人や、波に乗ったことがない人にとっても、様々なことを感じさせてくれると思う。 […]

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